近年、ICT技術の発達により、コンピュータ同士だけでなく、あらゆるものがネットワークにつながる社会がやってきています。そのため、ネットワークテストやネットワーク管理・監視といった業務がさらに重要となります。ネットワーク関連の業務を効率的かつ高品質で行うためにはツールの活用は不可欠です。当記事では、ネットワークテストとネットワーク管理・監視の定義を説明した後、各業務におけるおすすめのツールについてご紹介します。
ネットワークの領域でツールが利用される場面とは
ネットワーク領域で使用されるツールは多岐にわたります。以下ではその中でも一般的なツールの利用用途について解説します。
ネットワークに関連するツールの利用用途
近年、ネットワーク関連業務の複雑化やネットワーク利用量の急速な増加に伴い、日々ネットワークに求められる品質は高まっています。それに応えるためには膨大な量のテストや、膨大な量のデータの整理と監視が必要となり、すべてを手作業で行うとネットワークエンジニアやインフラ系エンジニアの数も相当数に増やす必要が出てきたり、膨大な時間を要します。
そのため、「ネットワークテスト」や「ネットワーク管理・監視」にツールを活用することで、エンジニアの業務を効率的かつ高品質に行うことができます。
ネットワークテストの定義
上記ツールの利用用途のうち、以下では「ネットワークテスト」について、具体的にどのようなテストにツールを活用するのかを解説いたします。
ネットワークテストには主に2種類のテストが存在
「ネットワークテスト」の定義は各企業によって異なりますが、本記事では「負荷テスト」と「脆弱性診断(セキュリティテスト)」の2種類をネットワークテストとして定義します。上記2種類のテストの目的とツールの活用について解説します。
負荷テスト
「負荷テスト」はシステムに負荷をかけることでシステム上の不具合が発生しないかを検出するテストです。大量の人数が一度にアクセスすることを想定したテストや何カ月もシステムに負荷をかけ続けるテストなどがあります。
負荷テストを怠ってしまうと実際にシステムをリリースした際にアクセス数に耐えることができず、システムがダウンしてしまい、システムを根本から見直す必要が出てくるため、負荷テストはシステム開発の上で非常に重要なテストとして位置付けられています。
負荷テストは大量のデータを使用し、夜間休日を問わずテストを行う必要も出てくるため、ツールの活用は必須となります。
脆弱性診断
「脆弱性診断」は「セキュリティテスト」ともいわれ、こちらもシステム開発の中で非常に重要なテストです。リリースされているサービスで個人情報が流出したりするのは、このセキュリティテストが十分に行われていなかったことが原因です。
リリース後にセキュリティ上の不具合が発生した場合、サービスを提供する企業やシステム開発を担う企業が損害賠償を請求されることもあるため、リリース前にセキュリティ上のバグを取り除く必要があります。
システムの脆弱性には特徴があり、それを検知してくれるツールを活用することでより簡潔に脆弱性診断を行うことが可能となります。
ネットワーク管理・監視の定義
続いてネットワークの管理と監視について、具体的にどのような機能があり、ツールがどのように活用されるか解説します。
ネットワーク管理・監視の5つの機能
ネットワーク管理・監視の定義は企業によって異なりますが、ここでは「構成管理機能」「セキュリティ管理機能」「資源管理機能」「性能管理機能」「障害管理機能」の5つの機能をネットワーク管理・監視機能として定義し、それぞれについて解説いたします。
構成管理機能
「構成管理機能」とはネットワークが適切に機能することを確認するための機能であり、ネットワークの品質を担保する上で重要な役割を担っています。構成管理を適切に行わないと、「システムがストップしてしまう」「ICT資産の管理不足へつながる」などの問題を引き起こしてしまいます。構成管理にはハードウェアやソフトウェアなどさまざまな資産を管理対象としており、人手で管理して人的ミスを発生させないためにもツールを使用します。
セキュリティ管理機能
「セキュリティ管理機能」はウイルスや不正アクセスなどの脅威からネットワーク内の資産を保護する機能であり、ウイルス対策ソフトの管理やセキュリティ上問題が生じていないか監視を行います。世の中のネットワークへの攻撃手法は日々進化し続けており、対策がアップデートされてもその抜け穴を突いてくる攻撃が現れるため、セキュリティ管理は一過性のものではなく、常にアップデートし、常時監視を行ってくれるツールを使用します。
資源管理機能
「資源管理機能」はネットワークに関わる資源を管理する機能でサーバーなどの物理的な設備の管理を行います。近年は自社でサーバーを用意せず、クラウドコンピューティングによってネットワークを構築するケースも増えているため、資源管理はクラウドベンダー側で行うケースが増えています。
性能管理機能
「性能管理機能」はネットワークが常に正常に動作することを目的とした機能であり、ネットワーク上で通信遅延や通信障害などの問題を監視することで、問題発生時に早期に対応することができます。ネットワークが停止してしまった場合、そのネットワークを使用するサービスが停止してしまい、大きな損害を発生させてしまうため、性能管理機能は非常に重要な役割を担っております。
性能管理は24時間365日行う必要があるため、ツールを使用して監視できるようにします。
障害管理機能
「障害管理機能」は障害の検出方法や発生時の復旧手順、予防策を検討する機能です。障害は起きた時に一から対応を行うと復旧に時間がかかってしまうため、あらかじめ対策を立てておくことが大切です。
ネットワークテストで使用するツール
ネットワークテストで使用するツールはさまざまで、使用用途に応じて適切なツールを選定する必要があります。以下ではテストツールのうち、おすすめのツールを紹介いたします。
負荷テストで使用されるおすすめのツール(自動化およびグラフ表示)
負荷テストでおすすめのツールは「JMeter」です。JMeterは無料のツールで負荷をかけるためのシナリオを作成し、実際に手作業で負荷をかけなくても自動で負荷をかけることができます。JMeterは負荷をかけた結果を整理してレポート形式で表示してくれるため、どの処理で負荷がかかっているかなどが簡単に確認できるメリットもあります。
脆弱性診断で使用するおすすめのツール
脆弱性診断でおすすめのツールは「f-secure radar」です。こちらは有料のツールとなりますが、ほかの脆弱性診断ツールとは異なり「インターネット・アセット・ディスカバリーという、深層までカバーするクロール技術」が搭載されています。ウェブクロールとはウェブの深い情報まで掘り起こして診断する技術で、これにより脅威を事前に回避することが可能です。UIも優れており、診断結果をグラフ形式で表示するなど、管理がしやすいこともメリットの一つです。
ネットワーク管理・監視で使用するツール
ネットワーク管理・監視に使用するツールにもさまざまなものがあり、用途に応じて適切なツールを選定する必要があります。以下ではネットワーク管理・監視ツールのうち、おすすめのものを紹介いたします。
ネットワーク管理・管理で活躍するおすすめのツール
ネットワーク管理・監視のツールとしておすすめなのは「zabbix」です。zabbixは無料で使用できるツールながら、ネットワークの状態を簡潔にグラフや表で表示します。機能も充実しており、ネットワークの死活監視や障害を検知した際のプログラム定義など重大な問題が発生した際に活用できるだけでなく、ログイン数やメモリ使用量の監視など事前に問題を検知するための機能も備わっています。
ネットワークに関連する業務を理解した上で、最適なツールを活用していきましょう
ネットワークの品質を担保するためには「ネットワークテスト」と「ネットワーク管理・監視」が非常に重要な役割を担っています。手作業でこなすには膨大な時間と人材が必要になるところにツールを活用することで高効率化と人的ミスの低減を実現します。ツールにはさまざまな用途のものがあるため、目的に沿ったツールを選定しましょう。
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