新型コロナの影響で、飲食を通じで知人や地域コミュニティとの交流しづらい環境が続いている。そんな中、アサヒグループホールディングスは、飲食がもたらす豊かさや、健康という視点も入れた感動体験の提供に注力する。FaaS(Food as a Service)と呼ばれる新たな概念で、サステナブルな社会を展望する。主導するValue Creation室はデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、経営の中枢からグループを変革する。必要な素養としてデータサイエンスなど人材育成プログラムへの募集をかけると、想定の3倍近い536人が応募してきたという。いったい同社で何が起こっているのか。執行役員の野村和彦Value Creation室長に聞いた。
あえてデジタルという言葉は使わないのだという。お客さまの問題解決、社会からの共感、そして事業への貢献──。そんなことを実現すべく、アサヒグループホールディングスは2020年4月に、グループの事業会社を取りまとめる経営の中枢、事業企画部にValue Creation室を作った。DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、新規事業を創出する役割を持つ。室長である野村和彦氏は言う。
「デジタルという言葉に引っ張られすぎてしまうと、狙いがぼやけるので、Value Creationとしたのです」
Food as a Serviceという新概念
グループ変革に向けて取り組んだ一つが、「Food as a Service」という概念の構築だ。FaaS(ファース)と略され、日本語訳すれば、食のサービス化となろうか。
アサヒグループはモノを売って終わりという従来型概念のメーカーモデルからの脱却をめざす。ファースにはDXなどによってアサヒグループが取り組むべきテーマが凝縮されている。
ファースで取り組むのは、まず、一人ひとりのニーズを満たす飲食体験を提供することだ。新型コロナの影響で外食での友人や地域コミュニティとのつながりは薄れがち。リアルとデジタルを組み合わせて、新たな飲食シーンを提供する。
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