こっそり聞きたいネットワークのキホン(第20回)

ネットワークにおける専門用語の解説と設定方法

 パソコンをインターネットに接続したり、会社内でネットワークを構築する場合は、ネットワークの設定が必要不可欠です。しかし、ネットワークの設定では専門用語や設定項目が多く、どのように設定すればよいか分からず、頭を抱えている人も多いことでしょう。そこで今回は、ネットワークの設定において登場する専門用語の意味を解説し、Windows/Linuxの2つに分けて、ネットワーク設定の基本であるIPアドレスの設定方法について解説します。

ネットワーク設定に関する用語について

 ネットワークを理解するためには、まずネットワークの専門用語について知っておく必要があります。ネットワーク設定の際によく登場する単語について解説します。

IPアドレス

 IPアドレスとは、コンピュータやネットワーク機器に割り振られる識別番号のことです。ネットワークでは機器間の通信を共通のルールによって行っており、このルールは「プロトコル」と呼ばれます。IPは「Internet Protocol」の略称で、インターネットで通信を行う際に必要なプロトコルです。

 IPアドレスはIPネットワークにおいて個々の機器を識別するために割り当てられます。各機器はIPアドレスが割り当てられることで、データの送受信が可能となります。なお、IPアドレスは32桁の2進数で表されます。しかし実際にネットワークの設定を行う際は、「192.168.0.1」のように、8桁ずつ区切ったうえで10進数に変換した表現を用います。

サブネットマスク

 サブネットマスクとはネットワークの範囲を定義づけるための数値です。具体的には、「ホストアドレス」と「ネットワークアドレス」を識別しています。規模の大きいネットワークを管理する際には、小さなネットワークに分割を行うことが一般的です。

 「ネットワークアドレス」とは、分割された各ネットワークを識別するためのアドレスです。IPアドレスのうち、先頭何桁までかが「ネットワークアドレス」に該当し、その後ろの数値は「ホストアドレス」になります。サブネットマスクはIPアドレスの先頭にある「ネットワークアドレス」の範囲を明確にするための数値です。

 サブネットマスクの数値も、IPアドレスと同様に、32ビットの2進数を8桁ずつに区切って10進数で表します。

デフォルトゲートウェイ

 デフォルトゲートウェイとは、LANなどのネットワークから別のネットワークに接続する際の、通信の出入口のことです。ネットワーク同士の境界に置かれており、データ送信を中継する役割を果たします。具体的には「ルータ」「コンピュータ」「IPアドレス」などがデフォルトゲートウェイになります。

 一般的には「ルータ」がデフォルトゲートウェイとなることが殆どです。ネットワーク間で通信を行う際には、機器からデフォルトゲートウェイにデータを転送します。データを受信したデフォルトゲートウェイは、どの経路で送信するかを判断し、宛先の機器にデータを転送します。

DNSサーバー

 DNSサーバーとは、IPアドレスとドメイン名(またはホスト名)を紐付けて管理するサーバーのことです。IPアドレスは長い数字の配列であり、覚えるのが困難です。そのため、覚えやすい数字や文字の配列に変換する必要があります。変換された文字配列は「ドメイン」または「ホスト名」と呼ばれます。

 DNSサーバーは、ドメインとIPアドレスを合致させるための仕組みです。データの送受信などの際に、問い合わせを受けたドメイン名に対応するIPアドレスを探し、そのIPアドレスに変換しなおすことで、ネットワーク通信を補助しています。

Windowsのネットワーク設定方法

 Windowsのネットワークを設定する手順を解説します。Windowsのネットワーク設定には、大まかに以下の2つのステップを踏む必要があります。

イーサネットのプロパティを開く

 Windowsのネットワークを設定するときは、まず「イーサネット」の「プロパティ」画面を開きます。イーサネットとは有線で利用するネットワークの規格の1種であり、「プロパティ」画面では、有線LANに関する設定を行います。

 イーサネットのプロパティ画面の開き方は、まず「スタートメニュー」を「右クリック」し、その中の「ネットワーク接続」から「イーサネット」を選択します。次に「アダプターのオプションを変更する」または「この接続の設定を変更する」を指定すると、「イーサネット」の「プロパティ」画面が開きます。

IPv4の設定を行う

 「インターネットプロトコルバージョン4(IPv4)」は、インターネットプロトコル(IP)のバージョンの1つです。インターネット上の通信はIPv4に則って行われているため、IPv4の設定はネットワーク設定の中でも基本中の基本といえます。なお、設定方法には、以下のように「自動」と「手動」の2通りがあります。

自動でIPアドレスを取得する

 IPアドレスの自動取得は、前述の「イーサネット」の「プロパティ」画面内で行います「ネットワーク」タブの「IPv4」を選択し、右下の「プロパティ」ボタンをクリックします。

 続いて、「全般」タブの「IP アドレスを自動的に取得する」と「DNS サーバーのアドレスを自動的に取得する」を選択し、そのまま「詳細設定」を開きます。次に、「IP設定」タブで「DHCPが有効」「wins」タブで「NetBIOS設定」を「既定値」に選択します。

手動でIPアドレスを設定する

 手動でIPアドレスを取得する場合も、自動取得の場合と同様に「IPv4のプロパティ」画面で行います。「全般」タブで「次のIPアドレスを使う」を選択したら、設定したい「IPアドレス」と「サブネットマスク」「デフォルトゲートウェイ」の値を設定します。

 次に「次のDNSサーバー」を使うことを選択し、DNSサーバーにデフォルトゲートウェイと同じ値を設定します。

Linuxのネットワーク設定方法

 Linuxのネットワークを設定する際も、Windowsの場合と同様に、IPアドレスを自動もしくは手動で取得します。それぞれの方法について解説します。なお、Linuxディストリビューションは「debian」を前提としています。

自動でIPアドレスを取得する

 Linuxにおけるインターネットの設定は「/etc/network/」ディレクトリにある「interfaces」というファイルで行います。「interfaces」ファイル内に「iface eth0 inet dhcp」という文字列が記述されていれば、IPアドレスの自動取得は完了しています。文字列がない場合には、追加することで設定が完了します。

手動でIPアドレスを設定する

 手動でのIPアドレスの設定方法は、「コマンドを利用する方法」と「設定ファイル」を編集する方法の2通りがあります。それぞれの方法は以下の通りです。

コマンドによって設定する

 「ip」コマンドとは、ネットワークに関する設定・更新をするためのコマンドです。まず、「ip addr」で、ネットワークデバイスの現在の設定を確認します。このとき、ネットワークデバイスにIPアドレスを追加したい場合は「add」を用います。反対に削除したいときは「del」を用います。

 今回はIPアドレスを追加したいため、「add」を用いて「ip addr add IPアドレス dev デバイス名」と入力します。コマンドを使用して設定する場合、パソコンを再起動すると設定は元に戻ってしまうので、注意してください。

ファイルを編集して設定する

 ファイルを編集して設定する場合は、「/etc/network」ディレクトリの「interfaces」ファイルで設定を行います。同ファイル内の「iface eth0 inet dhcp」を「iface eth0 inet static」の文字列に変更します。続いて、「IPアドレス」「サブネットマスク」「デフォルトゲートウェイ」「DNSサーバー」をそれぞれ入力します。

用語の意味を知ることがネットワーク設定の第一歩

 ネットワーク設定の際には、さまざまな専門用語が登場します。円滑に作業を進めるためにも、それぞれの用語の意味を知り、いま自分がどのような設定を行っているのか把握することが大切です。

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