ネットワーク技術は、日々進化しています。この記事では、すでに生活の中に根付いているネットワーク技術に加えて、現在注目を集めている技術、これから使用されるようになる技術について解説していきます。最新技術に注目し、ビジネスを加速させましょう。
ネットワークの原理と仕組み
まずはネットワークの原理について解説します。ネットワークとは情報の網のことであり、その中にインターネットが含まれています。
インターネットとは
インターネットとはネットワークの1種です。ネットワークは複数のコンピューター間で情報のやり取りを可能にする仕組みです。利用するときにはケーブルや無線LANを使って、パソコンなどの機器をネットワークに接続します。
ネットワークの中でもインターネットと呼ばれるのは、ネットワーク同士をつなぐネットワークのことです。たとえば家庭内ではパソコンやプリンタ、ルーターは1つの小さなネットワークでつながっています。この小さなネットワークをLANと呼びます。各LANを大きなネットワークにつなぎ、外部から情報を得るための仕組みがインターネットです。
つまりインターネットとは、世界中のコンピューター同士が情報をやり取りするための巨大な情報網と言うことができます。インターネットはもともと、アメリカとソ連の冷戦時代に、不安定な電話回線に代わる軍事用情報交換ツールとして、アメリカで開発されました。
世界で初めて運用されたのは「ARPANET」という電話回線を利用したインターネットで、1969年にアメリカの大学で実現されました。日本でインターネットが運用されたのは1984年で、「JUNET」と呼ばれています。
1980年代には、TCP/IPという通信プロトコルがインターネットの標準ルールとなり、パソコンの性能が飛躍的に向上して一般にも広く浸透するようになりました。その後もインターネット回線は進化を続けています。
インターネットの仕組み
インターネット上には、情報やサービスを提供するコンピューターである「サーバー」と、その情報を受け取るコンピューターの「クライアント」という2つの役割があります。サーバーにはさまざまな種類があり、それぞれ提供する情報・サービスが異なります。
クライアントは、パソコンやスマートフォンなどの電子端末が代表的です。たとえばパソコン(クライアント)から電子メールを送信する場合、その要求はインターネット上にいる電子メール用のサーバーに働きかけます。サーバーはクライアントの要求に従い、そのクライアント(パソコン)から他のクライアント(パソコン)に電子メールを送信します。
このように、インターネットはさまざまなクライアントとサーバーの情報のやり取りによって成り立っています。なお、個人ユーザーがインターネットを利用するときには、「IPアドレス」が必要です。
インターネットに必要不可欠なIPアドレス
「IPアドレス」とは、インターネット上の住所に該当します。ネットワーク通信は、IPアドレスからIPアドレスへ情報を送信することで可能になります。
たとえば手元の端末から他のパソコンにメールを送る場合は、手元のIPアドレスから発信された情報を、該当のパソコンのIPアドレスに届けることで、電子メールが送信されるという仕組みです。なお、IPアドレスには「グローバルIPアドレス」と「プライベートIPアドレス」の2種類があります。
グローバルIPアドレス
「グローバルIPアドレス」は、インターネットに接続するために必須のIPアドレスです。IPアドレスは一定のルールに従って付与されています。ルールを統括する組織が「IANA」です。「IANA」は地域別に階層的に組織されており、アジア圏の管理組織を「APNIC」といいます。「APNIC」は国別にさらに分類され、日本は「JPNIC」という下位組織によってIPアドレスが管理されています。
プライベートIPアドレス
「プライベートIPアドレス」は、インターネットに接続しない場合に、各企業や家庭で自由に設定できるIPアドレスです。プライベートIPアドレスは「192.168.0.0 ~ 192.168.255.255」あるいは「172.16.0.0 ~ 172.31.255.255」あるいは「10.0.0.0 ~ 10.255.255.255」の範囲内で設定できます。
ネットワーク最新技術
ネットワーク通信技術は日々進化を続けています。現在の主流であるネットワーク回線について解説します。
速くなる通信速度
ネットワーク通信技術の進化により、通信速度は格段に上がってきています。通信速度に大きな影響を持つのが、通信規格です。現在主に使用されているのは「1000BASE-T」や「10gBASE-T」という規格です。
現在主流の「1000BASE-T」
「1000BASE-T」は、現在最も一般的に使用されている規格です。最大通信速度は「1Gbps」で、具体的には、約2GBのデータの転送時間が約16秒、7.5GBのデータの転送時間が約1分です。なお、最大通信可能距離は100メートルです。
普及しつつある「10gBASE-T」
「10gBASE-T」とは現在、徐々に普及している回線です。「1000BASE-T」の約10倍の通信速度があります。例えば10GBのデータを転送するには、従来の1000BASE-Tでは80秒かかるところを、10gBASE-Tでは8秒に短縮できます。
10gBASE-Tは、大容量のデータの転送時間が大幅に短縮できる点にメリットがあります。最大通信距離は「1000BASE-T」と同じく100mですが、ケーブル規格がCat6以前の場合は55mです。そのため、10gBASE-Tを構築するときには、「CAT6A以上のLANケーブル」の準備が必要です。あわせて、「10GBASE-T対応のLANカード」もクライアント側とサーバー側のそれぞれに準備します。
加えて、インターネット通信に10Gbpsを利用する際は、回線事業者と契約し、ONU(光回線終端装置)とルーターをレンタルするという手順が必要です。
AIの普及
ICT分野の進展において、次世代技術の発展も急速に進んでいます。その中でも近年、AI技術を用いたサービスも身近になっています。「AI」とは人間の知能の持つ機能を備えたコンピューターのことで、人工知能とも呼ばれます。なお、現在はAIの定義は多義的であり、何をもって「AI」と定義づけるのかは統一されていません。AI開発の歴史には、これまでに3つの大きな波があります。
第1次ブームは1950年代後半〜1960年代に起こり、パズルやゲームなどの明確な答えがある分野で盛んになりました。次第に技術の限界が見えるとともに、AI研究は「冬の時代」を迎えます。
第2次ブームを迎えたのは1980年代で、AIに専門知識を与えて問題解決を図る「エキスパートシステム」の研究が盛んになります。しかし技術の壁に直面し、AI研究は再び冬の時代に突入します。
第3次ブームは2000年~現在で、とくに「ディープラーニング(深層学習)」の分野で進展を見せています。今後AIが普及すれば、今まで人の手で行っていた作業の多くを任せられるようになります。
たとえばレジの自動化や調理のロボット化などがあります。このように人よりAIの方が正確・迅速に処理できる職業では、今後人の出番がなくなる可能性が高いです。一方、精神カウンセラーや人事マネジャーといったコミュニケーションが必要な職業や、専門性の高いエンジニアなどの職業は、引き続き人の活躍が予想されます。
IoTの普及
近年はより身近な生活を便利にする技術の発展も遂げています。IoTは「Internet of Things」の略で、訳すと「モノのインターネット」となります。その名の通り、世の中に存在するモノに通信機能を持たせる仕組みで、自動認識や自動制御、遠隔操作などが可能になります。IoTを利用した技術には、外出先から遠隔操作でテレビの録画予約ができたり、自宅のドアの開閉を把握して防犯に役立てたりするサービスがあります。
IoTが普及すれば、今まで人の手で行っていた作業を、遠隔操作で機械に任せることができます。たとえば工場の無人化も可能となり、少子高齢化や働き方改革が進む今後、労働力不足の解消に大きな期待が寄せられています。
クラウドの普及
従来ではオンプレミス型と呼ばれる、自社でサーバーを構築し、運用する形式が一般的でしたが、技術の発展によりクラウドを用いたサービスも身近になっています。
「クラウド」とはコンピューターの利用形態です。データをネットワーク上に保存し、ネットワークを通して、さまざまな端末で利用するという仕組みです。
たとえばパソコンで取り込んだ画像を手元のスマートフォンで見ることは、一度クラウドにデータを保存することで可能になります。あるいは、YouTubeもクラウドを利用したサービスです。
YouTubeというネットワーク上に保存されたデータにアクセスすることで、パソコンなどの端末に動画を保存しなくても、クラウドを介してストリーミングし、いつでも動画を見ることができます。
進化を続けるネットワーク技術を取り入れる
ネットワーク通信技術は日々進化し、「AI」や「IoT」などの各分野でも著しい進展を見せています。さまざまな分野でのネットワーク技術の発展は、私たちの暮らしや仕事にも、利便性や効率性の向上という形で変化を与えるようになるでしょう。
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