会計や帳票計算、販売・在庫管理などを支える基幹システムとして安定した稼働が求められるオフコン。自社業務に最適化され使い勝手がよいことから、ハードが老朽化しても互換性のある後継機に乗換え、20年、30年と使い続けている企業も珍しくありません。
しかし近年、オフコンを取り巻く事情は目まぐるしく変化をしています。国内大手ベンダーのひとつであるNECの事業撤退をはじめ、市場は年々縮小傾向にあります。またオフコンのプログラミングで広く使われているCOBOLやRPGなどの言語を扱える技術者は50代、60代と高齢化しています。定年退職などで人数が年々減少している一方、オフコンを利用していきたいと考える企業が依然存在するため、採用の難易度が高まっています。
「メーカーの保守期限がもうすぐ切れる」「オフコンを扱える技術者が定年を迎えるが、後任を採用できない」などの状況で、これからのオフコンの利用について、不安を抱える経営者や情報システム担当者もいるのではないでしょうか。
今後、オフコンをどのように利用していけばよいのか。解決策のひとつとして、ここではオフコンのIaaS(※)型クラウドサービスとデータセンターハウジング(以下DCハウジング)を紹介します。
※Infrastructure as a Serviceの略。情報システムの稼動に必要な機材や回線などの基盤(インフラ)を、インターネット上のサービスとして遠隔から利用できるようにしたもの。
クラウド化のハードルは年々、下がっている
オフコンを仮想化環境に移行する「IaaS型クラウドサービス」では、利用中のオフコンOSやアプリケーションがクラウド上でもそのまま動作するプラットフォームの整備が進んでいます。中でもオフコンと同一ベンダーが開発したオフコンとクラウド上のプラットフォームは互換性が高くなっており、オープン化するよりも移行が容易であるケースもあります。
契約サービスによっては利用頻度や稼働状況に合わせて月額の料金プランを変更できるとともに、プラットフォームにBIツールやCRM、SFAなどがあれば、将来的な事業計画に対して新しいテクノロジーを柔軟に取り入れることもできるかも知れません。
一方で課題もあります。オフコンを利用したシステムは、企業の業務内容に合わせて独自のカスタマイズや拡張をされていることがほとんどです。プラットフォームの仕様に合わせてシステム改修を行う対応もありますが、改修の規模や内容によっては開発コストが嵩むケースもあります。そのような場合は、次に述べる「DCハウジング」が選択肢に入ってきます。
将来の選択肢が多様なDCハウジング
DCハウジングは、自社のオフコンをそのまま社外のデータセンターに移設するため仕様の自由度が高く、システムの使い勝手もこれまでとほとんど変わりません。運用・保守をアウトソーシングすれば自社での技術者採用に頭を抱える必要もなくなりますし、データセンターによってはオフコンの保守・運用のできる技術者が常駐していることもありシステム障害などが発生したときも素早い一次対応を期待することもできます。
ハードの老朽化やメーカー保守期限の問題は引き続き残りますが、保守期限後も対応が可能なベンダーを探すことやマイグレーション、クラウドサービスの導入など将来的な事業の状況に合わせて選んでいくことができるのはメリットと言えます。
オフコンの継続利用で、会社資産を守る
オフコンを利用して長年にわたり蓄積してきた業務ノウハウは「会社の資産」と言えます。クラウドやDCハウジングを行うことで、万が一自社が被災した場合にそれを守ることにつながるため、BCP(事業継続計画)対策とも言えるでしょう。
クラウドやDCハウジングによってオフコン利用の不安を自社で抱え込まず、社外の専門家に相談しながら解決策を探せるようになりました。どちらを選べば良いかは、予算、運用方法、稼働状況などを踏まえベンダーに相談すると良いでしょう。まずは最初の一歩を踏み出すことが、自社の資産を継承していくことにつながっていくはずです。
※掲載している情報は、記事執筆時点(2018年8月31日)のものです。
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