2021.03.19 (Fri)
クラウド導入はじめの一歩(第7回)
クラウドストレージの使用可能容量と仕組み
クラウドとは、物理的なサーバーやストレージが無い状態においても、インターネット経由でアプリケーションを利用したりデータの保存ができるサービスです。多くのクラウドサービスは一定の容量までは無料で使用でき、追加料金を支払うことで使用可能容量を増加させることができます。本記事では、クラウドの概要について紹介した後、最も身近なクラウドサービスであるオンラインストレージサービスに焦点を当て、使用できる容量別に具体的なサービス、料金や仕組みなどについて解説します。
クラウドとは
クラウドとは、インターネット上に存在するサービスを利用できる仕組みのことです。クラウドを利用したサービスを「クラウドサービス」と言います。
従来は、複数のパソコンからデータを共有・保管したい場合は、サーバーを用意してネットワークを構築する必要がありました。しかしクラウドサービスではサーバーの設置が必要なく、インターネットに接続できる環境であれば、誰でもサービスを利用することができます。
現在では、さまざまなクラウドサービスが提供されており、個人利用者や法人は、利用目的に合わせて最適なサービスを選択することができます。本記事では、クラウドサービスの1種である「オンラインストレージサービス」について解説します。
オンラインストレージサービス
オンラインストレージサービスとは、インターネット経由でクラウドサーバー上にデータを保存できるクラウドサービスです。クラウドサーバーを使用することから、「クラウドストレージ」とも呼ばれます。代表的なオンラインストレージには、「Googleドライブ」や「Dropbox」があります。
オンラインストレージでできること
オンラインストレージサービスでは、パソコンやスマートフォンなどの端末に保存されているデータをクラウド上に保存できます。従来のようにUSBメモリーやSDカードといった外部ストレージを利用しなくても、大量のデータを保存できる点が大きな特徴です。
オンラインストレージのメリット
オンラインストレージサービスには主に2つのメリットがあります。1つ目のメリットは、場所を問わずデータにアクセスできる点です。オンラインストレージに保存されたデータは、サービスにログインすることでアクセスが可能です。つまり、インターネットに接続できる環境さえあれば、どこでも保存データを閲覧・編集できます。
2つ目のメリットは、データのバックアップ機能です。オンラインストレージでは、データはクラウドサーバー上に格納されます。そのため、スマートフォンやパソコンといった端末が故障したとしても、データが失われることはありません。
使用できる容量
クラウドストレージは、外付けストレージなどと同様に、使用できる容量に制限があります。多くのクラウドサービスでは、一定の容量までは無料で使用でき、制限容量を超える場合は追加料金を支払って容量を増やすことになります。
無料で使える容量は?
オンラインストレージサービスは、無料で利用できる容量を10GB前後としているケースが比較的多く見受けられます。
たとえば「Googleドライブ」の場合、15GBまでは無料で使用できますが、15GB以上は有料となります。容量ごとの料金はサービスやプランによって異なるため、利用する前には料金と容量を確認しましょう。
100GBまで無料で利用できるオンラインストレージ
「Degoo」は、100GBまで無料で使用できるオンラインストレージサービスです。スマートフォンとパソコンに対応しており、操作が簡単なのが特徴です。
写真やファイルの自動バックアップ機能の他、バックアップしたファイルのシェア機能や、大容量ファイルの送信機能が搭載されています。スマートフォン版は日本語対応ですが、パソコン版は英語対応のみですので、注意が必要です。
容量2TBまで利用可能なオンラインストレージ
オンラインストレージサービスの中には、容量2TBまで利用できる有料サービスも数多くあります。1TBは1000GBです。2TB容量を持つ代表的なサービスを2つ紹介します。
Googleドライブ
「Googleドライブ」のプランの1つである「GoogleOne」では、有料で2TBのオンラインストレージが使用できます。ストレージ容量は最大5名まで共有可能です。Googleドライブはさまざまなファイル形式が保存できるほか、マイクロソフトの「Word」「Excel」「PowerPoint」と互換性があるファイル作成機能が搭載されているのが特徴です。
Dropbox
Drop社が提供するオンラインストレージが「Dropbox」です。「plus」というプランでは、有料で2TBを利用できます。1契約につき1ユーザーのみの使用であり、個人ユーザー向けのサービスです。スマートフォンにも対応しており、インターネットに接続できる環境であれば日時や場所を問わずデータにアクセスできます。
容量4TB以上利用できるオンラインストレージ
4TB以上の容量を利用できるクラウドサービスもあります。代表的なサービスは、以下のオンラインストレージサービスです。
Dropbox
「Dropbox Business」の「standard」プランでは、有料で5TBのストレージが利用できます。ストレージは最小3人以上のグループ全体で共有可能です。管理者は1回のログインにつき複数チームのファイルを管理できるほか、ファイルの共有に関して柔軟な設定を行うことができる点が大きな特徴です。
容量無制限
オンラインストレージサービスの中には、容量無制限のサービスも存在します。容量を気にすることなく大量のデータやファイルを保存できるため、膨大なビジネスデータの蓄積が必要な法人に最適です。
Googleドライブ
「Googleドライブ」では、「Google Workspace」の「Enterprise」というプランで、容量無制限のオンラインストレージサービスが提供されています。ユーザーの人数に下限や上限がなく、料金は利用人数や内容に応じて変化します。
Dropbox
「Dropbox」では法人向けの「Dropbox business」の「Advanced」が容量無制限プランです。1回の転送で最大100GBのファイルを転送できます。
box
「box」はbox社が提供するオンラインストレージサービスです。容量無制限に対応しているのは「Business」「Business Plus」「Enterprise」の3プランです。いずれのプランもユーザー数に上限はありません。
個人向けの容量無制限サービス
容量無制限のオンラインストレージサービスの中には、個人利用者向けに展開されているものもあります。Amazon社が提供する「Amazon Photos」は、Amazonプライム会員を対象に、追加料金なしで容量無制限のオンラインストレージサービスを展開しています。
ただし、同サービスでアップロードできるファイルは画像・動画ファイルのみです。具体的には「JPEG」「BMP」「PNG」「GIF」などの拡張子ファイルが対応しています。
容量無制限サービスの仕組み
容量無制限のサービスの多くは、使用人数に制限が設定されています。そのため、個人利用者ではなく法人向けだと言えます。利用料金は提供企業によって異なり、明確な料金体系が開示されていないサービスも多くあります。この理由は、利用料金が契約内容や人数によって変動するためです。
必要に応じて使い分けよう
オンラインストレージサービスは、さまざまなサービス会社によって数多く提供されています。自社に最適なサービスを選択するためには、目的や使用したい容量、各サービスの機能や料金を比較し、吟味することが重要です。
※この記事は2021年3月時点の情報を元に作成しています
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