2021.03.19 (Fri)
クラウド導入はじめの一歩(第4回)
コールセンター業務はクラウドCTIで効率化
コールセンター業務を効率化するシステムにCTIがあります。CTIを導入することにより、コンピュータと電話系統の機器を一体化し、コールセンター業務の効率化が期待できます。CTIにはクラウド型とオンプレミス型の2種類があります。実際にCTIを導入する際は双方のメリット・デメリットを比較し、自社の運用形態に合わせて導入することが必要です。本記事ではクラウドCTIについて紹介し、オンプレミス型と比較した場合のメリット・デメリットを解説します。
クラウドCTIとコールセンター
クラウドCTIサービスとは、コールセンター業務の生産性向上を目的としたクラウド型システムのことです。
まずはクラウドサービスがどのようなものであるか確認した後、CTIシステムの特徴について紹介します。さらにCTIシステムにおけるクラウド型とオンプレミス型の2つの形態について比較し、双方のメリット・デメリットを解説します。CTIの導入を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
クラウドとは
クラウドとは、ユーザーが物理的なサーバーやストレージを持たなくてもインターネット経由でサービスを利用できる技術です。クラウド(cloud)は「雲」という意味をもちます。インターネット上で展開するサービスは、ユーザーから見た時に雲の上にあるように見えることから、このように呼ばれています。GmailやGoogleドキュメントなどが、代表的なクラウドサービスとして挙げられます。
従来のシステム形態
クラウドサービスが普及する前は、自前で物理的なサーバーなどを用意し、そこへ各種システムを導入して運用するスタイルが主流でした。
このようなシステム運用形態は「オンプレミス」と呼ばれています。オンプレミスは自社で機器の設定から構築、運用まで行う必要があります。そのため、ハードウェアの調達コストや維持管理費が掛かるというデメリットが存在していました。
ユーザー自身がサーバーを用意しなくてもよいクラウド
その後、技術の発展とともにクラウドコンピューティングが誕生しました。前述の通り、ユーザーは自分自身でハードウェアを用意することなく、インターネット経由でサービスを利用する仕組みです。
クラウド上のサービスを利用することで、ハードウェアの調達コストや運用コストを抑えることができます。
さらにクラウドサービスの場合は、ストレージ容量が足りなくなればプラン変更などで簡単に追加できるほか、サーバーの故障といったトラブルもサービス提供企業が対応する心配もないため、柔軟かつ安心・安全な運用が可能です。このような柔軟性や安心・安全性が注目され、近年はクラウドサービスの利用が進んでいます。
ただし独自のシステムやインフラ環境を求める場合はオンプレミス型が適している場合もあります。
CTIとは
CTIはComputer Telephony Integrationの略であり、コンピュータと電話を統合したテクノロジーを意味しています。主にコールセンター業務を円滑に進めるためのもので、多くの企業で導入が進んでいます。具体的にCTIでできること、事例を紹介します。
CTIでできること
CTIを使用することで、コンピュータと電話やFAXといった電話系統の機器を統合することができます。
コールセンター業務は複数の顧客とやり取りしなければならないため、顧客情報の把握が難しく、再三にわたる口頭確認やトラブルの発生が問題となっていました。CTIにより、顧客の電話番号とそれに紐付けられたさまざまな情報を画面上に表示し、コールセンター業務の効率化に加え、顧客満足度の向上、新人オペレーターの強化を実現しています。
CTIによる効率化の例
CTI導入例として、飲食店での活用が挙げられます。予約注文やデリバリー依頼の電話の際、顧客の購買情報や住所などを画面に表示させることができます。
CTIを利用すると、予約や注文などがスムーズに進められる他、顧客とのコミュニケーションも円滑になります。業務の効率化や、従業員および顧客の満足度を高めた成功例といえるでしょう。
CTIにはクラウド型とオンプレミス型がある
これまで一括りで紹介してきましたが、CTIにはクラウド型とオンプレミス型の2種類が存在します。この項目ではクラウド型とオンプレミス型それぞれのメリット・デメリットを比較します。運用面とコスト面を基準に解説します。自社に合った形はどちらか、といった判断材料としてぜひ参考にしてください。
クラウド型CTI
クラウドCTIとは、ネットワーク上にあるCTIシステムを利用します。代表的なクラウドCTIとしては「BIZTEL」「NTT ビズリンククラウドCTI」「Salesforce Service Cloud」などが挙げられます。
クラウドCTIのメリット
クラウド型CTIは、インターネットに接続できる環境とパソコンさえあれば利用できます。簡単に運用開始できる他、料金は使用量に応じて課金されるため導入コストを抑えられるのがメリットです。
障害発生時にも、障害対応はクラウドCTIを提供する企業側が行うため、利用者側に手間が掛かることはありません。
特に大きなメリットとなるのが、場所を選ばずに利用できる点です。クラウドCTIはインターネット環境さえあれば、どこでも利用できます。「オフィスのみ利用可能」「社用パソコンのみアクセス可能」といった制限がないため、テレワークが推奨される現在に合った働き方を実現できます。
さらに、クラウドCTIシステムは通話状況などのやり取りをリアルタイムで管理できます。オペレーター間はもちろん社外からも確認できるため、適切に連携することが可能です。
クラウド型TIのデメリット
自由にカスタマイズするのが難しい点は、クラウド型CTIのデメリットです。クラウドCTIはすでに構築されているものを利用することになるので、自社の業務内容にあわせてカスタマイズする範囲は限られます。複数社が提供するクラウドCTIサービスの中から、自社に合ったものを選ぶことは可能です。
オンプレミスCTI
オンプレミスCTIは、ユーザーが用意したサーバーにCTIを導入して使用します。代表的な製品としては「AmeyoJ」「InfiniTalk」「INNOVERA AutoCall」などが挙げられます。
オンプレミスCTIのメリット
オンプレミスCTIは、業務に合わせてカスタマイズできます。必要な機能を構築することで、自社の業務に特化したCTIの運用が可能になります。社内で業務にあたる必要があるため、情報流出のリスクも低くなるのもメリットです。
クラウド型よりもカスタマイズ性に秀でているため、独自システムやインフラ環境を利用したい人に適しています。
オンプレミスCTIのデメリット
オンプレミスCTIは物理的にサーバーを導入する必要がある他、購入後のセットアップからシステムの構築まで全てを自社で実施する必要があります。そのためオンプレミスCTIは導入コストが高額になりがちです。
使用中に障害が発生した場合の障害対応や、サーバー内のOS(オペレーティング・システム)の更新なども自社で実施します。そのため、スキルのある人材の確保や人件費が掛かります。
さらにオンプレミス型は自社内での利用が想定されているため、労力・コスト面の問題に加え、柔軟性に欠けることがデメリットといえます。
CTIを導入して満足度を向上させよう
オンプレミスCTIとクラウドCTI、どちらを導入するかは自社の運用形態とよく照らし合わせることが重要です。自社の運用形態に合ったCTIを導入することで、従業員と顧客の双方の満足度向が期待できます。
※この記事は2021年3月時点の情報を元に作成しています
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