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2024.03.29 (Fri)

いま企業に求められる情報セキュリティ対策(第17回)

Gmailにメールが届かなくなる?ガイドラインが変更

 Gmailは2024年2月に迷惑メール対策を強化。ガイドラインに準拠しないユーザーからのメールは拒否されることになりました。確実に届けるには、どうすれば良いのでしょうか?

大量にメールを送信するユーザーは、Gmailへの送信が禁止される!?

 ビジネスシーンにおいて、メールサービスにGoogleの「Gmail」を利用している人は多いでしょう。このGmailにおいて、2024年2月、ガイドラインの変更が行われました。

 大きな変更点としては、Gmailアカウントのメールアドレス(末尾が@gmail.com、もしくは@googlemail.com)に対し、1日あたり5,000件以上のメールを送信するユーザーに対し、3点の条件をクリアすることが求められました。その条件とは、【1】送信メールの認証をすること、【2】未承諾のメール、または迷惑メールを送信しないこと、【3】受信者がメールの配信登録を容易に解除できるようにすることです。

 これに加えて、送信ドメインに「SPF」「DKIM」「DMARC」という、3つのメール認証方式を設定することも、ガイドラインにて求められました。SPFとは、送信者のドメインの偽称を防ぎ(Sender Policy Framework)、DKIMはメールの送信元が電子署名を行い、受信側がその内容を検証す(DomainKeys Identified Mail)、DMARCはフィッシングメールを受信者に届けず、迷惑メールとして扱うための認証技術(Domain-based Message Authentication, Reporting, and Conformance)です。

 これらの新たなガイドラインに準拠していないメール送信者は、個人用Gmailアカウント宛てに送ったメールがブロックされたり、迷惑メールに振り分けられる恐れがあります。逆に、ガイドラインに準拠することで、これらのエラーを回避し、個人用Gmailアカウント宛てに確実に送信することが可能になります。

日本のメールの約4割が迷惑メール

 このルール変更の背景には、今もなお大量に送付されている「迷惑メール」(スパムメール)への対策があるでしょう。

 総務省の資料によると、日本における電気通信事業者10社の全受信メール数のうち、迷惑メール数の割合は約4割を占めています。

電気通信事業者10社の全受信メール数と迷惑メール数の割合(2022年、総務省の調査データより)

 迷惑メールを誤ってクリックすると、端末がウイルスやマルウェアに感染し、社内の機密情報が社外に漏れる恐れがあります。さらに、メールに記載されたURLをクリックすることでフィッシングサイトに移動し、ログインIDやパスワードが盗まれる恐れもあります。たとえ迷惑メールを無視したとしても、そのメールはメールサーバーに残り続けます。サーバー上に無用な迷惑メールのデータを保存しておくことは、とても効率的とはいえません。

 こうしたことからGoogleは、5,000通以上ものメールをGmailに送り続けるアカウント対策に乗り出したと考えられます。

Gmailに送付する「全ユーザー」にもガイドラインが追加

 今回のガイドライン変更では、冒頭で挙げた5,000通以上を送信するユーザーへのルールだけでなく、すべてのGmailアカウントへのメール送信者に対する新たなルールが盛り込まれました。

 具体的には、Gmailアカウントにメールを送信するすべての送信者は、ドメインにSPFまたはDKIMメール認証を設定することや、メールを送信する際に通信データを暗号化する「TLS接続」を使用すること、メール分析ツール「Postmaster Tools」で報告される迷惑メール率を0.10%未満に維持し、決して0.30%以上にしないことなどです。いずれも迷惑メール対策に関連するものとなります。

 このルールに違反した場合、たとえ大量にメールを送ることの無い個人ユーザーであっても、Gmail宛てのメールがブロックされる恐れがあります。

2024年6月からは、ワンクリックの登録解除も必須に!

 ガイドラインはすでに2月よりスタートしており、大量のメールを送信している企業や組織では、その対応に追われているケースもあるようです。

 たとえば警視庁では、各地域で発生した犯罪発生情報や、犯罪を防ぐために必要な防犯情報をメールで知らせる「メールけいしちょう」というサービスを実施していますが、2月1日から一時的に、Gmailアカウントへの配信を停止していました。1週間後の2月8日、システム保守が完了したとして、Gmailアカウントへの配信再開を発表しました。

 ガイドラインの適用は、これから徐々に進んでいきます。2024年4月からは、ガイドライン非準拠のメールは拒否され、2024年6月からは、メールに登録解除のリンクをすでに記載している送信者に、メールにワンクリックでの登録解除の実装が必要になることが、Google Workspaceのヘルプページに記載されています。

 業務で大量のメールを送信している企業の多くは、このガイドラインの変更に手を焼いていると思われます。逆にいえば、Googleが用意した厳しい条件をクリアすることで、「このメールは迷惑メールではない」ということをGoogleが保証するとも考えられます。自社のメールがた迷惑なスパムメールではないことを証明するためにも、新たなガイドラインには確実に適用すべきでしょう。

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