ビジネスの場には欠かせない「名刺交換」。しかし、ウェブ会議が浸透しつつある中では、対面による名刺交換が困難になっています。この問題解消に役立つのが、オンライン名刺サービスです。2020年7月の記事に続いて今回は、さらに進化を続けるオンライン名刺サービスの“いま”についてお伝えします。
名刺をバーチャル背景化。プロフィールをわかりやすく伝える
初対面でもお互いの情報を気軽に交換できる「名刺」は、ビジネスの優れたコミュニケーションツールです。相手の住所や名前などをきっかけに、雑談からコミュニケーションをはじめられるほか、相手が関わる事業やポジションなどもスムーズに把握することができます。
しかし、現在利用が増えているウェブ会議では、名刺交換ができません。そのため、コミュニケーションに課題を感じているビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。クラウド名刺管理サービスを展開するSansan株式会社の調査によると、緊急事態宣言の前後で比較した場合、オンラインでのビジネス商談が約2.5倍に増加したのに対し、名刺交換枚数は約30%減少しています。
同社の別の調査では、オンライン会議の困りごととして、「アイスブレイクしづらいときがある」と答えた人が40%、「名刺交換できないときがある」と答えた人が38%、「会議中、相手の名前がわからないときがある」と答えた人が30%いることが判明しました。
そのようなビジネスパーソンの悩みに応えるべく、ZoomやSkypeといったビデオ会議ツールのバーチャル背景に名刺情報を表示できるサービスが普及の兆しを見せています。
Sansanの名刺アプリ「Eight」は、社名や役職、氏名と名刺情報にアクセスできるQRコードを組み込んだバーチャル背景を自動生成できる機能があり、QRコードをスマートフォンで読み取ってもらえば名刺交換ができます。
ウェブ制作会社のQlipは、バーチャル背景名刺を無料で作成できるツール「zooome(ズーミー)」を提供開始しました。zooomeを利用することで、ビデオ会議時、背景に社名や肩書き、名前、プロフィール文を表示できるようになります。対面式の会議と違ってウェブ会議の場合、初対面でも自己紹介を省いてすぐ本題に入ることがあるので、参加者に自分を理解してもらう際に役立つでしょう。
編集ページで名刺情報の入力を行い、ビデオ会議用アプリのバーチャル背景に設定するだけ。2ステップで名刺が完成します
ビジネスブログ開発を手がける株式会社イーハイブは、バーチャル背景メーカー「ふるさとメイシー」を提供しています。地方自治体と連携し、各自治体から提供された写真を肩書きや名前ととともに設定できるのが特長です。自分の故郷の写真を背景に設定することで、アイスブレイクのきっかけになるほか、自身の印象づけなどにも役立つでしょう。
「ふるさとメイシー」のバーチャル背景は、各地域の名所、名産品、催事などバラエティー豊か
名刺交換した相手の異動、昇進も自動で通知
名刺が紙からデジタルへと変化するメリットは、コミュニケーションツールとしての役割が増すことだけではありません。名刺がデジタル化することで、社内で共有しやすくなります。共有することで、初めてコンタクトを取りたい相手がいる場合、社内ですでにその相手と名刺交換をした人がいるかどうかをすぐ確認できます。オンライン名刺サービスによっては、名刺交換した相手の所属部署や肩書きが変わった場合、通知してくれるものもあります。
名刺管理システムを活用して、名刺を交換した見込み顧客とのメールのやりとりやメールマガジン配信などのデータを紐づけ、コミュニケーションを数値化することで、より効果的なマーケティングや営業活動を行うことも可能です。オンライン名刺サービスは、ビジネスのデジタルトランスフォーメーション(DX)の一つとして、今後さらに注目が集まるでしょう。
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