2025年4月1日利用分より、フレッツ 光ネクスト(一部サービスタイプ)の月額利用料を改定します。詳細はこちら別ウィンドウで開きますをご確認ください。

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2021.09.14 (Tue)

企業のデジタルシフト(第18回)

LINE連携、AI自動化…小売向けシフト作成ツールの今

 さまざまな年代、雇用形態の従業員が入り混じって働く小売業の管理者にとって、生活状況や働ける時間がそれぞれ異なる従業員のスケジュールを組み合わせる必要がある勤務シフトの作成は、負荷の高い業務です。日々変わる状況に柔軟に対応しつつ正確性や公平性も求められる、この複雑なタスクを解消すべく、シフト作成ツールの導入が進んでいます。業務効率化はもちろん、従業員の働きやすさ向上にもつながるシフト作成ツールを、取り入れる際のポイントも交えて紹介します。

勤務シフト作成に月60時間かかる店舗も

 店舗向けのシフト作成ツールを提供する国内ICT企業の事例によると、首都圏に複数の店舗を展開する地域密着型スーパーでは、手作業によるシフト作成に月約60時間かかっていたとのこと。月の途中で頻繁なシフト変更が発生することも、管理者の大きな負担となっていました。

 小売業では、アルバイトの高校生やパートの主婦、企業を退職した年配者など多様な年代・雇用形態のスタッフが働きます。学生ならテスト期間、主婦なら夕方以降はNGなど、考慮しないといけない事情は多岐にわたります。複数店舗を展開する企業であれば、店舗の掛け持ちをしている従業員の状況も考えなくてはいけません。さらに突然の休みや時間変更により、シフトの再調整も都度発生します。1カ所調整をすると、他の日時のスタッフのシフトもパズルのように組み替えることになり、その手間は甚大です。他の仕事も抱える管理者が紙やエクセルで調整を繰り返す状況が続くと、ミスが発生して人員不足あるいは過剰になってしまう事態も起こりかねません。

 特にコロナ禍以降は、店舗自体の営業時間が急遽変更になる場合もあり、シフト調整の複雑さが増しています。ドラッグストアやスーパーでは、ステイホームの影響で消費者需要が増えたことに伴う人材不足や、従業員の生活状況が変わったことによるシフトの入れ替えにも拍車がかかりました。そうした中で、これまで手作業で行っていたシフト作成の課題を解消する、シフト作成ツールの導入が急務になりつつあるのです。

「100人まで無料」「LINE連動」「AI搭載」など多彩なツール

 小売業のニーズを受けて、少人数であれば無料で使用できるもの、LINE連動、AI搭載など、さまざまなシフト作成ツールが登場しています。自動で最適なシフトを構築してくれるもの、給与システムと連動して給与を自動計算できるものなど、小売業向けの機能も充実しています。いくつかタイプの異なるシフト作成ツールを見ていきましょう。

・「ジョブカン勤怠管理」
シフト管理・出勤管理・休暇管理・工数管理の機能を組み合わせて利用できるシフト作成ツールです。シフト管理機能では、スマートフォン・パソコン・携帯電話から従業員の希望シフト申請を受け付け、結果を自動反映したシフト作成画面上で操作が可能。作成後のシフトを従業員が閲覧可能なウェブサイトに公開できるほか、直近7日のシフトであればLINEでも確認できます。

・「oplus」(オプラス)
利用ユーザー100人までなら初期費用・月額利用料無料で使えるシフト作成ツールです。希望シフトの申請をスマートフォンやパソコンから行えるほか、シフト提出締切日近くになると自動でリマインドを送信したり、人員が少ない日や時間帯のヘルプをツール経由で要請することも可能。シンプルな画面と操作方式で、幅広い年代の従業員が直感的に使えるところが特長です。入力した条件に合わせてシフトを自動作成する有料オプション機能もあります。

・「Optamo」(オプタモ)
統計解析AIを搭載しており、従業員のスキルや役職、業務範囲、休暇希望を入力すると自動でシフトが作成されます。複数店舗を展開する企業の場合、他店舗の空いているスタッフを確認して出勤申請を行うこともできます。複雑な条件をAIが解析・統計して最適シフトが組めることに加え、従業員ごとの細かな事情を管理画面上でメモしたり、確認したりしながら、各自が働きやすい勤務計画を作れるところが特長です。

・「らくしふ」
LINEで従業員からの希望シフトを収集でき、自動でリマインドしてくれるシフト作成ツール。希望シフトが自動反映される管理画面では、時間帯ごとの適正人数や人件費を入力するとモデルシフトが表示され、従業員の過不足を確認しながら調整できます。複数店舗を掛け持ちする従業員や外国人留学生の労務管理に対応している点も特長です。

「幅広い年代がスムーズに使えるか」が導入時の重要ポイント

 シフト作成ツールを導入するときは、自社の勤務形態への対応可否や導入コストといった基本的な要素のほかに、幅広い年代のスタッフが希望シフトの提出や確認・連絡をするにあたって使いやすいツールを選ぶことも重要なポイントです。管理者によるシフト作成時間そのものの削減に加えて、希望シフトの収集や追加調整のやり取り、ヘルプの声掛けがスムーズにいくことで、シフトに関わる手間と負荷は軽減されます。

 また、小売店は季節や曜日、天候などの偶発的な要因によって来客数が変化するので、最適な人員配置が難しい面があります。人手の薄いタイミングが分かりやすく表示され、必要な場合はすぐにヘルプを要請できるシフト管理ツールの機能は、適切な人員配置の実現に役立つでしょう。

 季節や人流の影響、多様な従業員の事情など複雑な要素が絡み合う中で、スムーズに業務を回すための要となるシフト作成ツール。従業員の働きやすさ実現という意味でも、今後小売業にとって必須となっていくのではないでしょうか。

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