近年、ネットワーク技術は発展を続けています。ネットワークを活用したシステム・サービスの拡大も追い風となり、ネットワークエンジニアの需要はますます上がっています。そこで、ここではネットワーク業界に興味のある人やネットワークエンジニアになりたい人向けに、ネットワーク領域への入門となる基礎用語をいくつか紹介します。ぜひ参考にしてください。
ネットワークエンジニアに必要な能力
昨今、ビジネスにおけるネットワーク技術は進化し続けています。ネットワークエンジニアを代表としたICTインフラに関わる仕事に興味があるという人も多いのではないでしょうか。まず、ネットワークエンジニアに必要となる基本的な能力を紹介します。
ネットワーク・ICT知識
当然ですが、ネットワークエンジニアはネットワークの知識が必要となります。まずはLANケーブルやルーターの設置や設定方法、ICT業界で頻繁に使用されるネットワーク用語を覚えなければなりません。ネットワークは求められる技術の領域が非常に広いため、さまざまなICT知識を身につけることも重要です。
コミュニケーション能力
ネットワークエンジニアの仕事はパソコンと向かい合って淡々とタスクをこなすイメージが強いかもしれません。しかし、クライアントとのやり取りやチームの連携におけるコミュニケーション能力も必要です。
特にネットワーク、インフラ以外の部門やクライアントには、該当する分野に詳しくない人もいます。専門的な言葉をかみ砕いて説明する能力も必要です。
初心者はまずネットワーク用語を覚える
参考書や資料を読むときや、ビジネスコミュニケーションの場面でも、ネットワーク用語が使用されます。初心者はまずネットワークそのものの概要、基本的なネットワーク用語を理解しておく必要があります。本記事ではこれらの内容を順に紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
ネットワークとは
ネットワークそのものの概要を理解していないと、ルーターやパソコンの細かな内容の理解は困難です。ここでネットワークの定義と構成要素を解説します。
コンピューター同士をつなぐ情報通信設備
ネットワークを日本語で直訳すると「網」の意味です。一般的には人や物が網上につながっている状態を表していますが、ICT業界では少し意味合いが異なっています。
ICT業界では、いわゆるコンピューターネットワーク、複数のコンピューターが通信回路を通してつながっている設備やそれに伴う技術を意味しています。
ネットワークの構成要素
ネットワークは「コンピューター」「ネットワーク機器」「伝送媒体」の3つで構成されています。それぞれがどのような役割を担っているのか説明します。
コンピューター
ネットワーク構成要素の一つが「コンピューター」です。頻繁に使用される言葉ですが、コンピューターとは、アプリケーションやサービスを提供したり、利用する媒体です。
コンピューターと聞くとパソコンやサーバーをまず思い浮かべるかもしれませんが、スマートフォンやタブレットも含まれます。これらが相互に通信することでネットワークは成り立っています。
スマートフォンやパソコンでウェブサイトやYoutubeを見ているとき、共有ファイルを開くときが「コンピューターの提供サービスを別のコンピューターで利用している状態」に当たります。これらはネットワークの結びつきの代表例です。
ネットワーク機器
ネットワーク機器はその名の通り、コンピューターをネットワークにつなぐ役目を担っています。ハブ(HUB)、ルーターなどが代表的なネットワーク機器です。
例えば、自宅や会社でインターネットを利用する場合、複数のパソコンをハブで束ねて無線ルーターでネットワークにつなげます。このようにコンピューターとネットワーク機器が連携することで大規模なサービスを実現しているのです。
伝送媒体
伝送媒体とはケーブルや電波などの伝送する情報の通り道です。先ほど紹介したコンピューター、ネットワーク機器も伝送媒体でつなぐことで初めてネットワークとして機能します。物理的なケーブルを使う有線接続とWiFiやモバイル電波を使う無線接続の2種類があります。現在は無線接続を主流として設計されています。
エンジニア入門・ネットワークの基礎用語
ネットワークの用語を覚えることで、ビジネス上のコミュニケーションや資格の取得における知識が深まります。ここでエンジニアとしての入門となる基本的なネットワーク用語をいくつか紹介します。ぜひ参考にしてください。
LANとWAN
ネットワークの基礎用語として、まず理解しておくべきがLANとWANです。ともに特定の範囲内で使用されるネットワークです。
LANとは「Local Area Network(ローカルエリアネットワーク)」の略で、建物や部屋といった特定の狭い範囲内で共有するネットワークを意味しています。よく耳にするWiFiは、無線LANの一種です。
WANの方はあまり聞き馴染みがないかもしれませんが、「Wide Area Network(ワイドエリアネットワーク)」の略です。特定の範囲でありながらLANよりも離れた範囲でつながることができるネットワークです。
例えば、LANは同じ部門内や企業内、一方のWANは日本支社のLANとアメリカ本社のLANなどで情報を共有する際に使用されます。法則は同じですが、ネットワークとしての範囲が異なることを覚えておいてください。
インターネット
ネットワークの種類は、LANとWAN、インターネットで成り立っています。インターネットは世界中のネットワークと相互接続できるネットワークです。
LANとWANは特定の範囲が決まっているのに対して、インターネットは全世界の人々に開かれた大規模なネットワークであるという違いがあります。そのため、基本的に企業内の機密情報はLANとWAN、多くの人に発信したい情報にはインターネットで共有される傾向にあります。
TCP/IP プロトコル
ICT業界で用いられるプロトコルとは、コンピューターネットワークを支える通信規格のことです。データの送られるルートや順番といった確立されたルールが各プロトコルで決められています。プロトコルはウェブプラウザやメールといったネットワークの領域ごとに複数存在しますが、その中でもTCP/IPが最も代表的で広範囲のプロトコルです。
TCP/IPは「Transmission Control Protocol」と「Internet Protocol」を組み合わせたものです。HTTPやICMPといったインターネット、ネットワークを介したすべての通信技術の総称ともいえます。
IPアドレス
IPアドレスとは、コンピューターひとつひとつに割り当てられたインターネットにおける識別番号です。現実世界における住所のようなものと考えれば、わかりやすいかもしれません。
インターネットに直接接続するコンピューターに割り当てられるグローバルIPアドレスとLAN内で使用するコンピューターに割り当てられるプライベートIPアドレスが存在します。
例として、グローバルIPアドレスは無線LANルーター、プライベートIPアドレスはパソコンやスマートフォンに割り当てられています。IPアドレスはネットワークの疎通確認など、あらゆるシーンで使用されるため覚えておく必要がある用語です。
ネットワークエンジニアはハードな仕事だと言われる理由
ネットワークエンジニアは売り手市場で最先端の技術に触れることもできる貴重な職種です。一方で、仕事がつらく途中で挫折する人も多い状況にあります。なぜネットワークエンジニアはハードな仕事だと言われているのか、その理由を紹介します。
勤務時間が不規則
ネットワークは24時間正常に動いていなければならないため、エンジニアは夜間勤務や休日勤務を強いられることも多い仕事です。さらにシステムトラブルで急遽出勤させられることもあります。このように勤務時間が不規則なため、プライベートを重視する方には切り替えの難しさからつらい仕事に感じられるかもしれません。
ルーティンワークが多い
ネットワークシステムの設計から構築・運用・保守・監視まで幅広く請け負う仕事ですが、未経験者は経験を積む必要性から、まず「運用・保守・監視」のポジションに就くことがほとんどです。
これらは単純なルーティン作業が多いため、比較的刺激が少ない仕事です。設計・構築は自分で思考する部分も多くやりがいも感じられますが、一定の下積み期間とスキルが必要となります。自分の頭の中を形にしたいとの想いで、未経験からエンジニアになった方にとってはつらく感じるかもしれません。
資格の取得が難しい
ネットワーク業界の仕事に就く上で、資格は必要なわけではありません。資格を取得しておくと就職や昇格に有利になるほか、幅広い知識の獲得にもつながるという大きなメリットがあります。
しかし、ネットワークエンジニアが取得すべき資格は、専門的な知識が必要となるため、取得が難しいものです。幅広い知識が必要な分野のため、ICTに慣れ親しんだ人でないと慣れるまでに時間がかかります。
最初は理解しづらいが根気強く覚えることが重要
ネットワークは「知識量が多い」「横文字が多い」「最新情報がすぐにアップデートされる」など、大学や専門学校で深く触れていない人には苦労が大きい職種です。
ただし、未経験からネットワークエンジニアに就く人も多いので、根気強く理解していくことが重要です。志を持っている方は、まず本記事で紹介したネットワーク用語から理解し、さらに専門的な知識の獲得につなげてください。
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