2025年4月1日利用分より、フレッツ 光ネクスト(一部サービスタイプ)の月額利用料を改定します。詳細はこちら別ウィンドウで開きますをご確認ください。

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こっそり聞きたいネットワークのキホン(第25回)

ネットワークの信頼性・可用性について解説

 私たちの暮らしのあらゆる場面において、既にネットワークは「なくてはならないもの」となっています。ネットワークが止まるということは、私たちの暮らしそのものが成り立たなくなるということとほぼ同意義です。本ページでは、そもそもネットワークとは何か、そのネットワークの「強さ」を図る2つの指針、「信頼性」と「可用性」について説明し、その違いを明らかにしていきます。また、暮らしを守るための強固なネットワークを作り上げる初歩的な手法についても解説していきます。

ネットワークとは具体的に何を指しているのか

 ネットワークは私たちの生活に「なくてはならないもの」となっていますが、ネットワークとは具体的に何を指しているのでしょうか。解説していきます。

ネットワークとは

 ネットワークとは英語で書くと「network」で、網を意味する単語です。一般的には「人やモノを網上につなげたもの」を意味しますが、ICTの世界では「コンピューターを相互接続したもの」を意味しています。相互接続することで情報と情報のやり取りができます。世界中のネットワークの集合がインターネットです。ネットワークが構築されているからこそ、ウェブサイトの閲覧、メールやチャット、ネットショッピングや電子決済、SNS、クラウドでのファイル共有、動画の投稿や視聴、オンラインゲームなど幅広いサービスが利用できます。

さまざまなネットワークの種類

 ネットワークは規模に応じてLAN、WAN、インターネットに分類することができます。

 LAN(Local Area Network)とは家庭や企業、ビルなど同じ建物内の比較的狭い範囲のネットワークのことです。社内のパソコンをLAN内のプリンターやサーバーに接続してデータのやり取りができます。

 家庭内で数台のパソコンを相互接続している家庭内LANや、企業内で数百台のパソコンを相互接続している企業LANなどがあります。

 WAN(Wide Area Network)とは、物理的に離れたLAN同士を相互接続したネットワークです。電気通信事業者が提供する回線を利用することで、物理的に離れた本社と支店の企業間LANを相互接続したり、異なる場所にある大学キャンパスLANを接続することが可能です。

 インターネットとは、世界中のネットワークを相互接続した巨大なコンピューターネットワークです。家庭LANや大学キャンパスLAN、企業LANなどがさらに外のネットワークにもつながるようにした仕組みになっています。インターネットにはスマートフォンなどのさまざまな端末からアクセスできます。さらに、IoTの普及により航空・鉄道・車・家電などさまざまな業界で使用されています。

 ネットワーク接続方法として有線接続と無線接続があります。有線接続は接続が安定して、電波干渉を受けにくい一方で、端末ごとにケーブルが必要です。無線接続にはケーブルは不要ですが、電波干渉の危険性があります。

ネットワークを構築する上で大切なこと

 私たちの暮らしのあらゆる場面において、既にネットワークは「なくてはならないもの」いわば、インフラと言っても過言ではありません。もし、あなたがネットワーク構築を任された場合は「とにかく止まらないネットワークをつくる」ことが大事です。前記した通り、ネットワークはさまざまな業界で使われており、私たちの暮らしの中にも深く入り込んでいるので、ネットワークが止まってしまうと社会そのものが成り立たなくなってしまいます。一度止まってしまったネットワークを復旧させるのは大変な作業でコストがかかりますので、止まらないネットワークの設計は重要です。

ネットワーク障害が引き起こす災害

 ネットワークは私たちの生活だけではなく、あらゆる産業に使用されているので、ネットワーク障害は社会に多大な損害を与えます。ここでは、ネットワーク障害が引き起こす災害について紹介します。

ネットワーク障害がもたらした事例

 2006年のアメリカ商務省国家標準技術局の調査によると、ソフトウェアなどのネットワーク障害で受けたアメリカ経済の被害総額は2002年で600億ドルにも及ぶと報告されています。そこから約20年経った現在は当時よりもネットワークが普及しているので、被害総額はさらに膨れ上がっているでしょう。いくつか事例を紹介します。

航空機のネットワーク障害

 2005年8月、航空機がインド洋上空を飛行中、突然急上昇と急降下を繰り返す事故が起きました。機長の手動操縦で機体をオーストラリアへ無事に着陸させることができましたが、同事故はネットワークの欠陥が原因でした。ジェット旅客機は自動操縦プログラムによって飛行しており、進行方向や速度などの調整をソフトウェアが行っています。航空機に使われているプログラムは通常のソフトウェアより厳しい品質チェックを行っていますが、このような事故が起こってしまうのです。このときは無事でしたが、ネットワークに欠陥があると墜落の原因になり、多くの命が失われてしまう可能性があります。

自動車のリコール

 2004年および2005年初頭に販売された自動車が、時速55~105kmで走行中に、エンジンが停止するという報告がありました。エンジン制御を行うプログラムの不具合が原因とされており、コードの書き換えで対応するため、7万5,000台の自動車が自主回収されました。自動車業界においても、ネットワークのバグによる誤動作が問題になっています。

ネットワーク障害の危険度を図るさまざまな指針

 前記したように、ネットワーク障害は社会に多大な損害を与えてしまいます。そのような中で、RAMS規格(ラムズ規格)という、システム全体の安全性・信頼性の評価を行う手法を規格化したものがあります。Rは信頼性(reliability)、Aは可用性(availability)、Mは保守性(maintainability)、Sは安全性(safety)です。RAMS規格は鉄道システム用の規格ですが、ネットワーク障害の危険度を図る指針として参考になります。特にネットワーク信頼性を図る上でもっとも基礎的な「信頼性(reliability)」「可用性(availability)」について次項で説明します。

ネットワークの「信頼性」と「可用性」の違い

 ネットワークの「信頼性」と「可用性」は具体的にどのような違いがあるのでしょうか。分かりやすく解説していきます。

ネットワークの信頼性

 RAMS規格でいう信頼性(reliability)はアイテム(製品)が所定の条件と所定の時間間隔で、要求された機能を実行できる確率のことです。これをネットワークの信頼性に置き換えると「システムなどの障害や不具合の発生しにくさ、商品やサービスの提供が確実になされている度合」を言います。さらに極端に言えば、ネットワークの信頼性は「システムの故障率」と同意義と考えて差し支えないです。信頼性を図るには、2つの要素「平均故障感覚(MTBF)」「平均修復時間(MTTR)」があります。

 MTBFは(Mean Time Between Failures)の略で、平均故障間隔のことを指します。例えば、1,000時間に1回、1,100時間に1回、900時間に1回故障が起きた場合は、平均である1,000時間がMTBFになります。値が高いほど、システムの信頼性があると判断できます。

 MTTRは(Mean Time To Repair)の略で、平均復旧時間のことです。システムが継続的に稼働できるのをはかるものです。

ネットワークの可用性

 ネットワークの可用性とはシステムやサービスが使えなくなる頻度やその間隔を示す指標で、「稼働率」を表します。前記で解説したMTBFとMTTRで稼働率Aを表す式がありますので、紹介します。

A = MTBF / MTBF + MTTR

 上の式より、稼働率Aを算出することができ、信頼性が高ければ高いほど稼働率(可用性)も高くなることが分かります。

可用性の高いネットワークのつくり方

 システム全体の安全性・信頼性の評価には「可用性」も大事な要素であることを紹介しました。ここでは可用性の高いネットワークのつくり方について解説していきます。

可用性を阻害する要因

 可用性を阻害する大きな要因として「物理通信路の切断(ケーブル断)」「機器の故障」などがあります。情報が通るルートが1つしかなく、そのルート上の通信路/機器が壊れれば当然ネットワークは動作しません。ハードウェアに問題があれば信頼性が下がるので、結果として可用性は下がります。

「冗長化」を理解する

 前項で可用性を阻害する要因を紹介しました。「情報を通るルートが1つしかない」状態を解消する方法として「冗長化」という手段があります。ICTシステムにおける「冗長化」とは、ハードウェアやシステム構成などの予備機を配置・運用して、二重化することを意味します。サーバーやストレージ、ネットワーク機器などあらゆるハードウェアに「冗長化」を行います。データのバックアップに近い意味合いです。「冗長化」は止まらないネットワークを構築する上で、欠かせない手段と言えます。

冗長化を利用して可用性を高める

 冗長化を行うことで、仮に信頼性の低い機器だとしても可用性は高まります。メインの機器が故障したとしても、予備機がうまく稼働した場合はMTBFに影響しないからです。端的に言えば、情報が通るルートを1つではなく複数化することで阻害要因をなくして可用性を高めることができます。

大事なネットワークを守るために

 大事なネットワークを守るために、ネットワークを図る指針として「信頼性」と「可用性」があることを紹介しました。A = MTBF / MTBF + MTTRの式より、「信頼性」が高まれば必然的に「可用性」も高まります。「信頼性」が低い機器群でも「可用性」を高められる手法があります。それが「冗長化」です。ネットワーク機器には故障はつきもので、止まってしまうと社会活動に大きな損害を与えてしまいます。「冗長化」することにより、可用性が高く、暮らしと産業を守る強固なネットワークを構築することができます。

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