2021.03.12 (Fri)

最初に覚えておくべきBCP(事業継続計画)のノウハウ(第3回)

BCPと一緒に考えるべきBCM、DRP、DR

 東日本大震災をきっかけに、日本でも災害に対するリスクマネジメントとしてBCPが注目されはじめました。現在、日本政府は2020年までに大企業でほぼ100%、中小企業で50%というBCP策定率の目標を掲げています。BCP策定はそれ自体にメリットが非常に多いものであり、策定を進めておいて損はありません。今回は、そのBCPと一緒に検討すべきであるBCM、DRP、DRについて詳細な説明や効果的な事例、重要なポイントを説明していきます。

BCP関連のキーワード

 近年、災害への対策を整えるためBCPという言葉が注目されるようになりました。しかし、BCPや他の関連用語の意味を理解しきれていない人も多いのではないでしょうか。まずは、BCP関連のキーワードをいくつか紹介します。

BCPとそれに類する言葉

 BCPはBusiness Continuity Plansの略で「事業継続計画」を意味しています。その他、BCPに類するものとしてBCM、DR、DRPが挙げられます。

 BCM(Business Continuity Management)は「事業継続マネジメント」、DR(Disaster Recovery)は「災害復旧」、DRP(Disaster Recovery Plan)は「災害復旧計画」を指します。

 似たような言い回しに感じるかもしれませんが、それぞれ内容が異なります。後に各用語の詳細と違いを紹介します。

BCPの詳細説明

 まずはBCP(Business Continuity Plans)について説明します。直訳の通り「事業継続計画」を意味しており、災害が起きたときでも中核事業を継続できることを目的としています。日常的に策定・運用のサイクルを廻すことで都度見直しが可能となり、上手に活用できるものとされています。

 東日本大震災の時点ではすでに存在していましたが、計画通りの事業継続が実現できなかったことから、改めてBCPという言葉が注目されたほか、策定後のテスト・訓練、メンテナンスといった実践的な運用も重視されるようになりました。

BCMの詳細説明

 BCM(Business Continuity Management)は直訳で「事業継続マネジメント」を意味しています。リスクマネジメントの一種であり、策定した計画に沿って適切かつ継続的に管理・運用していく仕組みです。

 策定した計画は、従業員を含めて全社的に浸透していなければ効果を発揮しません。統合的な事業継続のために、BCMは非常に重要な役割を担っています。

DRの詳細説明

 DR(Disaster Recovery)は「災害復旧」のことです。地震や津波、テロといった災害をあらかじめ想定し、迅速に復旧できる体制を構築していくことを意味しています。

 災害による被害をゼロにすることは困難です。あらかじめ被害を想定しておくことがDRの本質といえます。

DRPの詳細説明

 DRP(Disaster Recovery Plan)は「災害復旧計画」を指します。災害に対して、いかに迅速に復旧できるかの計画立てです。

 「迅速に」を図る指針として「目標復旧時点」を表すRPO、「目標復旧時間」のRTO、「目標復旧レベル」RLOが存在します。これらをもとに策定することでDRPは効果を発揮します。

それぞれの違いについて

 BCP、BCM、DR、DRPそれぞれの詳細を説明しましたが、似た意味をもつ部分があり、違いを把握するのが難しいところです。ここでは、それぞれの違いをピックアップして紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

BCPとBCMの違い

 先に述べたように、BCPとBCMはどちらも災害が起きたときの事業継続を目的とした用語です。ただし、BCPとは一言で言うと「計画」であり、BCMとは「実行」です。

 事業継続は計画・実行・確認・改善で構成されています。このような一連の運用プロセスがBCPです。つまりBCPで策定、文書化された計画をBCMで実現するという関係にあります。

 例えば、社内全体で防災マニュアルをもとに防災ツールの試用を行う場合、防災マニュアルがBCP、防災ツールの試用がBCMです。

BCPとDRPの違い

 BCPとBCMの違いがわかったところで、次にBCPとDRPの違いを解説します。先ほどの「計画」と「実行」で表現するならば、BCPとDRPはどちらも「計画」です。しかし計画の対象先が違います。

 BCPは事業の継続という企業全体の目標を重視していますが、DRPはシステムの迅速な復旧を重視しています。つまりDRPはBCPの中の災害復旧に特化した項目です。BCPという大きな枠の中にDRPが存在すると理解してください。

 近年は事業の継続をシステムが担っている部分が大きいため、BCPの中でもDRPが占める割合は大きくなっています。

BCP・DRPとDRの違い

 DRも含めた際の関係性も説明します。DRとは、DRPによって定めたRPO、RTO、RLOという指針に基づき、災害時に迅速に復旧できる体制を構築するものです。

 つまりDRPとDRはBCPとBCMと同じように、どちらも「計画」と「実行」の関係にあります。このように、それぞれの単語は「計画」と「実行」の区切りと目的とする範囲で分けられています。

それぞれの効果的な手法・事例

 それぞれの用語の意味、違いは明確になりましたが、まだ具体的な扱い方はイメージできないかもしれません。ここで効果的な手法・事例をいくつか紹介します。

BCMの効果的な運用事例

 BCMとは、BCPで策定した計画を実行に移すことです。したがって、BCMを効果的に運用するためには実現可能なBCPの策定が重要となります。

 例えば、大成ファインケミカルは震災で工場の操業停止となった経験から新たにBCPを策定しました。現場の人間も参加しながら策定したことで、耐震設備や緊急時の物資・電力確保、運用コストの削減を実現しています。

 このように経営陣だけでなく、関連会社含めた全従業員にとって有益なBCPを策定することで、BCMの効果は大きく向上します。

DRPの効果的な策定方法

 DRPには指針としてRPO、RTO、RLOがあることは説明しました。改めてこれらの詳細を説明します。

 RPOは「損失したデータをどの時点まで復旧するのか」、RTOは「業務やデータの復旧をいつまでに完了するのか」、RLOは「業務やどのレベルまで復旧するのか」という指標です。

 これらを設定しておくことで、障害時に「〇月〇日時点のデータを▢時間以内に△%の業務で復旧する」というように、作業目標を明確にすることができます。障害後の業務効率を上げることにもつながるため、これらの指針を事前に決めておくことが非常に重要です。

DRの重要なポイント

 DRとはDRPで策定した計画に沿って進められる災害復旧ですが、実行する上でリスク回避、スピード、コストが重要なポイントとなります。

 特にDRはシステムに関わるため、復旧における「スピード」が重要です。RTOで設定した時間を達成できるように意識しなければなりません。

 「コスト」も重要なポイントです。DRは災害が起こっていない日常の場面で活用することがないため、できる限りコストを抑えたい企業も多いはずです。スピードとコストから、自社にとって最適なDRを確立させる必要があります。

メリットとデメリット

 BCPには4つのメリットが存在します。1つ目は「対応の即時性」です。事前に策定したマニュアルがあることで、緊急事態にもすぐに対応できます。

 2つ目は「業務の可視化」です。はっきりとしないプロセスを文書化することで、優先すべき作業や改善点が明確になります。

 3つ目は「企業の強み・弱みの把握」です。BCPのテストや訓練を行うと、事業がストップした際に機能しない部分が明確になります。自社の強み・弱みを把握し、業務自体を見直す機会になります。

 4つ目が「信頼性の向上」です。障害や損失は取引先にも影響が生じるため、BCPは自社の被害保険として完結するわけではありません。確立されたBCPを備えていることは、取引先から信頼を得ることにもつながります。

 一方で「コスト」が唯一のデメリットといえます。策定には時間や費用が発生します。

 BCMとBCP、DRとDRPは「計画」と「実行」の関係、DRPはBCPの中の災害に特化した一部です。この項目ではBCPと一括りで紹介してきましたが、それぞれが相対的な関係をもっているため、BCPのメリットは全てBCM、DRP、DRでも享受できるメリットです。

BCPとBCM、DRP、DR

 本記事ではBCPとBCM、DRP、DRという事業継続に関わる4つの言葉を解説しました。先に述べた通りですが「災害に対する計画においてBCPの一部がDRPであること」「BCMはBCPで策定した計画を運用すること」「DRはDPRで策定したシステム復旧に関わる計画を実現すること」です。

 しかし近年、事業においてシステムの割合が大きくなったことを考えると、これらの4つの言葉は一連として語られるべきものであり、BCP策定と切り離して考えるべきではありません

 緊急事態への対応と意識を明確にし、共有しておくことが重要です。「それぞれの効果的な手法・事例」で紹介した内容を参考に、ぜひ自社に合ったBCPを策定、運用してください。

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