クラウド導入はじめの一歩(第20回)

クラウドPBX導入のメリットと選び方

 クラウドPBXを導入することで、現在使用しているスマートフォンやパソコンを内線として使用することが可能となります。とはいえ「クラウドPBX」がどういったものなのか具体的にわからなければ、導入に踏み切ることは難しいでしょう。そこで、この記事ではクラウドPBXがどういうものなのか、導入することでどういったメリットが得られるのか、自社に適したものを選ぶポイントなどについて解説します。

クラウドPBXとは

 従来は社内にPBXと呼ばれる専用端末を配備し、電話回線を社内に張り巡らせて電話環境を構築していました。クラウドPBXは、PBXをクラウド上に配備することで、インターネット回線を通じて内線環境を構築できるサービスです。クラウドPBXは、近年導入が進んでいる、注目度の高いサービスです。

 クラウドPBXは、オフィス外でスマートフォンを内線電話として使用できることなども特徴です。

 後述に記載するクラウドPBXのメリットや選ぶ際のポイントなどを、ぜひ参考にしてください。

クラウドPBXのメリット

 クラウドPBXについて「社内の電話インフラを整備する」「顧客や部門間の電話コミュニケーションを円滑にする」といった漠然したイメージを持たれている人がいるかもしれません。ここでは、クラウドPBXを導入するメリットをいくつか紹介します。

工事不要で場所を選ばず導入できる

 クラウドPBXは、導入するための工事などが必要なく、アプリをインストールするだけで使用できるものもあります。さらに機器の設置なども不要なため、導入スペースの確保は必要ありません。手間とコストを考えずに手軽に導入できることが、大きなメリットのひとつです。

スマートフォンやパソコンを内線化できる

 クラウドPBXを導入することで、スマートフォンやパソコンで内線電話を受けることができます。スマートフォンで内線電話を受けられることで、会社支給のスマートフォンと2台持ちする必要がなくなる、外回りをしている営業に保留転送ができるといったメリットが生まれます。テレワークが推奨される現代のニーズに則したシステムです。

コストを削減できる

 クラウドPBXは、外出先から内線同士で無料通話ができるため、通話料が安くなります。さらにプライベートの端末を使えば会社から新たに端末を支給する必要がないため、端末代も節約。転送サービス、音声ガイダンスサービス等の外部サービスも使用する必要がなくなるため経費削減も期待できます。

 このようにクラウドPBXは、大幅にコストを削減できる可能性を有しています。企業にとってのメリットは非常に大きいといえるでしょう。

クラウドPBXを選ぶ際のポイント

 クラウドPBXのメリットを知ったことで、自社に導入しようと考える人がいるかもしれません。数あるサービス提供企業の中からどれを選べばよいのか、といった疑問も発生します。ここでは、クラウドPBXを選ぶ際のポイントをいくつか紹介します。

自社に適した規模のものを選択する

 クラウドPBXは、数十~数百人規模を想定したサービスが多いです。何回線必要か、何台同時通話をしたいなどの求めるスペックは、企業ごとに異なります。必要以上のスペックを選択すると無駄にコストもかかってしまうため、自社に適した規模のサービスを選択する必要があります。

管理画面は使用しやすいか

 クラウドPBXはレイアウト変更・人事異動がある場合、管理者が設定を変更する場合があるため、使用しやすいUI/UXのサービスを選ぶことをおすすめします。

 操作が簡単なものでないと、各サービスが提供するさまざまなクラウドPBXの機能を使いこなせません。選ぶ際には、管理画面の使いやすさも注目すべきポイントです。

アプリケーションとの連携は可能か

 クラウドPBXには、顧客管理システムなどのシステム・アプリケーションと連携できるものと、元から機能として備えているものがあります。

 連携できるもののほうが自社の環境に合わせてカスタムできるため、利便性が高いです。アプリケーションの連携の有無も選ぶ際には注目です。

必要な機能は備えているか

 クラウドPBXの主な機能には通話履歴、通話数分析、全通話の録音、PDF形式のFAX機能、連絡先共有といったものが挙げられます。サービス提供企業によって備えている機能は異なります。自社が必要としている機能を持ち合わせているかどうかを確認することも、選ぶ際には重要です。

電話番号がそのまま使えるかどうか

 クラウドPBXには、現在使用している電話番号をそのまま使用できるサービスもあれば、変更しないといけないサービスもあります。オフィスの移転といった機会でなければ、そのまま使いたい人が多いはずです。無駄な手間が発生しないよう、電話番号をそのまま使えるかどうかの確認も重要です。

インターネット回線の制限はあるか

 サービス提供企業が指定したインターネット回線を使用しなければならないサービスがあります。当然、指定外ものを使用していた場合はインターネット回線の変更が必要となってきます。

 例えば社内端末はiPhone、インターネット回線はNTTで共通している場合、すでにそれに合った社内インフラが整っているはずです。あらためて環境を変えると通信に問題が生じる可能性があるため、なるべくインターネット回線に制限の少ないサービスが有用です。

クラウドPBXサービスを紹介

 選ぶポイントを理解したところで、最後にクラウドPBXサービスの一例を紹介します。「初期費用」「月額料金」「回線数」「他アプリとの連動」を基準にいくつか紹介しますので、ぜひ比較しつつ自社に合ったサービスをみつけてください。

具体的なクラウドPBXサービス

 代表的なクラウドPBXサービスとして挙げられるものは「Good Line」「iスマートBiz」「BIZTEL ビジネスフォン」「MOT/TEL」「モバビジ」「トビラフォン Cloud」「Arcstar Smart PBX」です。それぞれ各種料金体系、内線数の異なるプランがいくつか用意されています。

 料金の安さを求めるなら「モバビジ」や「MOT/TEL」がおすすめです。従業員の増減に合わせて臨機応変な月額清算が可能です。

 予算に余裕があり大規模な電話インフラを整えたい場合は「BIZTEL ビジネスフォン」や「Good Line」がおすすめです。例えば、BIZTEL ビジネスフォンはライトプランで40内線確保できます。さらに各種CRM・SFAサービスやECサイト用のCMS、顧客データベースといったさまざまなシステムとの連携が可能です。

 基本的には内線や機能の数が多いほど料金が高い傾向にあります。また初期費用が安くてもオプション追加で結果的に料金が増える場合もあります。自社が求める規模とコストに見合ったサービスを選んでください。

気軽に導入可能なクラウドPBX

 クラウドPBXは手軽に導入できる上に、コスト削減、業務の効率化といったさまざまなメリットを実現できます。今後、企業への導入はますます進んでいくでしょう。

 特にクラウドPBXは個人が所有するスマートフォンが場所を問わず内線として使用できます。テレワークが進む現状とニーズが一致しているため、導入を考えてみてはいかがでしょうか。

※この記事は2021年3月時点の情報を元に作成しています

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