多くの企業がリモートワークを導入しつつあります。リモートワークでは、同僚と顔を合わせずチャットやメールでのやり取りが主になることでコミュニケーションが不足しがちになり、それが業務効率の低下を招くことがあります。その解決策として、リモート会議システムを使ってコミュニケーションゲームを行うことが有効です。また、コミュニケーションを取りやすいリモート会議システムとして注目されている「Discord」、そしてVRを利用したリモートワークの可能性について説明します。
リモートワークはコミュニケーション不足になりがち
新型コロナウイルス対策として、日本政府は企業にリモートワークの推進を求めています。リモートワークは、従業員が社外に分散して業務することから、オフィス内でのウイルス感染予防を期待できるためです。さらにワークライフバランスの向上も期待できます。
一方、リモートワークを導入した企業では「チームメンバーとの会話が減った」「テキストでのやりとりだと相手の感情が判断できない」「他部署などのメンバーとの会話がますます減少した」など、コミュニケーションが低下したことが指摘されています。
リモートワーク中でもできるゲームでコミュニケーション
リモートワークでのコミュニケーションを図る方法の1つとして、「リモートミーティングを使ったゲーム」があります。ゲームの内容はさまざまで、たとえば「メンバーの長所を言い合うゲーム」や「自分の好きなものを言うゲーム」は、メンバーの人となりを知るよい機会になります。あるいは、「チームメンバーの口癖のビンゴゲーム」などは場が盛り上がりやすいです。
もし時間に余裕があれば、一般的にも人気の高い「人狼」などのコミュニケーションゲームを取り入れるのも効果的です。
コミュニケーションゲームのメリット
リモートワークを利用してコミュニケーションゲームを行うことは、メンバー間で意外な一面を知るきっかけや、人となりを知る機会が得られます。オンライン会議と異なり、リラックスした状況で行うため、仲間意識が高まりやすいのも特徴です。
以上のようにコミュニケーションゲームには、「チーム同士の理解を深める」「チームワークを形成できる」といったメリットが期待できます。
コミュニケーションゲームで気をつけること
リモートワークでのコミュニケーションゲームは対面と異なり、場の雰囲気を読むことや、他メンバーの顔色を見ることはできません。そのため、思うようにコミュニケーションが活発化しなかったり、場合によってはゲームが成立しないこともあります。
そのため、リモートワークでのゲームでは司会の存在が重要になります。司会が進行を管理することで、リモートワークでのゲームのメリットを最大化できます。司会の主な役割には、「時間管理をおこなう」「チームワーク形成の目的から逸脱させない」「参加メンバーが平等に発言できるようにする」ことがあります。
Discordでリモートワークのコミュニケーション改善を
リモート会議やコミュニケーションゲームに利用できるサービスは、各ベンダーから数多く提供されています。サービスによって特徴やメリットが異なるため、利用の前にそれらをしっかり検討することが重要です。
具体的なサービスには、たとえばオンライン会議からリモート飲み会にまで利用されている「Zoom」や、Microsoft製品と親和性が高い「Microsoft Teams」などがあります。その中でもとりわけ注目を集めているのが「Discord」というサービスです。
Discordの紹介
Discordはもともと、オンラインゲームで利用するボイスチャットコミュニケーションツールでした。ボイスチャットとは、離れた場所にいるプレイヤー同士が会話しながらゲームをプレイするためのツールです。
Discordはサーバーと呼ばれるコミュニティを作成してチャンネルを利用し、そのチャンネルに参加者を登録することで利用します。参加者は、チャンネル内でボイスチャットが可能になります。
常時接続型の音声に特化したコミュニケーションツール
Discordの大きな特徴として、常時接続して音声のみの通信を行うことができる点です。ビデオ通話と異なり、音声だけでやり取りをするため、些細な相談や質問もおこないやすいというメリットがあります。顔を見て話したいときは、ビデオ通話も利用できます。
さらに常時接続できるため、他のコミュニケーションツールと異なり、いちいちシステムを起動させたり、相手にコンタクトをとる必要がありません。オフィスにいるときと同様、必要な時に必要な相手にすぐに話しかけられるという点は、他のツールには無い特徴です。
チャンネルごとのメンバーとだけ通話ができる
Discordではチャンネルを作ることで、参加メンバーを限定することができます。そのため、必要なときに必要なメンバーを招くことにより、最少人数のメンバーとだけチャットを行うことができます。
リモート会議用として十分な機能が無料で利用できる
Discordには、無料プランと有料プランがあります。有料プランを無料プランと比べると、GIFアイコンや絵文字が使用可能になることや、画面が高画質になるという点に違いがあります。これらのプラスアルファ要素はビジネスの場面ではほとんど必要ありません。リモートワークや仕事のメンバーとのやり取りに使うのであれば、無料プランの範囲で充分に対応できます。
Discordには便利なbot機能がある
Discordには、リモートミーティングを便利にするためのさまざまな「bot機能」があります。たとえば、「メンバー同士で同じBGMを聞けるbot」や、「チャットの文章を読み上げるbot」、「アンケートを取るbot」などがあります。これらbotを利用することで、コミュニケーションをスムーズにすることや、チームの一体感を高めることが可能になります。
Discordをリモートワークで使うメリット
Discordには他にもさまざまなメリットがあります。たとえば、もともとオンラインゲーム中のコミュニケーション用途であることから、「動作が軽い」ことや、「音声が高品質」といったメリットです。
さらに「オンライン・オフライン・離席中などのステータスが表示される」ため、リモートワークでの勤怠管理に役立ちます。加えて、さまざまなOSや環境に対応した「マルチプラットフォーム」であり、導入しやすい点も大きなメリットです。
Discordをリモートワークで使う時に気をつけたほうがよいこと
Discrodはアメリカで開発されたコミュニケーションツールであるため、さまざまな設定やガイドラインは英語での対応が基本となります。日本語にもある程度対応はしているものの、FAQやヘルプは未対応です。そのため管理者は英語ページの内容をしっかり理解し、他メンバーに周知する必要があります。
一度コミュニティに登録されたメンバーは、コミュニティ内のやり取りはすべて閲覧可能になります。そのため、特定のメンバーに見られたくない内容がある場合は、新しくコミュニティを作るといった対策が必要です。
Discrodはもともとオンラインゲームプレイヤー向けのシステムであるため、UIがゲーム仕様となっています。さらにプライベートの時間などにプレイ中のゲーム名が表示されるなど、堅めのビジネス利用には向いていないかもしれません。
リモートワークでVRを活用しコミュニケーションを強化
リモートワークのコミュニケーションツールとして、VRが注目を集めています。Discrodとおなじくゲーム業界で注目されてきたVRですが、リモートワークの普及に伴い、現在は「VR会議」などに大きな期待が寄せられています。実際にVR会議ツールとして提供されているサービスについて解説します。
NEUTRANS BIZ
「NEUTRANS BIZ」は株式会社Synamonが提供しています。複数のメンバーが同じVR空間に入り、リアルタイムでコミュニケーションをとることができるツールです。VR空間とはいわゆるバーチャル空間であり、会議室や屋外空間を設定することもできます。すでに導入している企業も多く、会議や研修、説明会のほか、建造物の確認といった用途で幅広く活用されています。
VIVE Sync
VIVE Syncは台湾拠点のHTC社が提供するVR会議アプリケーションです。社内会議だけでなく、オンライン教室でのディスカッションや、リモートセールスプレゼンテーションにも利用できます。
「Microsoft OneDrive」との連携機能があり、メンバーはサーバー内の動画ファイルやPowerPoint資料などを簡単に共有できます。
ゲームやDiscordなどでリモートワークのコミュニケーションをより活発に
コミュニケーションの低下は、リモートワークにおける大きな課題の1つです。メンバー同士の交流を図るには、リモートワークゲームの導入、DiscordやVR会議システムといったコミュニケーションツールの導入などの手段があります。
コミュニケーションの向上は強固なチームワーク形成を可能とし、ひいては業務効率や生産性の向上につながります。企業は、リモートワークにおけるコミュニケーションの活性化のために、自社に最適なツールの導入や工夫をおこなうことが求められます。
※この記事は2021年3月時点の情報を元に作成しています
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