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その悩み、スマートファクトリー化が解決します(第2回)

工場のレイアウトは「無線通信」で自由自在

 消費者ニーズの多様化や製品ライフサイクル短期化といった傾向が強まる昨今、社会情勢の変化も相まって、製造業はより柔軟性のある生産体制が求められるようになっています。そのためには、製造業の工場内で生産ラインの組み換えやレイアウトの変更をより円滑に行えるようにする必要があります。こうした体制を構築する上で合わせて検討したいのが、工場内のネットワーク環境の無線化です。

「柔軟な生産体制の構築」が求められている

 近年では、多様化する顧客ニーズに合わせて、市場に流通する商品のバリエーションも豊富になっています。また、次々と新しい商品が市場に投入されることから、製品ライフサイクルも短期化の傾向にあります。企業としては、消費者のニーズをいち早く汲み取って適切なタイミングで適切な製品を製造して市場に展開するにあたり、多品種少量生産を行える体制づくりが求められています。

 顧客のニーズに合わせた多品種少量生産は、顧客満足度向上を実現するという視点から有効であることはもちろん、生産を少量単位にすることで、市場の動向を見ながら生産数を調整したり、ゆくゆくは完全受注生産に移行することも見えてきます。生産数の細かな調整が可能になれば、余計な在庫を抱えるリスクは減少します。

 製品ライフサイクル短期化や多品種少量生産に対応するには、柔軟性の高い生産体制を構築することが欠かせません。言い換えれば、生産ラインを迅速かつ容易に変更できるようにする必要があるということです。

 こうした生産の柔軟性は、顧客満足以外の観点でも重要です。新型コロナウイルスのような感染症や自然災害、国際紛争、新興企業の台頭など、日々変化する社会や市場の変化に柔軟に対応できるようになるというメリットがあります。

 例えば、コロナ禍でマスクの需要が急増して入手困難となった際、ある電機メーカーは1カ月に満たない短期間でマスクの生産体制を構築しました。この会社はもともとマスクを製造していたわけではありませんでしたが、他の製品を作っていたスペースへマスク生産に必要な機器を迅速に導入したのです。生産ラインの柔軟性が功を奏した事例といえるでしょう。

生産ラインの柔軟性を高める無線環境

 生産の柔軟性を高めるためにはどうすればよいでしょうか。ITインフラの視点から積極的に行いたいのが、無線通信環境の構築です。LANケーブルなど配線の都合で生じる物理的な制約をなくせば、工場内のレイアウトをより容易に変更できるようになります。総務省の調査によると、無線通信環境は導入済みの企業は多いものの「今後も増やしたい」と考える企業は半数以上にも及ぶことから、まだ改善の余地がある取り組みといえます。

出典:総務省「製造現場におけるローカル5G等の導入ガイドライン」p8「5G時代における工場のワイヤレス化の実現に向けた方策等に関する調査研究」実態調査より

 有線LAN環境では、ケーブルの都合でレイアウト変更に時間がかかったり、設備を設置する場所の選択肢が限られたりすることもありますが、無線LAN環境ではそうした制約の解消が期待できます。その他にもケーブルを取り払うことで、設備を移動する際にケーブルが抜けたり断線するリスクを軽減できるほか、ケーブルのメンテナンスコストの削減も期待できます。

 さらに無線通信環境であれば、AGV(無人搬送ロボット)、AMR(自律走行搬送ロボット)を用いた資材搬送業務の自動化や、スマートフォン、タブレットなどのモバイル機器を活用した製造現場での情報入力・参照も行いやすくなります。同じく無線通信を用いるスマートグラスなどを導入すれば、遠隔地とのコミュニケーションを円滑にし、的確な業務指示や若手の指導を行いやすくなるでしょう。

テクノロジー導入と相性がよい無線LAN

 無線通信の環境は、IoTやAIといったデジタル技術とも高い親和性を発揮します。近年、こうした新しい技術を製造現場に適用する機運が高まっています。例えば、工場内に設置されたカメラの映像を5Gなどの無線通信でクラウド上に送り、設備や機器、作業員の行動をモニタリングするといった事例も多く見られます。

 IoTでは多くのセンサーが用いられます。センサーで取得したデータは多くの場合無線通信で送られるので、無線通信環境の整備はIoT導入の必須項目とも言えます。

 このように、工場内の無線通信化は、生産ラインの柔軟な変更にとどまらず、デジタル化の取り組みを進める上でも多方面のメリットが期待できます。

工場内の無線通信環境構築の注意点

 無線通信化はデジタル技術活用の柔軟性を格段に向上させますが、導入には注意したい点もあります。特に、他の設備や遮蔽(しゃへい)物があった場合、有線通信に比べて通信品質が劣化する可能性がある点には配慮が必要です。

 これは、IoTによるセンサーデータの取得に影響を及ぼします。データを劣化させずに取得したい場合は、無線通信環境で検証する必要があります。高い通信品質を実現できるかどうかは、無線LANアクセスポイントをいくつ、どのように配置するかで変わるので、無線通信に通じた事業者の知見を必要とする場合もあります。

さまざまな選択肢から自社にあった無線通信の方式を

 無線通信で一般的なのはWi-Fiですが、それ以外の選択肢も存在します。工場の敷地面積が広い場合、通常のWi-Fiでは対応が難しくなるため、通信キャリアが提供するモバイル通信網(4G/LTE/5G)を利用するという選択肢もあるでしょう。

 また、通信キャリアに頼らず「プライベートLTE」などと呼ばれる自営モバイル網を構築するという方法もあります。自営モバイル網の5G版ソリューションが「ローカル5G」で、一部の企業ですでに導入が行われています。ローカル5Gに関しては、総務省が公開している「製造現場におけるローカル5G等の導入ガイドライン」で、無線通信の基礎知識を始めとして、工場内でローカル5Gを導入した事例、導入の手順や保守・運用フェーズなどが詳細に記載されています。

 生産体制の柔軟性を実現するための環境は、それぞれの製造現場で求められる要件によって異なります。迅速で柔軟なレイアウト変更が可能な無線環境構築の取り組みを進めるにあたって、上記の資料などのほか、通信環境構築分野で実績のあるパートナー企業の知見を参考にするとよいでしょう。

製造業のスマートファクトリー化をデジタル技術から支援

日本の製造業は人材不足や老朽化した生産設備の維持、技能継承など、さまざまな問題を抱えており、これらに対応するため、生産性の向上が喫緊の課題となっています。NTT東日本は、「デジタル技術」と「セキュアなインフラ環境」によって、工場のデジタル化(スマートファクトリー化)をご支援。製造業の生産性向上をサポートします。


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