さまざまな業界で定着しつつあるテレワーク。日本政府も後押しを続けており、「2021年度からテレワークで東京の仕事を続けつつ地方に移住した人に最大100万円を交付する」と発表しました。都道府県や市区町村独自の助成金も、次々と実施されています。ここでは、注目が集まっているテレワーク助成金をピックアップして紹介します。
2021年はテレワーク元年か、日本政府の助成金制度が開始
2020年9月、政府は、「2021年度から、最大100万円を補助するテレワーク移住の交付金制度を開始する」と発表しました。この交付金の最大の特徴が、「テレワークで東京の仕事をしつつ地方に移住した人」を対象としているところです。これまでも地方に移住し、就職・起業する人への支援金制度はありましたが、政府が東京のテレワーカーを対象にした助成金を交付するのははじめてとなります。コロナ禍で「オフィスに出勤しない働き方」が定着しつつあるいま、人や仕事が東京だけに集まる「東京一極集中」の課題を改善したいという狙いが見て取れます。
もうひとつ注目したいのが、同時に発表されたIT関連の移住起業助成金です。「地方のデジタル化を促進する目的でIT(情報技術)関連の事業を立ち上げた場合は最大300万円の助成金を交付する」ということも発表されました。
さらに政府は「2021年度以降、地方公共団体が住民のテレワーク環境を整えるための交付金制度を新設し、費用の最大4分の3を助成する」としています。
これらの施策に、総額1,000億円以上の予算が投じられる見込みです。国による大規模な支援制度がはじまる2021年は、本格的なテレワーク元年になることが予測されます。もし個人的に移住したい、または企業としてテレワーク制度を推進したいと考えているなら、この好機を逃す手はありません。
最大1100万円の補助も。自治体の支援制度
都道府県や市区町村といった自治体では、すでにさまざまなテレワーク関連の助成金制度がはじまっています。知っておきたい注目の助成金制度を、ピックアップしてまとめます。
●茨城県日立市「ひたちテレワーク移住促進助成事業」
日立市への移住者に、最大151万円の助成金を支給する制度です。「39歳までの方」で、「県外企業への勤務を継続しながら、テレワークを実施する方」または「県外企業等から受注し、リモートワークにより仕事を継続するフリーランスの方」が対象となっています。住宅取得の支援金100万円のほかに、通信機器整備費20万円、コワーキングスペース利用料10万円など、テレワークを実践する際に必要となる経費が助成されるところが特徴です。アパートを借りる場合は最大101万5,000円、実家に住む場合も最大40万円が交付されます。
●長野県「おためしナガノ」
長野県に居住する、もしくは長野県と現在の居住地を行き来する二拠点生活の形で、3~5カ月間テレワークが体験できるという制度。コワーキングスペースの利用料や交通費、引っ越し代など、最大30万円の補助が受けられます。費用の補助だけでなく、コワーキングスペースを通した交流や、その後の定住支援が受けられるところがポイント。また、「おためし」の名の通り、「その後、移住や二拠点生活をしない」という選択肢を選んでもOKという気軽さが受けています。おおむね45歳以下のIT関連の仕事をする県外居住者が対象です。
※2020年の受け付けは終了しています
●長野市「長野市企業移転・移住支援金」
長野県外の3人以上の法人が長野市に新たに本社移転または事務所を設置する場合に適用される助成金制度。移転支援金300万円、社員1人移住につき50万円(最大5人まで)が支援されます。6人以上が移住する場合は長野市雇用創出助成金との併用が可能になり、最大額が1,100万円に。例えば、東京や大阪など大都市圏の仕事をオンラインでのやり取りをベースにして長野で受注したり、長野の本社をベースに各地のリモートワーカーを組織したりと、新しい働き方につなげることができそうです。
いずれの制度も、実施の有無、募集時期、応募条件などは変わる可能性があります。詳細は公式サイトでご確認ください。
最新情報をまめにチェックして、テレワーク移住を実現
他にも、最大50万円の支援金が交付される岐阜県の「清流の国ぎふ移住支援補助金」や、都内への通勤費を月額1万円まで補助する栃木県の通勤補助金制度など、テレワークに活用できる助成金制度が、さまざまな自治体で運用されています。移住、テレワークに関する支援制度は、これまでにないほど整ってきています。テレワーク移住を検討している方は、政府や自治体の最新情報をまめにチェックしておきましょう。
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