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2021.02.09 (Tue)

いまさら聞けない働き方改革のイロハ(第15回)

働き方改革とは?課題・問題点と今後求められること

posted by Biz Drive編集部

 2019年4月に「働き方改革」の関連法が施行されました。そもそも「働き方改革」とは一体どのようなものなのでしょうか。そしてその課題点や問題点にはどのようなものがあり、私たちは今後どのように対応をしていけばよいのでしょうか。本記事ではそれらについて解説いたします。

働き方改革とは?

 2019年4月に施行された「働き方改革」関連法案。名前を耳にしたことはあっても、内容は知らないという方も多いのではないでしょうか。以下では、「働き方改革」について詳しくお伝えしていきます。

働き方改革の概要

 厚生省では「働き方改革」の意味づけを「働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。」としています。

 もっと簡単に言うならば、働き方改革とは、働く人々が個々の事情に応じた柔軟な働き方ができるようになることをめざしたものです。また、個人が働き方を自由に選択できるようになることも、働き方改革には含まれています。

働き方改革の課題や問題点とは?

 政府が推し進めている働き方改革ですが、さまざまな面で課題があります。働き方改革を成し遂げるためには、まず課題をはっきりさせ、そのうえで対策を講じることが必要です。そこで、まずは、働き方改革の前に立ちはだかる課題や問題点を整理しましょう。

企業側の2つの課題

 働き方改革を進めるにあたり、企業側にも従業員側にも課題はあります。まずは、企業側の課題について、代表な例を2つ見ていきましょう。

利益が減少する

 働き方改革によって労働時間が減少すると、利益も比例して減少するという単純な図式があります。さまざまな業種で深刻な人手不足が蔓延化しており、少ない人数が長時間労働することで利益を生み出しているという現状があります。

 人手不足が解消されないまま労働時間が減少すれば、当然企業の売上は下落するというわけです。そのため、なかなか働き方改革の提唱通りにはいかないのが実際のところです。とくに飲食業やサービス業などは労働時間の減少による売上の下落が著しいと言われています。

 働き方改革にばかり目を向けるのではなく、まずは業種ごとに業務形態そのものを見直すなど、根本的な解決策が求められています。

取引先との関係

 たとえ自社が働き方改革として労働時間を短縮しようとしても、取引先との兼ね合いから踏み切れないというケースがあります。たとえば飲食店などにおいては、営業時間を長くすることで他社との差別化を図る企業などがあります。

 この場合、飲食店の従業員はもちろん、その飲食店が主な取引先である企業も、労働時間を短縮することは難しくなります。その飲食店が主な取引先である以上、その営業時間内に起きる急な対応などに即座反応しなければ利益が減少するためです。

 このように、長時間労働の是正が難しい取引関係は各業界に存在します。そのため働き方改革を成功させるには、個々の企業そのものではなく、業界や業種全体での取り組みが必要です。

従業員側の2つの課題

 働き方改革の遂行には、企業側だけでなく、従業員側にも課題があります。たとえ企業側が努力をしたとしても、従業員側が応じなければ働き方改革の成功はありません。まずは課題をしっかり認識し、課題をクリアするためにはどうすればよいか、ということを常に意識することが不可欠です。従業員側の課題とは、主に以下の2つがあります。

取引先との関係

 働き方改革の一環として、時間外労働の上限に規定が設けられました。具体的には「月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)を限度に設定」となっています。

 この規定により、毎月の残業時間が大幅に制限されることになります。すると、残業時間とともに、残業代も減少することになります。企業側にとってはコストカットにつながりますが、毎月相当額の残業代を生活費に充てていた従業員にとっては、収入の減少につながります。

 とくに収入における基本給の割合が低い中小企業の従業員などは、年間50万円の収入減につながるという目算もあります。このように残業時間の減少=家計への大きな負担という図式があるため、従業員側は働き方改革に積極的になれないという課題があります。

業務量が減るわけではない

 働き方改革によって労働時間が是正されたとしても、業務量や業務内容に変化があるわけではありません。なぜなら働き方改革とは、前述のように、「働く人が個々の事情に合った働き方を自由に選択できるようになる」ことをめざしたものだからです。つまり働く人の働き方の意識の変化を促すものであり、個々の企業の仕事自体に変化を求めるものではないのです。

 現在はどの業種も慢性的な人手不足に陥っており、個々が長時間労働を行うことで人手不足をカバーしている現実があります。そのうえで労働時間に上限を設けるということは、より短い時間で今までの業務量をこなさなければならないということです。

 働き方改革として労働時間に上限は設けられましたが、業務量自体に変化があるわけではありません。つまり従業員側にとっては、かえって労働の負担が大きくなるという問題があります。

働き方改革の今後

 働き方改革にはさまざまな課題があります。今後、 私たちは、その課題にどのように向き合っていく必要があるのでしょうか。企業側と従業員側それぞれに求められていることを見ていきましょう。

企業側に今後求められること

 企業側に求められるのは、生産性をアップさせることです。そのためには業務システムや業務内容の抜本的な見直しが必要です。また、急激な改革は現場に混乱を生むこともあるため、中長期的な視野を持ち、着実な変化を促すことが大切です。

労働生産性を向上

 企業側には労働生産性のアップが求められます。労働生産性とは「従業員1人当たり、または1時間当たりに生み出す成果」のことです。少子高齢化により労働人口が減少したにもかかわらず、労働時間にも上限が規定された現在では、少ない従業員で高い利益をあげる=労働生産性の向上が必要です。

 従業員一人ひとりの生産性を挙げるためには、まずは業務内容の見直しが必要です。たとえば「必要のない業務」などを見直し、無駄な人件費や労働時間のカットを行うことで、生産性のアップにつながる可能性があります。

業務システムの改善

 テレワークの推進やICTインフラの構築等を推進し、業務システムを改善することが求められます。とくにICTインフラの構築は、従業員の労働生産性の向上に繋がるため、企業側が努力を求められます。

 たとえばICTインフラの構築により、残業代や事業の効率化に成功した製造業A社の例を挙げてみましょう。A社では多くの従業員の残業が日常化していました。しかし基幹業務システムの刷新や、見積もりシステムを新たに開発したことにより、業務の効率がアップして、従業員1人当たりの月平均残業時間が18時間から1時間に短縮できました。

 このように企業側がICTを活用して業務システムを見直すことで、業務の効率が上がる可能性があります。少ない従業員で効率を上げるためにも、まずは業務システムを見直すことが大切です。

従業員側に今後求められること

 働き方改革を推進するうえで、従業員側にもっとも大切なのはマインドセットの部分といわれています。マインドセットとは固定化された考え方や思想パターンのことで、簡単に言えば「無意識の思い込み」です。

 働き方改革とは、それまでの働き方への固定概念を捨て、多様化した働き方に柔軟に対応することが求められます。そのためには、どんな努力が必要なのでしょうか。

変化への適応

 企業側がいくら努力して変化を促しても、従業員側がそれを受け入れなければ、真の働き方改革はのぞめません。従業員は無意識に培った働き方への固定観念を捨て、企業側が提示するポジティブな変化に積極的に理解を示していく必要があります。

 もちろん、働き方改革によるデメリットについては、はっきりNOと伝えることも大切です。働き方改革は企業側と従業員側が呼吸を合わせ、双方にとってメリットのある働き方を模索することが何よりも重要です。

 そのためにも、従業員側は、良いことも悪いこともはっきりと発言して意思表示をしていくことを心がけましょう。それが、自身にとってより良い労働環境の充実にもつながります。

働き方改革の問題点や課題点を理解して、最適な対策を実施しましょう

 働き方改革を推し進めるためには、企業側と従業員が協力して、労働環境を整備していくことが大切です。そのためにも、まずは自社の課題は何かを見極めてみてください。

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