(第18回)

仕事の効率を上げるオフィスカジュアルのすすめ

posted by 風間 梢

 地球温暖化対策のため、環境省は2005年から夏季の室温が28℃でも快適に過ごせる服装を着用するクールビズ(COOLBIZ)の推進に注力しています。この取り組みに賛同し、夏季は軽装のオフィスカジュアルを導入する企業が多くなりました。

 地球温暖化対策だけでなく、節電しながら仕事の効率をアップさせるクールビズには、企業もさまざまなメリットを感じています。しかし、今年から初めて導入するという企業にとって、どの程度のオフィスカジュアルまで許容するかは悩みどころ。ほどよいフォーマル感と清潔感を保ちながら、無理なくクールビズを導入するための流れを紹介します。

導入期間の明示で混乱を解消

 熱帯地域並みに高温多湿となる日本の夏には、フォーマルなスーツはあまり適していません。しかし「取引先やお客さまとの兼ね合いで、自社だけオフィスカジュアルをはじめるのは抵抗がある」という理由で導入を見送る企業や、「いきなりオフィスカジュアルと言われても、どんな服装をすればいいのか分からない」と戸惑う社員も多いようです。

 とはいえ、体調維持や冷房費の節約などが実現できるメリットは見逃せません。

 まずは内外に告示することからはじめましょう。「弊社は○月○日から○月○日までオフィスカジュアルを実施します」という告知を文書、メール、ポスターなどのほか、ウェブサイトがあれば、環境方針や節電などの導入理由と絡めて掲載するのも効果的です。期間の目安は、環境省が示している期間である5月1日~9月30日に合わせるのが無難でしょう。

 こうすれば、社内外に「突然服装が乱れた」といった誤解を招かずに済みます。また期間が明確になることで、社員も気持ちを切り替えてオフィスカジュアルに取り組むことができます。

具体的な基準を提示し、OKとNGの線引きを明確に

 オフィスカジュアルは、別名“ビジネスカジュアル”とも呼ばれています。このことから、オフィスカジュアルは仕事をするための服装であり、ビジネスの現場で浮くような着こなしはNGであることが分かります。ここを強調したうえで、具体的な基準を示すと良いでしょう。会社側でOKとNGの線引きを明確にしておけば、どのような服装をすればよいかを社員は悩まなくて済み、風紀の乱れも防ぐことができます。

 文章で通達するのなら、具体的な注意点を明記することでビジネスカジュアルの基準がわかりやすくなります。「清潔感を保つ」「派手な色や柄は禁止」「無駄な露出は控える」「カジュアルすぎるアイテムは禁止(Tシャツ、ランニングシャツ、デニム、ハーフパンツ、スニーカーなど)」といった注意点を添えて通達をしましょう。

 アイテム別の可否については、環境省が「環境省におけるクールビズの服装の可否」という指針を示しているので、こちらを引用するのもおすすめです。

 文章だけでは伝わりにくいという場合は、オフィスカジュアルのカタログやウェブサイトなどを例にとって、お手本となる服装を示すと簡単です。一目で分かる実例を見せることで、社員も納得しやすくなります。

 もしもこういった基準を定めないままオフィスカジュアルを始めてしまうと、社員がそれぞれの判断でちぐはぐな服装をしてしまうことがあります。そうなると、顧客や取引先の印象が悪くなるだけでなく、社内の規律も乱れてしまいます。

 単に「涼しく過ごせる服装」という概念だけでなく、基準や禁止事項をはっきり明示するようにすることが重要です。

カタログからの購入という手段も

 それでもオフィスカジュアルが社員によってまちまちだと感じた場合の奥の手としては、会社が推奨として通販カタログなどを指定し、社員はそれを参考にしてもらうという方法もあります。

 近年は、リーズナブルなオフィスカジュアルが、スーツ量販店や通販カタログなどで数多く見られます。いくつかのカタログを推奨とすれば、社員の服装を監督する役職者も、服選びに自信のない社員も、毎日頭を悩ませる必要がなくなるかもしれません。

 女性のオフィスカジュアルに関する基準や禁止事項は男性より多様になるでしょう。メンズのイメージが強いスーツ量販店ですが、レディースを豊富に取り揃えているところもありますし、アスクルなどの大手通販会社では女性向けのオフィスカジュアルを販売しているところがあります。それらを参照して基準を明示するのが良いでしょう。

 オフィスカジュアルの一番の目的は、仕事の効率をアップしながら、冷房に使う電力を抑えて、地球温暖化対策をサポートとすることです。単に夏を快適に過ごすための服装というだけでなく、環境への配慮にもなります。ぜひ、社風に合った方法で導入してみてください。

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風間 梢

風間 梢

フリーライター。企画、人事、ECサイト運営等を担当したのちに独立。現在は就職、流通、IT、観光関連のコラムやニュース等を執筆している。

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