2021.03.19 (Fri)
クラウド導入はじめの一歩(第10回)
クラウド会計・販売管理・見積書作成システムを解説
近年、クラウドを利用した各種サービスが急速に浸透しており、多くの企業が会計や販売管理、書類作成に関連する業務においてクラウド型のサービスを導入しています。これらのクラウド型サービスは、従来のパッケージ型サービスと比較して、サーバー構築などの初期費用を軽減できるほか、導入作業が簡単であることも魅力であり、使い勝手の良いシステムとして注目されています。本記事では、クラウド型の会計・販売管理・帳票や見積書作成に役立つサービスについて解説します。
クラウド会計ソフトとは
クラウド会計ソフトは、クラウドサービスを利用した会計ツールです。従来のようにソフトウエアをパソコンにインストールするのではなく、クラウド上にあるソフトウエアを用いて、インターネット経由で会計処理や管理をおこないます。
クラウド会計ソフトを使うメリット
クラウド会計ソフトでは、会計データはクラウドサーバー上に保存されます。データへのアクセスは、システムにログインできるユーザーであれば誰でも可能です。そのため、関係者間でのデータ共有が簡単というメリットがあります。
たとえばデータの共有のために、従来のように会計データをメール添付したり、紙媒体でファイルを受け渡しする必要がありません。さらに、クラウドサーバーには日時・場所・端末を問わずアクセスできることから、テレワークや出張中の相手ともデータを共有できます。加えて、メール添付のように大容量のデータを分割する必要もありません。
クラウド会計ソフトのもう1つのメリットとして、バックアップ機能があります。前述のように、会計データはオンライン上のサーバーに保存されます。そのため、たとえローカル端末が故障したとしても、クラウド上にあるデータには影響がありません。クラウド会計ソフトの多くは自動同期機能が搭載されており、常に最新のデータがバックアップされる点もメリットです。
クラウド会計ソフトの代表例
クラウド会計ソフトはさまざまなベンダーから提供されています。代表的なサービスを2つ紹介します。
マネーフォワードクラウド会計
「マネーフォワードクラウド会計」は株式会社マネーフォワードが提供しているサービスです。特徴として、他の会計ソフトとのデータの連携が簡単であることや、高いセキュリティシステムを有していることが挙げられます。さらに2,400以上の金融関連サービスと連携しており、仕訳入力や決算書の作成が効率的に行えます。
入力画面や操作もわかりやすく、会計ソフトを初めて使う人でも利用が簡単です。高機能であることから、多くの企業で導入されているクラウド会計ソフトです。スモールビジネスプランとビジネスプランの2つのプランがあります。
弥生会計オンライン
「弥生会計オンライン」は、会計ソフトの老舗である弥生株式会社が提供するサービスです。金融機関の取引データや領収書の入力・仕訳を自動化することができるほか、日々の取引データを自動でグラフ化するため、経営状況を一目で把握できます。
会計事務所や他ソフトとのデータ連携も容易で、会計業務を効率的にこなすことができます。さらに、メールや電話による操作サポートや経理業務相談といった顧客フォロー体制も万全です。料金プランはセルフプランと、ベーシックプランから選択できます。
クラウド販売管理システムとは
クラウド販売管理システムとは、クラウド上で販売管理業務を行うためのシステムです。サービスや商品の受注~納品に至る一連の流れにおいて、インターネット経由で、効率的に販売状況を管理することができます。
クラウド販売管理システムを使うメリット
従来のパッケージ型の販売管理システムと異なり、クラウド型のシステムでは、クラウドサーバーにアクセスして販売業務を管理します。管理データはアクセス権限とインターネット接続環境があれば誰でも利用可能であり、日時や場所、端末を問わず、複数人でデータを簡単に共有できます。データは自動で上書きされるため、常に最新の情報にアクセスできる点もメリットです。
もう1つのメリットとして、導入や運用が簡単である点が挙げられます。ネットワークの構築のほか、ソフトのバージョンアップやメンテナンスはベンダー側に責任があります。そのため、ユーザーはサービスに申し込んだらすぐに利用を開始でき、管理者がソフト管理を行う必要もありません。
クラウド販売管理システムの代表例
近年はクラウド型の販売管理システムサービスも多数展開されています。代表的なサービスとして、以下の2つを紹介します。
flam
「flam」は株式会社フリップロジックが提供するサービスです。各種ブラウザやOSに対応しているほか、売上・仕入・在庫の管理などの情報を簡単に管理できるクラウド型システムです。とりわけ評価されているのが操作性の高さで、各種伝票や他会計ソフトとのデータ連携もボタン1つで行うことができます。オンラインサービスとは思えない高速な動作性も魅力です。
料金プランは「スタンダード」「プロフェッショナル」「プレミアム」の3つがあります。プランによってサービス内容やアカウント数、容量が異なるため、自社に最適なプランを検討してください。
スマイルワークス
「スマイルワークス」は株式会社スマイルワークスが提供するサービスです。プロジェクト別収支管理を主軸としたクラウドERPシステムですが、操作方法はいたってシンプルなため、初心者でも簡単に利用できます。販売管理だけでなく、経営の効率化のための機能が多く備わっているのが特徴です。
同社が販売する「会計ワークス」「給与ワークス」と連携させれば、自動的に販売データを振替伝票に起こすことができます。
クラウド見積書発行システムとは
クラウド見積書発行システムとは、インターネット経由で利用できるサービスで、さまざまな営業データにもとづいて見積書や請求書を自動的に発行することができます。
クラウド見積書発行システムを使うメリット
見積書発行システムは請求書から見積書や納品書への自動的な書き換えや、売上管理~入金管理までを一元的に管理することを可能にします。各種データの自動連携は作業の効率化を図るだけでなく、手動入力による入力ミスを減らすという点でもメリットがあります。
さらにクラウドシステムならではのメリットとして、情報共有の容易さがあります。各ユーザーは場所や日時、端末を問わずにデータを利用できます。常に最新データに自動で同期される点もクラウドシステムのメリットです。
クラウド見積書発行システムの代表例
クラウド見積書発行システムは多数展開されています。その中から、代表的なサービスを2つ紹介します。
楽楽明細
「楽楽明細」は株式会社ラクスが提供するクラウドサービスで、2,000社以上の導入実績を誇ります。請求書だけでなく、納品書や支払い明細書、領収書などの各帳票のほか、チラシなどの書類の発行にも対応しています。
表計算ソフトになれている人でも使いやすい画面デザインや操作性で、見積書発行システムの初心者でも簡単に利用できます。利用料金はプランやサービス内容によって異なります。
請求管理ロボ
「請求管理ロボ」は株式会社ROBOT PAYMENTによるサービスです。請求書の作成・発行・送付から、集金・入金消込・催促までの処理を自動化することができます。口座振替やクレジットカード決済などの経路別に入金結果を把握できるため、取引先ごとのデータ管理に役立ちます。
利用プランは「ライト」「スタンダード」「プロフェッショナル」の3種があります。サービス内容や料金はプランごとに異なります。
クラウドを利用した業務改善システムで業務の効率化を実現する
業務改善システムを導入すれば、会計処理や販売管理といった煩雑な業務を効率的に行うことができます。さらに処理を自動化することにより、人為的なミスを防止できる点もメリットです。
クラウド化された業務システムは、情報の共有やソフトの管理・運用が簡単である点、さらにコストを抑えられる点が魅力です。現在はクラウド型の会計ソフトや販売管理システム、見積書発行システムも多数展開されています。自社に最適なサービスを選択し、業務効率の向上をめざしましょう。
※この記事は2021年3月時点の情報を元に作成しています
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