新型コロナウイルスの影響により、日本でもリモートワークの導入が拡大傾向にあります。従来、オフィスに出社することが当たり前だった日本においては、未だリモートワークの普及率は低い水準ですが、成果主義の文化が醸成されている海外企業においては、元々リモートワークが普及していた国もあります。日本企業もこうした成果主義を取り入れる中で、英語力が重要なスキルとして再認識されてきています。本記事では、リモートワークと英語力の関係について解説します。
リモートワークの拡大で注目される英語力
新型コロナウイルスの影響でリモートワークは急激に拡大しており、自由な働き方を選択しやすくなりました。その際、各種業務にあたる上でのひとつのスキルとして英語力が注目されています。その理由としては「成果主義への切り替え」と「海外企業からの仕事の増加」が挙げられます。
成果主義への切り替え
日本企業は従来終身雇用や年功序列制度を文化としてきましたが、リモートワークは各作業者の作業過程を見ることができないため、結果として成果を重視する働き方へ変化することが求められています。
こうした成果主義への切り替えに伴い、厳しい競争が生まれる可能性もあります。英語はグローバル社会において重要なスキルとなるため、成果主義を生き抜く上でも重要なスキルとして注目されています。
海外企業からの仕事の増加
リモートワークの拡大は、日本だけでなく世界的な動きです。オフィスへの出勤を必要としない働き方においては、海外の労働者を雇って働いてもらうという考え方も少しずつ広がっていくと考えられています。日本においても海外企業からの依頼を受けることが可能となるため、英語力を持った人材にとってはチャンスとなります。
リモートワークの海外動向
総務省が2020年4月に実施した調査によると、日本企業のリモートワーク実施率は約28%であるとされています。これに対して、海外のリモートワークの動向を以下で説明します。
主要地域のリモートワーク普及状況
まずは主要地域として、アメリカ、ヨーロッパ、アジアでのリモートワーク普及状況について解説します。
アメリカでのリモートワーク普及状況
アメリカはリモートワークの導入・普及が進んでいる国で、企業のテレワーク導入率は85%と高水準です。従来からジョブディスクリプションにより、各個人の仕事範囲と責任が明確であることから、リモートワークに必要な「成果主義」がすでに構築されていたことが普及しやすかったことの要因となります。
さらに日本におけるテレワークの課題として勤怠管理が挙げられますが、アメリカではホワイトカラーエクゼンプションという、オフィスワーカーの労働時間を管理せず、成果で評価する働き方が浸透しています。勤怠管理の課題が発生しないことも、リモートワークを導入しやすい要因となります。
ヨーロッパでのリモートワーク普及状況
ヨーロッパ各国は、それぞれ独自の文化を形成していることから、リモートワークの普及状況は各国で差が生じていますが、全体的に普及率は低い傾向にあります。
イギリスやフランス、ドイツはリモートワーク導入前から柔軟な働き方を実現していることもあり、その必要性がアメリカほど高まっていないため、ヨーロッパ全体で見るとリモートワークはそれほど普及していません。一方、フィンランドなど通勤時間が長い傾向がある地域では、積極的にテレワークを推進する動きがあります。
アジアでのリモートワーク普及状況
アジアのリモートワーク普及状況は、ヨーロッパよりも低いのが現状です。シンガポールにおける従来の固定時間制度など柔軟な働き方に対応できていないことが、リモートワーク普及の障害となっています。一方韓国ではスマートワーク推進戦略を打ち出しており、官公庁が率先してリモートワークを導入するなど、国を挙げてリモートワークの導入を進めてます。
海外在住者を雇うリモートワーク
海外在住者をリモートワークで雇う場合、デスクワークで完結する業務を対象とするケースがほとんどです。ネットワークとパソコンさえあれば海外在住者であっても連携をとることができるため、国内で業務する場合と変わりありません。
職種例としては、プログラマーやシステムエンジニア、ウェブデザイナーなどが挙げられます。ただし、日本語ができない人と働くケースが生じるため、英語を身につけているとスムーズに仕事を進めることができます。
リモートワークの英語力を活かせる求人
英語力を活かしたリモートワークの求人については、国内企業と海外企業で分かれます。以下ではそれぞれについて紹介します。
国内企業の求人
国内企業の英語力を活かせる求人としては「英語の翻訳や書類作成業務」と「英会話教師」が挙げられます。
英語の翻訳作業や書類作成業務
国内企業の求人で多いものとして代表的なのが「英語の翻訳作業や書類作成業務」です。翻訳作業は日本語から英語への翻訳、英語から日本語への翻訳どちらもあり、翻訳の種類としては小説などを翻訳する「文芸翻訳」やドラマやニュースを翻訳する「映像翻訳」、医療やビジネスに関わる翻訳である「産業翻訳」があります。
翻訳や書類作成に携わる際の注意点としては、英語力が必要なのはもちろんのこと、医療関係やIT関係など専門知識を要する場合もあるので、求人をよく確認して英語力意外に必要なスキルがないか、自身のスキルセットは一致しているかを確認することが重要となります。
英会話講師
近年、オンライン英会話講師の求人も増えています。英会話は従来スクールに通うものでしたが、Skypeなどのコミュニケーションツールの普及に伴い、オンライン英会話サービスも数多く登場するようになりました。さらに、近年は新型コロナウイルスの影響でリモートワークが急速に普及し、空き時間を利用して英会話を始める人が多くなったため、英会話講師の需要も高まっています。
業務内容としては、レッスンを担当するものからテストの添削、TOEIC対策の指導をするものなどさまざまで、対象も子供からビジネスマンまでさまざま。自身にあった業務を選択できます。
海外企業の求人
外資系企業は、成果主義の文化が元々構築されていることから、リモートワークへの理解が進んでいる傾向にあり、海外在住者への求人も多く出されています。
業種としては、経理からICT、マーケティングなどさまざまですが、英語力を求められるだけでなく、業務特有のスキルを十分に持っており、それらを活かす際のツールとして英語を使用するレベルが求められています。
さらに国内企業の求人であれば、仕事のやりとりに日本語を使う場合が多いですが、海外求人の場合はほとんどが英語対応となります。そのため、高度な英語力と業務に関するスキルを保有する必要があり、難易度は国内求人と比較すると高くなります。
英語力があればリモートワークで活躍できる
リモートワークの普及により、柔軟な働き方を実現できるようになりました。その一方で、リモートワークの性質上、成果主義に移行する企業も出てきているため、今後は競争に打ち勝つスキルも必要となるでしょう。
英語力はグローバル社会において強力なスキルとなります。英語力が身についていると自社での評価を上げることができますし、海外求人に応募することもできるようになるため、働き方の幅を広げることもできます。リモートワークが普及しはじめている今、英語力を身につけて活躍の場を増やしてみてはいかがでしょう。
※この記事は2021年3月時点の情報を元に作成しています
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