2021.03.19 (Fri)
クラウド導入はじめの一歩(第12回)
無料で利用できるクラウド型データベースを紹介
新型コロナウィルス感染対策のために、昨年秋から多くの企業がテレワークへと切り替えました。こうした働き方の中で、インターネット上で管理できるクラウド型データベースが注目を集めています。クラウド型データベースとは、インターネット環境さえあればデータベースを利用でき、クラウド上でデータを管理できるシステムです。本記事では、クラウド型のデータベース、グループウエア、在庫管理システムについて解説していきます。業務内容に従ったクラウドを導入することによって、コスト削減や業務の効率化に結び付きます。
クラウドとは
クラウドはクラウドコンピューティングと言い換えることができます。クラウドを導入することによって、ユーザーはサーバーなどのインフラ環境やソフトウエアを持っていなくても、インターネット上でサービスを必要な時に必要な分だけ利用できます。
クラウドの代表的な例としては、Googleがサービスを提供しているGmailやスプレッドシートなどを挙げられます。これらはソフトウエアなどをパソコンに導入しなくても、IDとパスワードさえあれば誰でも利用できます。
一方、従来のオンプレミス型は、インターネット環境があるだけでは利用できず、ソフトウエアのインストールなどが必要になります。
クラウド型データベースとは
クラウド型データベースとは、クラウド上で利用できるデータベースのことです。サーバーなどを自社に用意することなく利用できます。
クラウド型データベースの最大の利点はサーバー導入などのコストを抑えられることにあります。企業内にサーバーを新たに設置し、データベース環境を構築する必要がなく、その分においては安いコストで済みます。その他にも、すぐに利用可能、バックアップ機能の搭載などもメリットとして挙げられます。
このようにメリットの多いクラウド型データベースですが、注意点もあります。セキュリティ対策には特に注意する必要があり、データの重要度によっては自社独自のアクセス制御を導入するなどの対策も必要です。
クラウド型データベースサービスの一覧
クラウド型データベースサービスにはさまざまな種類があります。いくつかの代表的なクラウド型データベースについて説明していきます。
RDBMS
RDBMS(リレーショナルデータベースエムエス)とは、リレーショナルデータベースを管理するためのシステムです。リレーショナルデータベースは一つのデータに複数の属性の組として表され、組を並べていくことによってデータが格納される方式のことをいいます。
RDBMSのなかでもAmazon RDSは人気を集めています。Amazon RDSを導入することによって、クラウド上のリレーショナルデータベースのセットアップ、オペレーション、スケールなどが簡単になります。加えて、バックアップなどの時間がかかる管理タスクを自動化しながら、コスト効率とサイズ変更可能な容量の提供を行えます。
Amazon RDSには無料枠もあり、マネージド型データベースサービスをフリーで利用できます。また、新規アプリケーションの開発や既存アプリケーションのテストに利用することも可能です。
DWH
DWH(データウェアハウス)とは、大規模なデータ集計や分析に用いるデータベースのことをいいます。
Googleが提供するBigQueryは保管中のデータ、及び送信中のデータの暗号化、ファイヤーウォールを利用した接続により高いセキュリティを保つことができるDWHです。
さらに、リアルタイム分析・予測分析、データへのアクセスとインサイトの手軽な共有、データの保護と信頼性の高いオペレーションといった利点もあります。
NoSQL(KVS)
NoSQLとは関係データベース管理システム以外のデータベース管理システムを指すおおまかな分類語です。ビッグデータを格納するのに好適なNoSQLのうちKVS(Key Value Store)は、キーバリュー型DBと呼ばれ、もっともシンプルな構造のデータベースです。作成、及び更新時にはキーとバリューと指定し、キーを指定して読み取り、ならびに削除を行います。
KVSの代表例としてAmazon DynamoDBを挙げることができます。Amazon DynamoDBはフルマネージド型でマルチリージョン、マルチアクティブのデータベースで耐久性があります。組み込まれているシステムは、セキュリティ、バックアップと復元、インターネット規模のアプリケーション用のサービスとなっています。
クラウド型グループウエアとは
クラウド型グループウエアとは、スケジュール、ワークフロー、設備予約、タスク共有などを役割としたグループウエアを、クラウド上で管理するシステムのことをいいます。
このシステムを導入することによって、業務の効率化や社員の働きやすさの促進を期待できます。
無料で利用できるクラウド型グループウエア
クラウド型グループウエアの中には無料で使用できるサービスもあります。以下、代表的なクラウド型グループウエアを説明します。
iQube
iQubeは、iQube上に社内ノウハウを蓄積し、情報が属人化することのない組織作りに役立つシステムです。
スマートフォンからのアクセスも可能であるため、外回りの多い職種の人や、通勤、ないし移動時間にも内容を手軽に確認できます。
10ユーザーまでならば、無料で利用することができ、10名以上の利用が必要な場合は、プラン変更が必要です。
Aipo
Aiboは、エイムラックが提供するサービスです。Sプランは無料で利用することができます。
スケジュール、会議室の予約などといった必要な情報について、タイムライン形式で情報共有が可能であり、チャット形式でコミュニケーションをとれることにも特徴があります。
サイボウズLive
サイボウズが提供を行っているサイボウズLiveは、社外やプライベートでの情報共有をスムーズに行うことを目的としています。
サイボウズLiveには300人まで同時にチャットできる機能があるため、大規模なプロジェクトや社外関係者の多いプロジェクトにおいて最適です。
GRIDY
ナレッジスイートが提供を行うGRIDYは、設備予約やグループコミュニケーションのみならず、備品管理、To Doリスト、アドレス帳、ワークフローなどの23機能を無料枠の範囲内で利用できます。
GRIDYは、社員間、あるいは外部の人とデータ(ファイル、レポート)の共有が多い企業に向いています。容量制限がないため、データの共有を快適に行うことができます。
クラウド型在庫管理システムとは
クラウド型在庫管理システムとは、自社製品の受発注などの情報をクラウド上で管理するシステムです。
在庫管理をシステムによって行うメリットは、無駄のない在庫管理をできることにあります。余剰在庫や保管スペースの削減がコスト削減につながり、社員は在庫を把握しやすいため、業務に対して効率よく取り組むことができます。
無料で利用できるクラウド型在庫管理システム
クラウド型在庫管理システムには無料枠のサービスもあります。無料プランは有料プランよりも利用できるサービスの種類や上限が減ってしまいますが、在庫管理を行う分にはほとんど問題ないです。
以下、無料で利用できるクラウド型在庫管理システムについて説明します。
ロジクラ
ロジクラは、株式会社ロジクラが提供を行うサービスであり、小売・EC事業に適した在庫管理ソフトとなっています。
ロジクラには無料で利用できるプランがあります。無料枠では拠点数は1拠点のみ、月間出荷300件のみと制限はあるものの、商品を無制限に登録することもできます。
有料プランには宅配便の送り状を作成する機能も搭載されているため、人為的ミスを防ぎ、かつ効率的に管理から発送まで行えます。
クラウド型在庫管理ソフトZAICO
クラウド在庫管理ソフトZAICOは無料プランも展開されているサービスで、幅広い業種の企業から導入されています。製造業、小売などさまざまな企業での導入実績があります。
情報はクラウド上に保管されているため、コンピューターやスマートフォンが故障した場合にも、データは損なわれないために安心です。
ZAICOは無料プラン、有料プラン問わずにクラウド会計ソフトfreeeと連携させて、利用することができます。
SASO
SASOは、オープンソース型のフリー在庫管理システムです。業種問わず在庫管理に役立ちますが、アパレル業界において特に使いやすいシステムとなっています。
棚版管理、ラベル印刷機能を活用したバーコードによる数量管理を行うことができるため、保管スペースを把握しやすくなります。
また、デモサイトで使用感を確かめられるため、導入前に使用感を確認することができるのも、SASOのメリットといえるでしょう。
LASK
LASKは、幅広い業種で利用されている在庫管理サービスです。小売、通信販売業、サービス業など業種問わず導入することで、業務を効率化させることができます。
スマートフォンやタブレットにLASKをダウンロードするだけで利用でき、操作方法が簡単なことも特徴です。無料で基本的には利用できますが、必要な機能を有料で追加することも可能です。
作業内容・規模に適したクラウドサービスを選ぶことが重要
クラウドサービスはサーバーなどのインフラ設備の備品を準備することなく、低コストで利用することのできるサービスです。クラウドを利用する大きなメリットとして、業務の効率化、人為的ミスの防止を挙げられます。
クラウドの利点としてデータの損失、破損を防げることも特徴です。コンピューターやUSBにデータを保存している場合は、機器が故障した場合にデータを失ってしまうことが懸念されます。一方、クラウド上であれば、クラウドに保存されているためにこうした心配も不要です。
クラウドには各業務に応じたさまざまな種類があります。作業内容や規模に応じて適切なサービスを見極め、導入することが重要です。無料で利用できるプランも多いため、まずは気になったサービスをお試しで導入してみてもよいかもしれません。
※この記事は2021年3月時点の情報を元に作成しています
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