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2020.01.24 (Fri)

ICTで業務を効率化(第25回)

企業が2020年に取り組むべき業務効率化とは?

posted by 株式会社Playce(プレイス)

 2020年がスタートし、新年度に向けて事業計画を検討している企業も多いでしょう。今年は中小企業を取り巻く環境に大きな変化があり、働き方改革がターニングポイントを迎えそうです。そこで事業計画を立てる上で押さえておきたいポイントと、その対応策を紹介します。

中小企業にとって「業務効率化」は待ったなしの状態に

 2020年の事業計画を検討するうえで、押さえておくべきポイントは3つあります。そのひとつは、国際的な大規模イベントです。すべてのイベントが東京で行われるわけではありませんが、都内の交通機関の混雑は深刻な状況になりそうです。政府はこの対策として、2017年から全国一斉の「テレワーク・デイ」を設けるなど、テレワークを普及させる取り組みを行ってきました。テレワークとは、ICTを活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のこと。在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィスなどさまざまな働き方があります。特に近年はWi-Fi環境が整い、ノートパソコンやタブレット端末など持ち運びができるデバイスが普及したことから、テレワークを導入する企業が増えてきました。

 ふたつ目は、「働き方改革関連法」の中小企業への適用です。2020年4月から、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して、企業は5日の有給休暇を必ず取得させなければいけなくなりました。さらに、時間外労働の上限は月45時間・年360時間を原則としています。これらは努力目標ではなく、違反した場合罰則が設けられているのが大きなポイントです。時間外労働については、1カ月に20日勤務の場合、毎日2.5時間の残業でも法に触れるため労働時間短縮への対応は急務です。

 そして3つ目は、「個人情報保護法」の改正です。改正大綱では、個人情報の利用停止を企業に請求できる「利用停止権」の導入が盛り込まれたほか、個人情報の漏えいについて報告や本人告知の義務化が求められるなど、企業は個人情報の取り扱いに対して、より繊細な対応を迫られます。

 これらのポイントを踏まえると、2020年は多くの中小企業が業務効率化と情報セキュリティへの対策をこれまで以上に迫られることになるでしょう。

業務効率化のために、テレワーク環境を整える

 企業が業務効率化を図るためには、テレワーク環境を整えることが有効です。超少子高齢化や働き方ニーズの多様性に対応するため、政府は国際的な大規模イベントを契機にテレワークを広げたいと考えています。企業にとっても、労働人口が減少していく中で、育児や介護などの事情がある人材の就業機会を創出するためには、フレキシブルな働き方を普及させる必要があります。また、テレワークによって通勤費やオフィスの設備・光熱費などコストの低減が期待できることも見逃せません。

 エン・ジャパンが中小企業を対象に行ったテレワークの実態調査(2019年発表)では、テレワークを導入している企業は、2017年が8%だったのに対し、2019年は14%に増加。「通勤困難者が継続して働くことが可能になった」「業務効率化の向上につながった」など、メリットを感じている企業が多く、導入した企業の80%が今後もテレワークを積極的に推進したいと考えているようです。また、社会人を対象に行ったテレワークの実態調査(2018年発表)では、テレワーク経験者の70%以上が「今後もテレワークで働きたい」と回答し、未経験者についても40%が「働きたい」と回答。この結果を見ても、今後テレワークが会社選びの大きな基準になることでしょう。

テレワーク環境構築にあたり考えておくべきことは?

 ではテレワーク環境を整えるために、どのような点に気を配ればいいのでしょう。まず、テレワークを導入するとオフィスに社員がいないことが増えるため、社内外の連絡体制の再構築が必要です。そこで最近注目されているのが、「クラウドPBX」です。PBX(Private Branch eXchange)とは、外線の接続を管理・制御したり、内線同士を無料でつなげたりする電話交換機のこと。クラウドPBXは、配線工事なしでインターネット上に電話交換システムが構築できます。クラウドPBXを導入することで、場所を問わずに内線通話ができ、また外線の転送もできるようになるのです。これによって電話の取次ぎや折り返しなどの作業が省け、業務効率を向上させることができるでしょう。

 テレワークを導入すると勤怠管理システムの整備も必要です。紙のタイムカードや、出勤日に押印する出勤簿を使用している企業も多いのではないでしょうか。こちらも、クラウド上で勤怠を管理できるシステムを導入すれば、どこにいてもパソコンやスマートフォンで出退勤時刻を打刻できるようになります。労働時間や残業時間の集計作業も楽になり、リアルタイムで労働時間が可視化できるので、労働時間オーバーに対する改善アクションを促しやすくなり労務管理の精度が向上も見込めるでしょう。

 業務効率化をしたいが、「職種によってはテレワークがしづらい」という問題もあります。特に経理や人事、総務などのバックオフィス業務は、社外作業が難しいため、テレワークが困難と言われています。業務効率化するためには、手書き書類や帳票の文字を読み取ってデータ化するAI技術を使ったOCRサービスの活用や、ソフトウェアロボットに代行させる「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」が有効です。AI-OCRとRPAによって、データ入力や経費精算業務、入金・支払い業務などが自動化できるため、業務効率化が期待でき、「働き方改革関連法」の対策にもつながります。

 さらに考えなければいけない問題が、情報セキュリティ対策です。テレワークの浸透によりオフィス外での業務が増えると、デバイスの盗難や情報漏えいのリスクが高まります。万が一デバイスを紛失すれば、デバイスそのものからの情報流出や、第三者による社内システムへの不正アクセスの危険があります。前述のように個人情報保護法の改正で、個人情報の管理はますます厳格さが求められます。対策としてはデータをクラウド上に保存し、パソコンにデータを入れて持ち歩かないデータレス化を進めるとよいでしょう。仮にデバイスの紛失が起きた場合でも、システム管理者が速やかにアカウントをロックできれば、情報漏えいのリスクを最小限に抑えることができます。

 働き方改革が加速し、ビジネス環境が大きく変わりそうな2020年は、早めに業務環境の見直しを図ることが必要です。ICTを活用した新たな働き方を取り入れることで、業務の効率化を図りながら生産性を上げることも可能になります。そして、従業員の余暇時間も確保することで仕事だけではなく、家庭や趣味といったプライベートも充実でき、モチベーション向上につながるでしょう。この機会にコンサルティングなどを利用して、会社の規模や事業内容にマッチした無駄のない最適な対応方法を考えてみましょう。

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