新型コロナウイルスの影響でテレワークを採り入れたものの、勤怠管理をどうすればいいのか、部下のモチベーションをうまくコントロールできないなど、オフィスとは異なる環境で「部下をどのようにマネジメントすればよいのか」に悩む管理職は多いのではないでしょうか。しかし、ちょっとした工夫や仕組みで、「テレワークでも上手に部下をマネジメントしている」企業もあります。本記事では、それらの運用法や取り組み事例などを紹介します。
テレワークの実施とともに浮かび上がった「課題」
オフィスのように顔を合わせることができないテレワークでは、管理職にとっても部下にとっても「コミュニケーション」が課題となります。
パーソル総合研究所の調査によると、テレワークを行っている人の不安の1位が「相手の気持ちがわかりにくい」(37.4%)、2位が「仕事をさぼっていると思われないか」(28.4%)だったことが明らかになりました。
また、テレワークによる変化について、「上司とのやりとりが減った」と答えた人が45.2%、「組織の一体感がなくなった」と答えた人が36.4%、「仕事への意欲・やる気が減った」と答えた人が32.8%いたこともわかっています。
自宅でのテレワークでは、生活と仕事の区切りをつけることが難しくなります。そのため、社歴が浅くセルフマネジメントができない部下や家事・育児をしながら仕事をしている部下などは、生産性が下がってミスが増えるといった課題を抱えているかもしれません。
では、このようなテレワークの課題を、世の中の企業はどのように解決しているのでしょうか。
ツールの使い方を「ルール化」するのがポイント
テレワークでのコミュニケーションで管理職が意識すべきポイントは、ツールの使い方などをルール化することです。
たとえば、企業のマーケティングを支援する株式会社ピクルスでは、「開始共有」「中途共有」「終業共有」という形で1日3回のオンラインミーティングを実施しています。1日の決まったタイミングでコミュニケーションできる機会を設けることで、在宅勤務でも仕事のリズムが作りやすくなります。
一般社団法人日本テレワーク協会の「第19回テレワーク推進賞」で優秀賞を受賞したNTTコミュニケーションズ株式会社は、社内用SNSツールを活用することで、オフィス内で立ち話をするようなコミュニケーションができる場を設けています。また最近では、ランチタイムにウェブ会議をつなぎながらミーティングする「オンラインランチミーティング」を取り入れることで、オフィスで働いているときと似たコミュニケーションがとれる工夫をしています。
また1月27日から全社一斉テレワークを実施しているGMOインターネットグループでは、ウェブ会議ツールを活用し、「在宅ワークが楽しすぎて会社に行きたくなくなってしまったエンジニア・デザイナーの話」と題したオンラインイベントを開催しました。こうしたイベントを組み込むことで、長期化するテレワークの中だるみ防止やナレッジの共有が期待できます。
ほかにも、「始業時にその日のタスクと体調をチャットで全員に共有する」「個別の相談ではSNS、複数人の場合はウェブ会議とツールを使い分ける」「業務時間外の急を要する連絡をSNSに集約」「チャットツールのステータスを適時適切に変更して在籍状況を知らせる」「入社3年目未満の社員は、ひとつタスクが終わるごとにチャットで上司に報告する」という企業もあります。
管理職からコミュニケーションを増やすことが重要
こうしたルールを定着させるためには、管理職自らが率先して実践する姿を見せることです。同時に、管理者の方から部下へのコミュニケーション回数を増やす意識も重要です。デスクが近ければ気軽に相談できたこともテレワークではしにくくなります。そのため「何か困っていることはないか?と1日1回は部下にメッセージを送る」「相談ごとを先延ばしにせず即日決定をする」「家族とのランチで1時間席を外すといったオンオフの情報を積極的に発信する」といったことを自らのルールにすることも効果的です。
自社の環境や状況によって柔軟に実施していくことも大切です。使用するツールを変えてみたり、業務報告の頻度やり方を変更してみたり、イベントの内容を見直してみたりと、部下の意見を聞きながらこまめにチューニングしていくとよいでしょう。
とはいえ、それまで毎日オフィスに出勤していた部下がまったく異なる環境で仕事をするわけですから、すぐに成果が出せるとは限りません。管理職サイドが部下の様子を観察し、少しずつ最適化していくことで、じわじわと効果が上がっていくものと心得ましょう。
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