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企業のデジタルシフト(第22回)

2028年に8,000億ドル超も、拡大するメタバース市場

 近年、ビジネス界で注目を集めているメタバース。メタバースオフィス、メタバース入社式、メタバース住宅展示場など、企業はさまざまな形でメタバースの世界へ進出しています。「本当に価値があるのか」「ビジネスにおける可能性は?」「成功事例は?」など、メタバースのいまとこれからを解説します。

世界的ICT企業が次々とメタバース市場に参入

 メタバース(Metaverse)とは、「Meta(高次・超越)」と「Universe(世界)」を掛け合わせた造語で、仮想空間そのものや仮想空間の中で提供されるサービスのことを示します。パソコンやスマートフォン、あるいはゴーグル型の端末で仮想空間を体験するVR(Virtual Reality)や、現実世界にデジタル情報を付加して拡張するAR(Augmented Reality)といった技術を用いながら、巨大なデジタル空間を創出している点が特徴です。

 2021年にEmergen Researchが発表したレポートによると、世界のメタバース市場規模は2020年に476億9,000万米ドル(約6兆9,151億円)に達し、年率43.3%で拡大し、2028年には8,289億5,000万米ドル(約120兆1,978億円)に達すると予想されています。

 このレポートによると、もともとメタバースはエンターテインメント領域の新しいソリューションとして認識されていましたが、近年は教育やファッション、航空、宇宙、防衛といった業界にも広がりを見せているといいます。

 また、新型コロナウイルス感染拡大によって在宅勤務が増加したことも、メタバース市場を後押しする要因のひとつになっています。Facebookが社名をMetaに変更したことはメタバースという言葉を世の中に認識させる大きなきっかけとなりました。同社はOculusVRヘッドセットを使用してVR空間でのバーチャル会議を実現する「Horizo​​nWorkrooms」を提供し、ビジネスシーンにおけるメタバース活用にチャレンジしています。そのほか、米MicrosoftもTeamsにメタバース空間を導入したり、半導体メーカー大手のNVIDIAがメタバース空間を開発するためのプラットフォーム「NVIDIA Omniverse」をリリースするなど、世界的ICT企業が積極的にメタバース市場に参入しています。

メタバース空間に本社移転など、国内企業のユニークな活用事例

 こうした市場環境の変化を経て、日本でもメタバースは新たなマネタイズの場として注目されつつあります。現在メタバース活用に挑戦する企業の取り組み事例をいくつか紹介します。

 2022年、大和ハウス工業はオンラインを活用した戸建住宅の接客や販売を強化すべく、仮想空間上の住宅展示場を自由に見学できる「メタバース住宅展示場」をリリースしました。このサービスではアバターを用いることで、同社の戸建住宅商品を地面から屋根の上までさまざまな角度から見学可能です。インテリアやデザインを瞬時に切り替えられる点など、現実世界よりもイメージを確認しやすいといえるかもしれません。

 採用活動におけるメタバース導入に挑戦しているのが、伊藤忠商事です。同社は本社のエントランスと執務室をVR化し、採用や企業に関する情報が展示された5つのフロアを公開しています。各フロアでは、伊藤忠商事への就職を希望する就活生たちが自由に閲覧し、オフィスの雰囲気や、情報を主体的に収集できるようになっています。さらに同社は、VR空間で従業員と就活生の座談会を開催。アバターを活用することでコミュニケーションのハードルを下げ、忖度のない意見交換を行うことで、就業後のミスマッチを事前に下げることをめざしています。

 メタバース上に本社を移転するという画期的な取り組みを進めているのが、マーケティング会社のHIKIYOSEです。同社はリモートワークの浸透とともに新しい働き方が進んでいる一方で、社内の雑談や非言語コミュニケーションが減ることを危惧し、メタバース上への本社移転を実施しました。メタバース空間の本社では、ゾーニングの常識にとらわれない空間で、メンバー同士が「ありがとう」「助かったよ」と声を掛け合う"常時承認型"の環境を提供するほか、メタバース空間での雇用の促進、安全・安心なミーティングスペースを設置しています。執務室には暗証番号を知っている関係者以外は入室できない設計にするなど、セキュリティに配慮している点もユニークです。

課題はデバイスの性能と普及率。5Gの浸透が後押しとなるか

 国内でも幅広い業界で導入が検討されているメタバース市場ですが、現状は実証実験や試験的な運用が主流で、本格的なビジネス活用はこれからになりそうです。たとえばメタバース空間での商取引に関する法律やルールの整備、VR機器などデバイスの性能と普及率のような、乗り越えなければならない課題が存在するためです。

 とはいえ、メタバースの将来性にいち早く着目して投資や参入を進める企業が存在するのも事実。高速・大容量、低遅延、多数同時接続を実現する5Gの普及が進んでいくと、メタバースで実現できるソリューションもさらに広がることが予想されます。今後もメタバース市場の動向を逐次チェックし、ビジネス活用のチャンスを逃さないよう努めましょう。

NTT東日本のローカル5Gを活用したソリューションを紹介

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