2024.07.12 (Fri)
いま企業に求められる情報セキュリティ対策(第22回)
悪質な通販サイトを見分けるポイントとは
ネットショッピング中に、異常に価格が安い商品に出会うことがありますが、それは詐欺サイトの可能性があります。偽サイトと判断できる基準はどこにあるのでしょうか。
ECの市場規模は拡大し続けている
街にさまざまな店が存在するように、インターネットにもさまざまなショップが存在します。中には実際の店舗で購入するよりも、ECサイトで購入する機会の方が多いという人もいるかもしれません。
経済産業省が2023年8月に発表した「令和4年度 電子商取引に関する市場調査」によると、EC(電子商取引)の市場は拡大し続けています。
2022年におけるBtoC分野のEC市場規模は22兆7,449億円で、これは2021年の20兆6,950億円よりも2兆0,499億円高い数値です(約9.9%増)。10年前の2013年の11兆1,660円と比べると、約2倍に増えています。
この数値を見ると、ECサイトおよびネットショッピングは、ここ10年で我々の生活に馴染み、気軽に使える存在になったといえそうです。
出典:令和5年8月 経済産業省 商務情報政策局 情報経済課「令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」
悪質な通販サイトを見分けるポイントとは
しかし、このようにインターネットにおける買い物が当たり前となった一方で、支払いを行ったにも関わらず、商品を発送しなかったり、注文した商品とは別のものや、もしくは模倣品を送り付ける悪質な通販サイトも存在します。
消費者庁の「インターネット通販トラブル」というサイトでは、その被害の実例が記されています。ある例では、インターネットサイトで音楽機器をクレジットカードで購入したところ、いつまで待っても商品も発送されず、連絡も取れないため、店の電話番号を検索したところ、詐欺サイトであるという書き込みが発見されたといいます。
別の例では、通販サイトでスニーカーを注文し、代金1万円を個人名義の銀行口座に振り込んだところ、本物と異なる、粗雑な作りのスニーカーが届いたといいます。販売店にメールで解約を申し出たものの、返信はなかったといいます。
国民生活センターによると、通販サイトで商品を購入する際、少しでも怪しいと感じた場合は、注文をしないよう呼びかけています。特に、以下のような傾向が見られる場合は、悪質である可能性が高いとしています。
・サイト内の日本語が正しく表記されていない
・市場では希少なものが、その通販サイトでは入手可能となっている
・ブランド、メーカー品の価格が、通常よりも安い
・支払方法が限定されており、振込先の銀行口座の名義が個人名である
・キャンセル、返品、返金のルールがどこにも記載されていない
・サイト上に事業者の名称、住所、電話番号が明確に表記されていない
悪質な通販サイトを見分けるチェックポイント(出典:消費者庁「インターネット通販トラブル」)
「異常に安い」「銀行振り込みのみ」は怪しい
消費者庁のサイトでも、インターネット通販における注意ポイントを掲げており、たとえば一般に流通している価格よりも大幅に安く販売されている場合、その商品は模倣品である可能性が高いとしています。
加えて、クレジットカードが利用できず、支払方法が銀行振込のみしか用意されていない場合も疑わしいとしています。カード支払いや代金引換など、決済手段が複数用意されている販売店を選ぶべきとしています。
さらに最近では、正規のECサイトの商号やデザイン、商品写真を無断でコピーしたサイトが開設されている例もあるといいます。一見しただけでは見分けがつかないため、表示URLが、購入を希望しているECサイトのURLと一致しているか、電話番号が表示されている場合は、電話がつながるか、注文の前に確認を取るべきとしています。
国民生活センターでは、同センターが確認した悪質な通販サイトの情報を、6月下旬よりPDFにて公開しています。購入を検討しているサイトが載っているかどうか、購入前に一度目を通しておくのが良いでしょう。
ネットで欲しい商品を探していると、たまに異常に安かったり、入手困難な商品を扱っているサイトを見つけることがあります。ついつい購入のボタンを押したくなるのは分かりますが、まずはそこで一歩踏みとどまり、先に挙げたチェックポイントを確認することが重要です。ネットショッピングが当たり前になった今、悪質な通販サイトを見分ける能力もまた、我々には求められているといえそうです。
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