リモートワークにより自宅やワーキングスペースで働くなど柔軟な働き方を選択できるようになりました。しかしマネジメント層からすると社員がオフィスにいないことで、作業状況が把握しづらいことや、評価が付けづらいといった課題を抱えることになり、一概に働きやすくなったとはいえません。ニューノーマル時代の働き方であるリモートワークは今後も普及し続ける想定であり、マネジメント層が抱える課題にも早期対応が必要です。本記事ではリモートワークにおける課題とその解決方法を解説します。
リモートワークにおけるマネジメントの課題
リモートワークによって働き方が大きく変わったことにより、マネジメント担当者はプロジェクトやチームでの仕事の進め方を柔軟に変える必要が出てきました。以下ではリモートワークで浮き彫りとなったマネジメントの課題について解説します。
そもそもマネジメントとは
課題について説明する前にそもそもマネジメントとは何かを解説します。マネジメントとは一言で定義すると「組織に成果を上げさせるための機能」です。役割としては3点あり、「組織のミッションの達成」「組織の人材活用」「社会への貢献」となります。
つまりマネージャーは組織で成果をあげるために所属する人材を最適に活用し、結果として社会に貢献することが求められます。しかしリモートワークに切り替わったことにより、役割を達成する上で以下の点が課題となっています。
コミュニケーションが取りにくい
マネジメントが必要な組織は必ずチームやプロジェクトで仕事を進めます。複数人で仕事を進める上で「情報共有による業務効率化」や「社員同士の交流によるチームワークの向上」などの理由から、コミュニケーションを円滑に行えることは必須条件となります。
しかしリモートワークにおいては気軽に会話を始めることができない環境であることから、相談や雑談がしづらいなど、コミュニケーションが取りにくいことが課題となっています。
評価が難しい
マネジメントをする上で評価は重要なポイントとなります。評価をすることのメリットとしては適切な評価を行うことにより社員の組織に対する期待感がアップすることや、マネージャーが社員のスキルを把握できることなどが挙げられます。
しかしリモートワークでは社員の働きぶりが確認できないことや作業の過程を把握することができないため、結果のみを重視する成果主義に偏りがちです。そのため失敗が許されない雰囲気となってしまったり、若手社員のような成果を十分に上げられない人材の評価がしづらいということが課題となっています。
リモートでは難しい業務が存在する
総務のように郵便物の対応や備品管理など物理的なものを扱う業務であったり、金融サービスのような高セキュリティな業務の場合、現状では出社せざるを得ないという方もいます。
しかし国からの要請や会社の方針からリモートを導入する必要が迫られている企業もあり、対応として交代制で業務を行うしか方法がなく、業務効率が下がるなど効率的なマネジメントが難しいということが課題となっています。
リモートワークにおけるマネジメントの工夫
上記リモートワークにおける課題は多くの方が感じており、それに対するさまざまな対策が実施されています。以下ではそのうち有効なものをいくつか紹介します。
ICTツールの導入
リモートワークはICTツールとの親和性が高く、上記課題を解消してくれるだけでなく、従来の働き方よりも仕事が効率的になる場合もあります。以下ではおすすめのICTツールを紹介します。
コミュニケーションツール
コミュニケーションツールはリモートで業務を行う上で必須となります。「Teams」や「slack」のような業務に特化したコミュニケーションツールはチャットやリモート打ち合わせ、ファイル共有などによりコミュニケーションを円滑に行うことができます。
上記ツールは打ち合わせや情報共有など業務には有効ですが、気軽なコミュニケーションを取ることは難しいため、ちょっとした相談や雑談がしやすいツールも別途導入することをおすすめします。
例としては「Sococo」が挙げられます、Sococoは仮想オフィスを提供するもので、社員一人ひとりがアバターで表現されており、各社員のステータス状況が確認できたり、仮想オフィス内を移動して気軽に話しかけたりすることができます。
プロジェクト管理ツール
リモートワークでプロジェクト管理を行う場合、状況を「見える化」することでマネージャーや社員がリアルタイムに状況が把握できる環境を作ることができます。そしてプロジェクト管理ツールは見える化を効率良く行うことができる強力なツールです。
導入する際にはガントチャートや課題管理ツールなど管理に必要なツールがパッケージとなった統合ツールを使用することで、ツール間で連携をとることができ、見える化が行いやすくなります。
統合プロジェクト管理ツールの例としては「Asana」が挙げられます。AsanaはMicrosoft Officeなどさまざまなツールと連携できたり、使いやすいUIであることから導入のハードルが低いというメリットがあります。
電子化ツール
これまで紙で行っていた業務をそのままリモートワークで実施するのは非常に効率が悪かったり、セキュリティの関係上不可能だったりします。そこでこれまで紙で行っていた業務を電子化することでリモートワークでも同様の業務を行うことが可能となります。
例としては印鑑を電子印鑑や電子サインに切り替えることや、請求書を電子化することが挙げられます。
PCの遠隔操作ツール
社外にいながら会社のPCにアクセスできるツールがあります。これによりサービスを導入するだけで新たに働く環境を構築しなおす必要がなくなります。遠隔操作するツールとしてはインターネットを通じて簡単にアクセスするものや、VPNというプライベートネットワークを導入して遠隔操作するものがあります。
例としては「OneOffice スマートコネクト」が挙げられます。本サービスは従量課金制であるため、リモートワークと出社を交代で行うような場合に無駄なコストを抑えることができますし、会社でも自宅でも同じ環境で仕事を行うことができます。
1on1ミーティング
1on1ミーティングは週1回など短い頻度で上司と部下1対1でミーティングを行うことです。ポイントとしては上司から部下に向けて話をするのではなく、部下の話を聞き出すことで、それにより部下との人間関係の構築や社員の作業状況の把握を行うことができるため、プロジェクトを円滑に進めることができますし、得た情報を評価に役立てることもできます。
明確な目標設定と進捗管理
プロジェクトを進める上で目標を明確にすることは社員全員が同じ方針で作業を進めるために重要となります。特にリモートワークでは個々人が独立して仕事を行うため、社員が適切に作業を進めるためにも目標を明確にすることが重要です。
目標を明確にした上で、社員の進捗状況を細かく管理することで円滑にプロジェクトを進めることができます。日程や数字上の進捗確認を行うだけではなく、作成している成果物を都度確認しフィードバックすることが大切です。
リモートワークについて学ぶ
コロナウイルスの蔓延によりリモートワークは急速に普及したため、ノウハウが蓄積していない企業も多く、行き当たりばったりでリモートワークを実施しているケースもあります。リモートワークの環境を改善することもマネージャーの仕事です。そこで今一度リモートワークを見直すためのヒントが得られる方法を紹介します。
ガイドライン
リモートワーク導入のガイドラインをさまざまな機関が発行しており、それを参考にすることで今のリモートワーク環境を改善するヒントを得ることができます。日本テレワーク協会はさまざまな機関が発行しているガイドラインをまとめているため、そこから目的に沿ったガイドラインを選ぶことができます。
セミナー
テレワークに関するセミナーをさまざま地域や企業が開催しています。セミナーのメリットしては実際にリモートワークを「擬似体験ができる」ことや「助成金などの支援情報も得られる」ことが挙げられます。
中小企業に向けたセミナーや地域特有のセミナーなど、セミナーの種類もさまざまであるため、課題となっていることを解消できるセミナーを探してみることをおすすめします。
リモートワークの環境を改善して生産性の高いチームを作りましょう
リモートワークにおけるマネジメントの難しさは多くの方が感じており、それに対してさまざまな試行錯誤がなされています。最適な解決策は企業やチームによって異なりますが、はかどらない原因を突き詰めることで課題が見え、解決策を講じることができます。上記内容を参考に生産性の高いチーム作りを行いましょう。
※この記事は2021年3月時点の情報を元に作成しています
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