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2022.10.20 (Thu)

その悩み、スマートファクトリー化が解決します(第7回)

「ベテランのワザ」はウェアラブルカメラでシェアできる

 製造業の現場では、就業者の高齢化が進んでいます。厚生労働省の「2022年版 ものづくり白書」によると、2002年から2021年の間で製造業における若年就業者が121万人減少しているのに対し、60歳以上の高齢就業者は33万人増加しています。もしベテラン人材がノウハウやスキルを若い世代に伝達することができないまま引退してしまえば、企業競争力の低下にもつながりかねません。ベテラン人材が現場の作業員に効率的に指示出しや指導を行える環境をテクノロジーによって構築することが重要です。

熟練技能に依存している製造業界

 製造業の業務は、ベテラン人材の熟練技能に支えられている一面があります。共有するべき業務ノウハウや知識が属人化してしまい、長年の業務で蓄積した「匠の技」が若い世代に十分に継承されていない企業は少なくありません。経済産業省の「2019年版ものづくり白書」によると、技能継承に問題がある事業所の割合は、製造業では86.5%にも及び、調査対象の業種の中で最も高い数字を示しました。

 製造業における熟練技能の継承は急務です。熟練技能を習得しているベテラン人材の数が社内に限られれば、複数の現場からの問い合わせ対応や支援要請に対応するのが難しくなります。本来は現地に赴いて判断しなければならない内容でも、やむを得ずメールや電話で指示出しを行っているケースもあるでしょう。しかし、メールや電話では現場の状況を正しく把握できず、適切な指示が出せない可能性もあります。

 とはいえ、各現場をすべて訪問していると、それだけ移動時間が必要となり、貴重なベテラン人材の業務時間に無駄が生じてしまうため、会社としても望ましいことではありません。

 ベテラン人材が離れた工場の従業員に対して、現場の状況を確認しつつ、効率的かつ的確な指示出しを行うにはどうすればよいのか。多くの企業が抱えるこの課題に対して、昨今注目を集めている解決策が、ウェアラブルカメラを用いた遠隔コミュニケーションの導入です。

遠隔作業支援によって得られる4つのメリット

 ウェアラブルカメラは、体に装着して、リアルタイムの映像・画像を共有できるデバイスです。監視カメラなどのように定点での映像ではなく、作業員のヘルメットなどに装着したカメラからの、作業員の視点の映像を共有します。通話機能を備えたウェアラブルカメラなら、遠隔地間のコミュニケーションも同デバイス上で行うことができます。

 ウェアラブルカメラは、一般的にハンズフリーで利用できるため、現場作業員が作業中に手を止めることなく通常通り業務を行えます。支援する側のベテラン人材も、現場の映像をパソコンなどで確認しながら現場の作業員に指示を出せるため、遠隔でも質の高いやりとりが期待できます。

 ウェアラブルカメラの導入メリットは、以下の4つが挙げられるでしょう。

1.生産性の向上

 ベテラン人材と現場作業員間で視覚を共有できるため、メールや電話よりも正確に、リアルタイムで指示を出すことでき、生産性の向上が期待できます。

2.移動にかかる時間・コストを削減

 ベテラン人材が現地に赴く必要がないため、複数の現場を確認することが可能になり、移動にかかる時間やコストなども削減できます。

3.作業品質の底上げ

 遠隔地の複数の現場を指導しやすくなったことで、より多くの作業員を指導することができ、作業品質を底上げできます。業務ノウハウや技能の継承もより行いやすくなるでしょう。

4.作業内容の改善

 多くのウェアラブルカメラは、撮影機能を備えています。トラブル対応を録画として残し、作業のフィードバックや改善に活用できます。トラブルの予防や不良品が発生するリスクの低減にも貢献するでしょう。

ウェアラブルカメラの機能や選定ポイント

 近年のウェアラブルカメラには、ブレ補正、静止画キャプチャ、4K品質以上の動画撮影対応、防水、スマートフォン連携など、さまざまな機能が搭載されているものがあります。ウェアラブルカメラと映像を閲覧するパソコンでそれぞれどのようなことが可能になるのか、以下で紹介します。

現場作業者側でのウェアラブルカメラの
機能や特長
遠隔支援側のPCの機能や特長
専用クリップによる装着
自由なアタッチメント設置
ヘッドセットを使った通話
防水・防塵
充電式バッテリー内臓
背面ディスプレイによる設定操作
LED照明
フルHD写真撮影 など
複数のカメラの一覧表示
映像の閲覧と現場との通話
別ユーザーへの映像の共有
別ユーザーへの権限付与
遠隔からのカメラの設定 など

※ウェアラブルカメラが搭載する機能により異なります

 ウェアラブルカメラを利用した業務では、映像や画像をスムーズに遠隔地間とつなぐため、ネットワーク環境が極めて重要になります。ネットワーク環境が十分でなく、映像品質が悪くストレスを感じてしまえば実用性が下がり、利用も定着しないでしょう。ネットワークへの接続については、Wi-Fi環境があればそれを利用し、ない場合はSIMカードを搭載してLTE/5G通信で利用することになるでしょう。

 ウェアラブルカメラは、現場の映像をリアルタイムにつなぐという点でもメリットがありますが、現場で撮影した映像を保存しておき、あとで活用することもできます。技能継承や教育のために、ベテラン人材の作業内容を映像化しておき、共有することでさらなる業務効率化にもつながる可能性があります。企業によってさまざまな使い方が期待できるソリューションではないでしょうか。

製造業のスマートファクトリー化をデジタル技術から支援

日本の製造業は人材不足や老朽化した生産設備の維持、技能継承など、さまざまな問題を抱えており、これらに対応するため、生産性の向上が喫緊の課題となっています。NTT東日本は、「デジタル技術」と「セキュアなインフラ環境」によって、工場のデジタル化(スマートファクトリー化)をご支援。製造業の生産性向上をサポートします。


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