2021.03.16 (Tue)

最初に覚えておくべきBCP(事業継続計画)のノウハウ(第7回)

停電におけるBCP対策、予備電源について徹底解説

 BCP(事業継続計画)は、災害発生時に事業を存続させ損害を抑えるべく多くの企業が策定しています。特に、電力は事業を復旧させるためには不可欠なので、停電におけるBCP策定は重要性が高いといえるでしょう。実際、発電機や蓄電池といった予備電源対策をしている企業もあります。本記事では、電源確保の重要性や停電時におけるBCP策定方法について解説します。

電源確保の重要性

 BCP対策では、電源確保は重要な課題の1つです。BCPにおける電源確保の意義について解説します。

大きな災害の場合、電源復旧に1週間以上かかることもある

 多くの企業では、業務遂行をパソコンなどのICTシステムに依存しています。そのため災害などで電力供給がストップした場合には、業務が遂行できなくなるリスクを抱えています。実際に過去のケースを見ると、豪雨や震度7を超える地震などの大きな災害が発生して電力供給が中断した場合、復旧に1週間以上かかったことも少なくありません。

 災害の発生は、誰にも予測できません。つまり、企業は、いつ長期的な停電が起きるのか分からないという危機にさらされています。

電力はいつ復旧するか分からない、時間との戦いがBCPの課題

 停電はいつ起きるか分からず、実際に起きれば電力の復旧に1週間以上かかることもあります。停電と同様に、電力の復旧するタイミングを予測することはできません。企業システムの復旧作業は、当然ながら電力を必要とします。

 そのため、災害時に速やかに事業を再開させるには、電力が復旧するまでの予備電源をどう確保するかが課題になります。

通信手段である電源確保が最優先

 とくに通信手段を維持するための電力の確保は、非常に重要です。災害時は、従業員の安否確認や被害状況の確認に加え、取引先との連絡のために通信手段が必要だからです。規模にもよりますが、通信で消費する電力はそれほど大きくないため、まずは最小限の電力確保が望ましいでしょう。

生命の安全に電源確保は必要

 生命の安全面から考えでも、電源の確保は非常に重要な課題と言えます。病院や介護施設などでは、停電はそのまま医療機器の停止につながります。あるいは、停電による空調の停止により、熱中症で人命が失われるケースも考えられます。

 高齢者や体力が弱い人を抱えている企業では、生命安全のための電源確保についてもしっかり考える必要があります。

停電に対するBCP対策

 停電はいつどこで発生するか分かりません。企業は、自社がいつでも停電の危険にさらされていることを認識し、停電に対するBCPを策定しておく必要があります。

電力の確保

 前述のように、災害時には「通信手段の確保」「生命の安全」「業務システムの復旧」のために、電力を確保しておくことが重要です。BCPでは、停電を前提とした具体的な対策を立てることが求められます。

受電設備の複数可

 停電に対するBCPを策定するときは、停電の原因となる要素についても洗い出しが必要です。停電の原因を予測しておくことで、より的確な対処法の確立につながります。たとえば、災害時に電力が中断する理由の1つに回線トラブルがあります。

 回線トラブルによる停電を回避するためには、「本線予備線受電」が効果的です。これは本線の他に予備の回線を用意しておく方法です。たとえ片方の回線に障害が発生しても、もう一方の回線に切り替えることで、電力確保を可能にします。

 あるいは、「受変電設備の二重化」も有効です。「受変電設備」とは、高圧の電力を低圧化して各機器で使えるようにするための設備です。この受変電設備が壊れると電力の供給不可能になるため、予備の受変電設備を用意しておくことが望ましいです。

予備電源を準備しておく

 予備電源には、「電力を蓄えるもの」と「電力を作り出すもの」の2種類があります。「電力を蓄えるもの」には乾電池や蓄電池があります。蓄電池とはいわゆる充電式電池のことで、充電と放電をくり返すことができるタイプの電池です。使い捨ての乾電池と異なり、携帯電話やノートパソコン、電気自動車の電池としても利用できます。

 蓄電池には一般家庭用と産業用があり、企業向けなのは後者です。産業用の蓄電池は、大型な場合や、使い方に注意が必要な場合があるため、種類別の特性を理解し、どれを使用すべきか検討することが大切です。

停電の対応を考えておく

 BCPでは、電源の確保だけでなく、停電時の対応についてもしっかり考える必要があります。あらゆるリスクを想定し、各リスクに応じた対策を立てることは、停電時にも慌てることなく速やかな事業の復旧作業ができることにつながります。考えるべき停電時の対応には、たとえば以下の3点があります。

必要な電力量を調べる

 まずは、業務に必要な各機器が必要とする電力量を調べる必要があります。あわせて、各機器を一定期間機能させるために必要な電力についても想定します。たとえば期間を1週間とした場合には、1週間に各機器が消費する電力の量について、現実的な数値を考えます。

 このとき、必要電力量は時間単位で調べておきましょう。さらに、機器単位だけではなく、各事業や各部署ごとに必要な電力量を調べておくとベストです。

優先する事業・機器を考える

 次に、優先すべき事業と機器をリストアップします。最低限優先するべき機器には、たとえば通信に使用する機器や、作業・移動に必要な照明器具やエレベーターの他、最低限の空調などがあります。

 事業単位では、最低限必要とされる中核事業と、復旧を後回しにしてもよい事業や停止してもよい事業に分けて考えておくと、優先順位をつけやすくなります。

バックアップ

 災害発生時に備えて、日ごろからデータのバックアップを取っておくことも大切です。停電時には、作業中のデータや過去のデータが消失してしまうことがあるからです。クラウドストレージや外付けストレージを活用し、こまめにバックアップを行うように習慣づけましょう。

予備電源の種類

 企業は一般家庭よりも多くの電力を必要とします。そのため、予備電源は「電力を蓄える」タイプより「電力を作る」タイプに重きを置くことが望ましいです。企業向けの予備電源として代表的なのは以下の3つです。

乾電池・産業用蓄電池

 蓄電池には「鉛蓄電池」「ニッケル水素電池」「リチウムイオン電池」「NAS電池」等の種類があります。それぞれの特徴を以下の表にまとめました。

  使用可能年数 蓄電可能回数 価格
鉛蓄電池 約17年 約3,150回 約5万円/kWh
ニッケル水素電池 約5~7年 約2,000回 約10万円/kWh
リチウムイオン電池 約10年 約4,000回 約20万円/kWh
NAS電池 約15年 約4,500回 約4万円/kWh

 NAS電池は工場などのバックアップ電源としてよく利用されています。モバイル機器全般に広く利用されるのがリチウムイオン電池です。小型かつ軽量で、蓄電性能や高圧電力供給能力に優れているという特徴があります。

化石燃料による発電

 化石燃料による発電には、「ディーゼル発電機」「ガソリンエンジン発電機」「LPガス発電機」などの種類があります。

 ディーゼル発電機は軽油を利用した発電機で、サイズが小型~大型まで幅広く揃っています。発電効率がよく燃料単価が安いというメリットがありますが、排気ガスが出るため環境保護の面では難があります。なお、軽油の保存期間は約6カ月で、定期的な買い直しも必要です。

 ガソリンエンジン発電機は、ガソリンを燃料とします。小型で持ち運びが可能なため、小回りに優れている特徴があります。ただし、災害発生時にはガソリンの供給が乏しくなるため、燃料の確保が難しいというデメリットがあります。

 LPガス発電機には定置式と可搬式があります。いずれもLPガスを燃料とします。LPガスは長期間の保存が可能で、供給が途絶えるリスクが少ない点がメリットです。一方で燃料単価が高く、種類が少ないことがデメリットとして挙げられます。

太陽光発電

 太陽光発電はライフラインや燃料が必要なく、環境にも優しいというメリットがあります。一方、発電は太陽光頼みになるため、気候や天気によっては電力の安定供給が難しいというデメリットがあります。そのため、他の予備電源との併用がおすすめです。

信頼性される企業になるには予備電源の確保が必要

 自社の利益の保護や顧客からの信頼向上を図るためには、しっかりとしたBCP策定をすることが大切です。とくに災害発生時には迅速な通信手段や業務システムの復旧が要となるため、予備電源を確保することは重要な課題といえます。

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