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こっそり聞きたいネットワークのキホン(第4回)

IPアドレスの仕組みと確認方法について解説

 スマートフォンやパソコンでネットワークを使用する際に「IPアドレス」という言葉をよく目にすると思います。IPアドレスはネットワーク上の機器に割り当てられた住所のようなもので、送信元や送信先を識別する際に使われています。この記事では、IPアドレスの概要や調べ方、算出方法について具体的に解説します。ぜひ参考にしてください。

IPアドレスの概要

 IPアドレスはネットワーク機器ごとに割り当てられる住所を意味し、ユーザによって値を設定することができます。その長さや表記方法にはルールがあり、単純な数の羅列ですが、そこにもいくつかの機能を持たせています。以下ではIPアドレスの概要について解説いたします。

IPアドレスの長さと表記方法

 IPアドレスには「アドレスの長さ」や「表記方法」にルールがあります。IPアドレスには主に「IPv4」や「IPv6」の2つのバージョンがありますが、以下では現在主流であるIPv4について解説いたします。

 IPアドレスは「32ビットの2進数を設定する」というルールがあります。私たちが実際に目にする設定値は、その2進数の値を8ビット区切りにし、4組の10進数に変換された、「0〜255」までの値が設定されます。

 そのため、IPアドレスとして割り振られる値は理論的には「0.0.0.0」から「255.255.255.255」までの値となりますが、ある特定のアドレスは使用できないなど、別途ルールが存在します。

割り当てできないIPアドレス

 設定する際のルールとして「割り当てできないIPアドレス」が存在し、それらのアドレスにはそれぞれ特別な機能が割り当てられています。以下ではその中から「ネットワークアドレス」、「フロードキャストアドレス」、「ループバックアドレス」を紹介いたします。

 「ネットワークアドレス」はネットワーク自体を表すアドレスで、IPアドレスのホスト部のビットがすべて0となるものです。ホスト部に関しては後ほど説明いたします。

 「ブロードキャストアドレス」はブロードキャストする際に使用されるアドレスで、ホスト部のビットにすべて1が設定されるものです。ブロードキャストとは同一のネットワーク内のすべてのホストにデータを一括送信する機能です。

 「ループバックアドレス」は自分自身を示すIPアドレスのことで、IPアドレスの最初の組が127となっているものです。ループバックアドレスは自身のパソコンで動作する別のソフトウェアから自分自身のパソコンにアクセスする場合や、ネットワークを利用するソフトウェアのテストなどに用いられます。

IPアドレスの構成

 IPアドレスの32ビットは前半部分を「ネットワーク部」、後半部分を「ホスト部」といった構成に分割されています。ネットワーク部とホスト部の長さには決まりはなく、合計して32ビットのIPアドレスとなれば問題ありません。

 このままではどこまでがネットワーク部で、どこまでがホスト部か分類できないため、それらを分類する方法として「クラスによる分類」と「サブネットによる分類」が存在します。

デメリットの多いクラスフルアドレス

 「クラスフルアドレス」はIPアドレスの先頭1〜4ビットの組み合わせでクラス判定を行うことで、ネットワーク部とホスト部を判定する分類方法です。クラスの種類は「クラスA」から「クラスE」までの5種類ありますが、通常はクラスAからクラスCまでの3つが使用されます。

 一例として、クラスAについて説明すると、先頭ビットは0と決まっており、ネットワーク部は8ビット、ホスト部は残りの24ビットとなります。

 クラスフルアドレスは大きくネットワーク部とホスト部を分類するような大雑把な作りであるため、使用されないアドレスがあるにもかかわらず、アドレスが枯渇する可能性があるというデメリットを持ちます。

現代ではサブネットマスクが使われている

 現代ではクラスフルアドレスのデメリットを解消した「サブネットマスク」が主に使用されています。サブネットマスクはIPアドレスとは別に、32ビットの2進数を利用して、どこまでがネットワーク部でどこからがホスト部であるかを分類します。

 サブネットマスクは先頭から2進数の1が連続で設定され、1が続く範囲までのビットをネットワーク部、残りの0のビットをホスト部として判別します。クラスフルアドレスのように、各部の長さをクラスごとに決めていないため、「クラスレスアドレス」とも呼びます。

 サブネットマスクはIPアドレスとは別に32ビットの2進数を用意する必要がありますが、簡略化した表記方法として「CIDR表記」を使用します。CIDR表記はIPアドレスに「/ネットワークのビット数」を記載するだけの簡単な記載方法です。

グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレス

 IPアドレスには「グローバルIPアドレス」と「プライベートIPアドレス」の2種類のものを設定できます。グローバルIPアドレスは外部のネットワークと通信するために機器ごとに一意に割り当てられるアドレスで、プライベートIPアドレスは独立したネットワーク内で機器を識別するために一意に割り当てられるアドレスです。

 グローバルIPアドレスは世界中で使用されるアドレスと重複しないように管理機関によって管理されており、ネットワーク機器ごとに割り振る場合もありますが、ネットワークに一つ割り当て、機器毎に割り振りを行わない場合もあります。

 そのような場合、「NAT(Network Address Translation)」というプライベートIPアドレスからグローバルIPアドレスに変換する技術を使用して、複数人でひとつのグローバルIPアドレスを使用します。

IPアドレスを調べる方法

 IPアドレスを知る方法はプライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスで異なります。以下ではプライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスの調べ方について解説いたします。

プライベートIPアドレス

 プライベートIPアドレスは機器ごとに調べ方が異なります。

Windowsの場合

 Windowsの場合は「コマンドプロンプト」を開き、「ipconfig/all」と入力します。出力された結果の「IPv4アドレス」が該当のアドレスとなります。

Macの場合

 Macの場合は「システム環境設定」から「ネットワーク」を開き、「IPアドレス」の項目に設定されている値が該当のアドレスとなります。

iPhoneの場合

 「設定」→「Wi-Fi」で接続しているWiFi名の右の「i」マークを選択します。表示された画面の「IPアドレス」が該当のアドレス値です。

グローバルIPアドレス

 グローバルIPアドレスの調べ方を解説するにあたって、前提となるDNSという技術について解説します。DNSとは一言でいうと「ドメインをIPアドレス」に変換する技術です。

 実際にネットワーク間でやりとりをする場合、IPアドレスを直接指定して相手先を特定するのではなく、「ドメイン」を使用して相手先のIPアドレスを指定します。ドメインとはIPアドレスに名前をつけたようなもので、インターネット上のホームページアドレスでいうと、「企業名.co.jp」の部分です。

 ドメイン名を指定するとDNS(Domain Name System)という技術でIPアドレスに変換され、相手先を特定してやりとりします。

アドレスの計算方法

 私たちが目にするIPアドレスは10進数ですが、実際にネットワークで扱われるIPアドレスは2進数です。今回は補足として10進数から2進数のIPアドレスを計算する方法を紹介します。

ネットワークアドレスの計算方法

 10進数から2進数への変換は、10進数を2で繰り返し割っていき、その余り(0か1)を下位から上位へ順に並べるとできます。

 例えば「192.168.0.1」であれば「11000000.10101000.00000000.00000001」となります。

サブネットマスクの計算方法

 サブネットマスクは2進数で先頭から1が連続している部分が「ネットワーク部」、後続の0が連続している部分が「ホスト部」となります。

 例えばIPアドレスが上記同様「192.168.0.1」でサブネットマスクが「255.255.192.0」の場合、サブネットマスクを2進数に直すと「11111111.11111111.11000000.00000000」となるため、IPアドレスの上位10桁がネットワーク部、それ以降がホスト部となります。

 サブネットマスクに出てくる数字は255、192、128など大体決まっているため、覚えてしまうと簡単に計算できます。

IPアドレスはネットワーク上の住所

 IPアドレスはネットワーク機器の住所を表現しますが、その住所にはさまざまなルールや機能があることを解説いたしました。ネットワークを利用する場合にIPアドレスについて把握しておくと、問題が生じた際に解決の糸口が見つかる場合もあるので、ご自身のIPアドレスについて一度調べてみてはいかがでしょうか。

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