長引く在宅ワークによって、オンラインによるミーティングが急増しています。しかし、オフィスとは異なる通信環境から、音が途切れる、聞き取りにくい、時差が生じて発言が重なってしまうなどにより、スムーズにいかないことも少なくありません。本記事では、快適にウェブ会議を行うための10のポイントを企業が実践している工夫から紹介します。
会議前に欠かせない「3つの準備」とは?
リサーチ会社J.D. パワー ジャパンが4月27日に発表した、テレワークでのウェブ会議利用に関する日米調査によると、ウェブ会議利用中に経験した問題・不具合の第1位は「音声が聞き取りにくい」(29%)となっています。他に、「画面共有が遅延する」(16%)、「映像と音声のタイミングがずれる」(12%)などの意見もありました。
こうした問題を最小限に抑えるには、まず会議主催者の「事前準備」が欠かせません。主催者が押さえておきたい事前準備は次の3つです。「ミーティング前に接続テストをする」「アジェンダや資料を事前に送っておく、もしくはデスクトップ上に開いておく」「発話が被らないようメインの発言者を決めておく」。
また会議の参加者には、「発言しないときはマイクをミュートに」「相手の発言から3秒、間をおいて発言する」というアナウンスをしておくと、発言者の音声が聞き取りやすく、発言のかぶりも少なくなります。
「あれ」「それ」NG、会議の生産性を上げる10のポイント
とはいえ、会議本来の目的は「参加者の知恵を集め、生産性のある意志決定」を実現することです。参加者同士が活発な議論を交わし、ウェブ会議を「大いに盛り上げる」ために、企業や組織はどのような工夫を行っているのでしょうか?
例えば、リモートワークを全社で10年以上続けている株式会社ソニックガーデンでは、「ファシリテーションを重視した」ウェブ会議を行っています。「意見を聞きたい時は『◯◯さんどうですか?』と名前をはっきり呼ぶ」「『あれ』『それ』といった指示代名詞は極力使わない」「『私からは以上です』などの発言で、自分の発言が終わったことを明確に示す」などで会話を整理しながらウェブ会議を進めています。
採用マーケティングを行うHeaR株式会社では、「活発に意見が出る雰囲気づくり」のために、「会議前での雑談などのアイスブレイク」「会議の目的を事前に共有」「ひとつのウェブ会議で議題はひとつ」「必要最低限の参加人数に絞る」といった工夫をしています。
教育業界のノウハウをビジネスに活かせる例もあります。大阪府の追手門学院大学では、ウェブ会議ツールの機能を使って、ミーティングを最大50のセッション(小部屋)に分割することで、授業の導入や発表は全員で、ディスカッションはグループでと、大小の部屋を行き来するような授業をオンラインで行えるようになりました。こうした利用法は、企業での研修や、採用関連の会社説明会などで活用できるでしょう。
ほかにも、「パソコンの画面を共有する際は、ツールを使ってカーソルを大きく表示する」「重要な会議は録画してシェア、ライブ配信を行う」といった工夫で、スピーディーに情報共有するといった工夫もあります。
「複数ツールの活用」は、客先との会議で役に立つ
これらの工夫や活用法に加え、「会議ツールをマルチデバイス化」しておくことも有効です。パソコンだけたでなくスマートフォンやタブレットにもウェブ会議ツールをインストールしておくことで、パソコン端末の問題でうまく接続できない、音が途切れるといったトラブルが発生した場合でも、スマートフォンやタブレットからすぐにアクセスを再開できます。
また、社内の定例ミーティングなどで「複数のツールを使う」ことは、社外との会議に有効です。どの会議ツールを採用しているかは企業によって様々ですが、日頃から複数ツールをこまめに変えて、さまざまなツールに慣れておくことで、クライアントがどんなツールを指定してきても対応することができます。
ウェブ会議は、会議室の予約や移動時間などがなく、効率的に社内外でのコミュニケーションが図れるイノベーティブな技術です。これまで紹介した「ノウハウ」は、外出自粛が解除された後も活用できるはずです。
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