人材は「人財」と言い表されるように、企業の生命線とも言うべき大切な財産です。しかしながら、業績の悪化を受け、リストラや給与カットなど人件費の削減を断行せざるを得ない企業もあることでしょう。ただし、これには弊害を伴うケースも多いようです。労働力が減ることで一部の労働者にしわ寄せが行き、人材流出や労働意欲の減退など、逆に企業の生命線を揺るがすトラブルに発展する可能性もあります。
コスト削減の標的になりやすい間接部門の人件費
コスト削減は、利益の確保や業績拡大と表裏一体となっていることから、すべての企業において最も重要なテーマのひとつとなっています。景気の良し悪しに関係なく、企業は常にコスト削減を追い求めています。利益を生み出す方策を単純化すれば、企業は売上を伸ばすか、コストダウンするか、いずれかの方法を選択することになります。
コストダウンの対象として、まずターゲットとなるのが人件費です。企業がコストダウンを行おうと人件費を見直す場合、製造や研究開発、営業など直接部門より、総務や経理、情報システムなど間接部門をターゲットにしがちです。その理由は、直接部門は企業の業績に直接結びつく反面、間接部門は企業の業績に直接結びつかないからです。また、目標や評価を数値化しやすい直接部門に比べ、間接部門は数値化がしにくいこともターゲットになりやすい要因と言えるでしょう。
作業の偏りによるトラブルや現場の不満
間接部門は、企業のさまざまな業務支援を行うバックオフィスとして大切な役割を担っています。しかしながら、企業の業績に直接結びつかないからといって間接部門の仕事量が減るわけではなく、部署によっては大きな負荷を抱えているケースがあります。
その典型的な例が情報システム部門です。
企業では、経営上必要不可欠な基幹システムや、業務を円滑に進めるための業務システムがサーバー上で24時間365日、休むことなく稼働しています。そのため、情報システム部門はサーバーのメンテナンスやトラブル対応に追われ、ユーザーサポートを行うヘルプデスクの役目も担うなど、その業務量は他の間接部門に比べて膨大です。
その結果、製造や研究開発、営業などの直接部門だけでなく、総務や経理など他の間接部門との間にも「これだけ業務に忙殺されているのに、それに見合う評価がされないのは不公平だ」といったような、業務の多寡や評価に対する不満が噴出しているのが現実です。また、情報システム部門は業務の性格上専門性が高いことから、特定の個人に仕事が集中してしまうことによる弊害も顕在化しがちです。
どうする? 一任している担当者が突然の不在に
特定の人に仕事が集中してしまうと、優秀な業務スキルを持っていても他の人に引き継がれなかったり、情報が共有されないことから、さまざまな問題が発生します。組織の中で特定の業務を特定の人が担当し、その人にしかわからない状況や情報が増え、いわゆるブラックボックス化してしまうこと、これが仕事の属人化です。
仕事の属人化は、組織にとって便利で都合の良い一面があります。その人に丸投げすれば業務はうまく回るからです。
では、もしその担当者が、多忙すぎる業務が原因で体調不良を起こし、突然入院してしまったり、退職してしまったらどうなるでしょう。入院しているその担当者や退職したその人に連絡して教えを請いますか? そうはいきません。生き字引的な担当者は重宝がられる反面、その担当者が不在になった途端に業務が立ち行かなくなるのは避けなければなりません。
このような傾向が見られるのは情報システム部門も例外ではなく、何らかの対策を講じる必要があります。
24時間365日 安定した稼働を続けるためには
情報システム部門が、属人化による弊害を無くすための方策として導入を検討したいのがデータセンターの活用です。情報システム部門の業務をデータセンターにアウトソーシングすることによって担当者の作業負荷を軽減し、その担当者が万が一長期不在になったとしても、基幹システムや業務システムを、安定的に稼動させる体制を構築できます。
自社内に設置しているサーバーやネットワーク機器をデータセンター内に移管すれば、機器監視やバックアップ作業、故障時の復旧作業など、お客様システムの運用業務をまとめてデータセンターに任せることが可能です。
また、データセンターにはサーバーやネットワーク機器などについて専門的な知識を持つスタッフが多数所属しているので、情報システム部門の自社担当者は最低限の人数で足ります。もし自社でサーバーを24時間365日監視し、保守点検を行なおうとすれば余裕のある人員を割り当てなければなりません。いつサーバーに障害が発生してシステムがダウンするか分からないからです。そうなると多大な人件費がかかります。しかし、サーバーの管理や運営をデータセンターにアウトソーシングすれば、自社の人件費が削減できるのです。
インプレス総合研究所の「データセンター調査報告書2017」によると、企業がデータセンターを利用するきっかけとして回答したのは「サーバーバックアップ作業稼動削減」が50.7%のほか、「夜間休日の人員配置停止」が29.7%となっており、いずれの数値もここ数年増加傾向にあることが明らかになっています。
データセンターの活用は、企業にとって情報システム部門の作業負荷軽減と人件費削減の同時実現というメリットをもたらしてくれる切り札となったと言えるでしょう。
※掲載している情報は、記事執筆時点(2018年9月30日)のものです。
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