2024.12.26 (Thu)

カーボンニュートラルを実現するために(第10回)

航続距離が短く、充電が長い...EVの課題を解決する「全固体電池」とは

 EV(電気自動車)のデメリットに航続距離の短さと充電の手間が挙げられますが、現在開発中の「全固体電池」を搭載することで、これらの問題を解決することが可能です。

EVは走行中に大気汚染物質を発生せず、運転もスムーズ

 自動車の燃料といえば「ガソリン」を思い浮かべる人は多いでしょう。しかし最近では、ガソリン以外を燃料にする自動車も増えています。

 EV(電気自動車)も、ガソリンを使用しない自動車のひとつです。EVは徐々に普及が進んでおり、燃料別登録台数では、2019年の21,321台から、2023年は43,991台と約2倍に増えています(数値は一般社団法人 日本自動車販売協会連合会が公開している年間の燃料別登録台数)。さらに、大手メーカーも続々とEVを投入しており、2021年末から日産「サクラ」や「アリア」、トヨタの「bz4x」などがリリースされています。

 EVの特徴として、ガソリンや軽油のような化石燃料を使用しない点にあります。走行中に大気汚染物質をすることもないため、環境への負荷が非常に少なく、もし太陽光発電などのような再生可能エネルギーを使用した場合は、ガソリン車よりも環境負荷を大幅に抑えてドライブを楽しむことができます。

 このほか、ガソリン車と比べて運転音や振動も少なく、かつ加速性能も高いという点もメリットといえます。

満充電1回当たりの航続距離が短く、充電にも時間がかかる

 その一方で、EVには大きなデメリットも存在します。それが、航続距離(1回の燃料補給および満充電で走行できる距離)です。

 ガソリン車の場合、航続距離はだいたい500kmを超えており、中には1,000kmを超える車種も存在します。しかしEVの場合、航続距離が500kmを下回るものが多く、特に軽自動車タイプは200km以下の車種がほとんどです。自動車という限られた空間の中に搭載できる電池の量には限りがあるため、後続距離はどうしても短くなりがちです。

 これに加えて、「燃料の補給」という問題も存在します。ガソリン車であれば、たとえ燃料が無くなったとしても、ガソリンを満タンまで給油をすれば、さらに運転を続けることが可能です。

 EVで電池が無くなった場合も、充電スポットで充電をすれば問題なく運行し続けられますが、満充電になるまでは一定の時間がかかります。たとえ急速充電器を使用したとしても、満充電には30~1時間ほどの時間が必要です。

なぜ全固体電池はEVのデメリットを解消するのか

 このようにEVには航続距離と充電時間という大きな問題が存在しますが、ある新しい電池の登場によって解決される可能性があります。それが、「全固体電池」です。全固体電池とは、電池の中に含まれる電解質が液体ではなく固体になった電池のことで、エネルギー密度が高く、高温でも動作でき、電解質のイオン伝導性も高いといった特徴を備えています。

 経済産業省が2024年8月に発表した「自動車分野のカーボンニュートラルに向けた国内外の動向等について」という資料によると、現在EVの電池では電解質が液体の「液系LiB(リチウムイオン蓄電池)」が主流ですが、これを固体の「全固体LiB(リチウムイオン蓄電池)」に変えることで、電池の体積が同じでも航続距離が約2倍に増加するとしています。

 さらに、熱耐久性とイオン伝導性が向上したことで、従来を上回る大電流での急速充電が可能となり、充電時間の短縮も期待でき、可燃性の電解液を使う必要がなくなるため発火の危険性や電解質の液漏れの恐れもなくなり、安全性も向上するといいます。

液系LiBと全固体LiBの仕組みの違い(経済産業省「自動車分野のカーボンニュートラルに向けた国内外の動向等について」より引用)

各社が全固体電池の開発に参画。経産省も支援

 2024年12月現在、日本において全固定電池を搭載したEVは販売されていませんが、大手メーカーは続々と電池の開発を進めています。

 たとえばトヨタでは2024年9月に発表したリリースにて、2026年以降に全固体電池の生産を開始すると発表。さらにホンダは同年11月、栃木県に全固体電池のパイロットライン(通常の生産ラインとは異なる、小規模なライン)を設置し、2025年1月に操業を開始することを明らかにしています

 国も全固体電池の開発を支援しています。2024年12月20日には、経済産業省が全固体電池の部材製造を手掛ける企業数社に対し、最大で255億円を補助することが報道されました。

 日本政府では2035年までに新車販売におけるEVの割合を「100%」にすることを掲げていますが、全固体電池のようなEVの欠点をカバーするようなテクノロジーが普及すれば、EV100%はもっと早く達成できるかもしれません。

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