2021.03.19 (Fri)
クラウド導入はじめの一歩(第3回)
クラウド上で完結できる業務やポイントを徹底解説
クラウドは、年々注目度を高めています。クラウドはネットワークを介してサービスやシステムを利用することを指し、業務をクラウド上で行うことにより、それまで社内でしか行えなかった業務が「日時・場所を問わず業務が行える」などを筆頭に、さまざまなメリットが存在します。本記事ではどのような業務がクラウド上で行えるのか、例を挙げながらメリットとともに解説します。さらに、クラウドで業務を進める上でのポイントも解説します。
クラウド上で完結できる業務例
業務をクラウド上で行えるようにすることで、インターネット環境さえあれば日時・場所を問わず行えるようになるなどのメリットがあり、そのサービスも多様化しています。
以下では、クラウド上で完結できる業務例として「クラウドCMS」と「クラウドレンダリング」を紹介します。
クラウドCMSを用いたウェブコンテンツ作成業務
CMSとは「Content Management System」の略で、ウェブコンテンツを作成・管理するツールを指します。クラウドCMSとはCMS機能がすべてクラウドに用意されているサービスです。
CMSが登場するまで、ウェブサイトなどのコンテンツ作成はHTMLなどのプログラミング知識が必要でした。しかしCMSを使用すれば、専門知識は不要となりコンテンツ作成に注力できます。
クラウドCMSは非クラウド型のCMSと比較して以下のメリットがあります。
柔軟なパフォーマンス対応によるコスト削減
非クラウド型のCMSを利用していた場合、サーバーなどの機器を自前で用意する必要があります。用意する機器のスペックは、負荷がピークの際に耐えられるものを用意する必要がありますが、ピーク時以外にはそれだけのスペックは不要であり、無駄なコストが発生してしまいます。
対してクラウドCMSは従量課金制であることから、ピーク時のみサービスの利用を増やし、それ以外はスペックを下げるなどの柔軟な対応が行えるため、コスト削減が期待できます。
複数の担当者がウェブコンテンツを作成できる
非クラウド型のCMSでは、ウェブコンテンツを作成する人材を確保し、社内で作業してもらう必要があります。
対してクラウドCMSは作業する場所を選ばないため、社内に人材を確保する必要がなくなり、コンテンツごとの特徴に応じて外部発注も容易となることで、作業効率化や品質向上が期待できます。
クラウドレンダリングを用いた映像編集業務
レンダリングとは3DCGや映像、音楽などのコンテンツを処理することを指し、コンテンツを作成する際には必須となる処理です。
クラウドレンダリングは、非クラウド型のレンダリングと比較して以下のメリットがあります。
安価に処理の高速化を行える
動画や画像は年々高スペック化しており、それに伴い高い処理能力が要求されています。
レンダリングを高速化する手段として、所有するパソコンやサーバーのスペックを上げることでも可能ですが、実用的なレンダリング処理を実現するにはレンダリング専用のサーバーを何台も購入する必要があるなど、膨大なコストがかかってしまいます。
対してクラウドレンダリングであれば、パソコンのスペックを上げたり、サーバーを別途購入する必要はなく、インターネットを経由で高品質のレンダリングサービスを使用することができ、安価に処理の高速化を図ることができます。
クラウド上で業務を完結する際のポイント
クラウドで業務を完結させることで、業務効率化やコスト削減が期待できます。しかし業務の進め方が大きく変わるため、意識したいポイントが存在します。
ここでは、そのポイントのうち「マニュアル作成」と「クラウドでのプロジェクト管理」について解説します。
マニュアルの作成
クラウドCMSであれば複数の担当者にウェブコンテンツの作成を依頼する場面が出てくるでしょう。その際、マニュアルの整備を徹底することが重要となります。
マニュアルの整備を徹底しない場合、ウェブコンテンツ品質にばらつきが生じ、手直しにかかるコスト・作業時間の増加が生じるおそれがあります。
作成したマニュアルはクラウドで共有することにより、関係者は適宜最新のマニュアルを参照して作業できるため、作業の効率化が見込めます。
クラウドでのプロジェクト管理
クラウド上で業務を行うことで、社外のメンバーを含め複数人で業務を進められることから、プロジェクトの管理を徹底することも重要となります。
プロジェクト管理もマニュアル作成と同様にクラウド上で行うことで、効率的に業務を行えます。
ガントチャート
ガントチャートはプロジェクトを管理する上で基本となるツールで、プロジェクトの各タスクとスケジュールを可視化して管理するものです。ガントチャートを利用することで、プロジェクトの進捗状況や個々人の作業状況を客観的に把握することができます。
クラウドサービスのガントチャートや、自作したガントチャートをクラウド上で共有することで、メンバー全員がスケジュールの把握と作業状況の更新を行うことができ、管理者もリアルタイムで進捗状況を把握できるようになります。
課題管理
プロジェクトを進める上で、課題は必ず発生します。課題をしっかり管理しない場合、放置され、円滑にプロジェクトを進められない原因になるため、課題管理は重要です。
課題管理には既存のクラウドサービスを利用したり、作成した課題管理表をクラウド上で共有することで、各メンバーが課題を随時更新できたり、管理者が最新の課題状況をリアルタイムで確認することができます。
クラウド上での業務システム構築
クラウドサービスが多様化しているとはいえ、既存の業務システムを自社で開発していた場合、業務システムをそのまま実現できるクラウドサービスは存在しない可能性が高いです。
その場合、業務システムをクラウド上に再構築することも1つの手段となります。クラウド上に業務システムを再構築する方法はいくつかありますが、以下では「プライベートクラウド化」と「ハイブリッドクラウド化」について解説します。
プライベートクラウド化
業務システムをクラウド化する方法のひとつが、プライベートクラウドを構築し、そこに業務システムを配備して管理する方法です。
「プライベートクラウド」は、自社専用のクラウドサーバーで、「オンプレミス型」と「ホスティング型」の2種類があります。「オンプレミス型」はサーバーの設置からシステムの構築まで、企業がすべて自社で行い自社内のみのクラウドを構築する方式です。一方、「ホスティング型」はホスティング業者が提供するクラウド環境内に、自社専用クラウドを構築する方式です。
プライベートクラウドは他サービスの通信障害の影響を受けにくいことや、セキュリティを強固にしやすいなどのメリットがあります。
ハイブリッドクラウド
近年は、ハイブリッドクラウドを使用する企業が増えてきました。
ハイブリッドクラウドは、プライベートクラウドとパブリッククラウドを併用する方法です。
パブリッククラウドとは、不特定多数のユーザーがアクセスできるオープンなクラウドサービスを指します。
高いセキュリティ性を確保したい業務はプライベートクラウド上、社外とやりとりする業務はパブリッククラウド上にシステムを構築することで、互いのデメリットを消し合い、メリットを最大限発揮させることが可能となります。
業務システムをクラウド化する際の注意点
業務システムを構築する際には設計書を作成しますが、それはクラウド化する場合も同様です。その中でも特に重要なポイントとなるのが「ネットワーク構成図」を作成することです。
ネットワーク構成図の作成
ネットワーク構成図はネットワークの構成要素を図に表したもので、業務システムをクラウド化する際に必要となる設計書です。
ネットワーク上の障害が発生した際に、構成図なしでは影響調査や原因調査ができません。業務が止まり、他社にも影響が波及した場合は多大な損失を被る可能性があるため、ネットワーク構成図は非常に重要な設計書となります。
ネットワーク構成図は作成ツールやテンプレートで作成することもでき、Amazon社のAWS(Amazon Web Services)のようなパブリッククラウドを利用するのであれば、ネットワーク構成図の作成機能が提供されている場合もあります。
業務のクラウド化にはさまざまなメリットがあります
業務をクラウド化することで、業務効率化やコスト削減が期待できるなど、さまざまなメリットを受けることができます。目的に沿ってクラウド化を検討しましょう。
※この記事は2021年3月時点の情報を元に作成しています
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