近年、インターネット上で行うセミナー、通称「ウェビナー」を開催する企業が多く見受けられます。コロナ禍で自社製品のPRや顧客の連絡先を獲得する手段のひとつとして、活用が進んでいるようです。そこで今回は、営業・販売戦略としてのウェビナーに注目。各社の取り組みや実績のほか、ウェビナーを使った営業活動を行う際のポイントなどをお伝えします。
アメリカでは6割以上が導入—ウェビナーが注目されているワケ
ウェビナーは、インターネットに接続できる環境とデバイスがあれば、いつでも参加できる手軽さが特徴です。
アメリカのマーケティング会社Content Marketing Instituteが2016年に行った調査によると、66%ものコンテンツマーケターが、「マーケティング戦略の一環としてウェビナーを積極的に導入している」と回答しました。
ウェビナーの場合、既存のカタログやウェブサイトとは違い、動画を使って製品のPRができるため、製品の魅力が顧客に伝わりやすいというメリットがあります。実際に、アメリカのソフトウェア会社99firmsが2020年に発表したレポートには、ウェビナーの参加者の20~40%が、最終的には有望な見込み顧客に変わると記されています。
このようにウェビナーは、ビジネスチャンス拡大の可能性を秘めたツールとして、日本でも注目を集めています。
営業活動のチャンスが大幅にアップ、ウェビナーの成功事例
ここで、ウェビナーの導入により、コスト削減や顧客獲得機会の拡大に成功した日本企業の事例をふたつご紹介します。
電子ブックに関連したウェブアプリケーションの企画・開発を行うスターティアラボ株式会社は、リアルセミナーをウェビナーに切り替えたことで、準備・実施にかかる人件費、会場への移動コストや準備時間、会場費などの削減に成功。また、参加者側の時間や場所にかかわる制約も減ったことで、おもに契約済みの顧客との接触機会が、月20社程度から50社以上に増加しました。
手順書やマニュアルを簡単に作成できるプラットフォーム「Teachme Biz」を運営する株式会社スタディストでも、2020年2月からリアルセミナーをウェビナーに切り替えました。結果、これまで本社のある首都圏と、支店のある大阪、名古屋近郊でしか開催できていなかったセミナーが、全国各地向けに発信できるように。また、会場規模の都合で設けられていた30人という定員数も最大500人まで拡大され、より多くのお客さまに情報提供ができるようになりました。
ウェビナー成功の鍵は“事前準備”と“アフターフォロー”
企業に大きなメリットをもたらすウェビナーですが、誰でも簡単に成功できるものではありません。登壇者がただ話すだけだったり、製品のPRだけを行うウェビナーは、参加者を退屈させるばかりか、見込み顧客や営業機会を逃してしまう可能性もあります。
逆に、専門知識をもっている登壇者が、製品のPRだけではなく、役立つコンテンツやテクノロジーの紹介といった、顧客が求める付加価値を提供できるウェビナーであれば、見込み顧客を獲得しやすくなります。そのため、企画や登壇者の選定、発表内容のブラッシュアップ、プレゼンの練習など、事前準備をしっかりと行うことが非常に重要です。
また、ウェビナーでは、アンケートや視聴データからさまざまな情報が得られます。それらの情報を有効に活用し、たとえば、すぐに製品を購入したい人には個別面談を、もう少し情報がほしい人には動画コンテンツの再配信や限定ウェビナーのお知らせの実施を、機会が発生した際に検討したい人にはメールマガジンの配信など、アフターフォローの施策を考えることも成功の鍵となります。
しっかりと事前準備を行ってウェビナーに臨み、アフターフォローを行うことで、ウェビナーは販売のための絶好の場となり、営業活動に大きく貢献するでしょう。
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