
働き方改革の一環として、テレワークの導入は増えつつあります。ただし、テレワークを実施するために必要となる設備・機器の導入にはコストがかかるため、テレワーク導入を迷っている事業主も少なくありません。
ここでは過去に実施された、テレワークの導入時に利用できる、コスト負担を軽減するための助成金・補助金をご紹介します。

テレワークの導入に役立つ助成金・補助金とは
既存の業務体制を変更することから、テレワークの導入は大きな労力・金銭的なコストを要するものです。
一方で、働き方改革の一環としてテレワークの導入促進を図るため、国や自治体は助成金・補助金を設けています。これらの助成金・補助金を積極的に活用することで、コストを軽減しつつテレワーク導入を進められます。
テレワーク導入にかかるコスト
テレワーク導入にかかるコストの多くは、遠隔地同士で仕事をする際に必要となる設備・機器の導入、サービス・ライセンスの契約によるものが大半。具体的には、以下による出費が多くを占めます。
- パソコン・スマートフォンの支給
- ウェブ会議に必要となるシステムの導入
- ウェブ上で完結する勤怠管理システムの導入
- 通信環境の整備
上記を始めとする設備・機器導入のほか、社員のリテラシーに応じて研修が必要となるケースもあり、既存の体制次第ではあるものの数十万~数百万円のコストがかかります。
助成金・補助金の利用は、これらの金銭的な負担の軽減に役立ちます。
以下、過去に実施されていた助成金・補助金をご紹介していきますが、各種助成金・補助金はすべてがNTT東日本のサービスの対象になるものではありません。詳細は、実施元にご確認ください。
※記載している情報は、2021年11月時点のものです。
現在受付中のテレワーク助成金・補助金制度
人材確保等支援助成金(テレワークコース)(令和3年4月1日創設)
国(厚生労働省)が設けている助成金制度の1つ「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」についてご説明します。
助成内容・支給対象者
良質なテレワークを新規導入・実施することにより、労働者の人材確保や雇用管理改善等の観点から効果をあげた中小企業事業主が助成対象となる助成金制度です。
支給対象となる経費の範囲
- 就業規則・労働協約・労使協定の作成・変更
- 外部専門家によるコンサルティング
- テレワーク用通信機器の導入・運用
- 労務管理担当者に対する研修
- 労働者に対する研修
※詳細は支給要領をご確認ください。
助成対象となる取り組みの実施期間
テレワーク実施計画認定日以降、機器等導入助成の支給申請日まで
※機器等導入助成の支給申請は、テレワーク実施計画認定日から起算して7か月以内に実施
評価期間
- 【機器等導入助成】
- 計画認定日から起算して6か月以内の連続する3か月
※評価期間の始期は事業主が設定 - 【目標達成助成】
- 評価期間(機器等導入助成)の初日から1年を経過した 日から起算した3か月間
支給額
機器等導入助成と目標達成助成において、下表のとおり支給されます。
助成 | 支給額 |
---|---|
機器等導入助成 | 1企業あたり、支給対象となる経費の30% ※ただし以下のいずれか低い方の金額を上限とする。 ・1企業あたり100万円 ・20万円×対象労働者数 |
目標達成助成 | 1企業あたり、支給対象となる経費の20% <生産性要件を満たす場合35%> ※ただし以下のいずれか低い方の金額を上限とする。 ・1企業あたり100万円 ・20万円×対象労働者数 |
テレワーク促進助成金
公益財団法人 東京しごと財団が設けている助成金制度の1つ「テレワーク促進助成金」についてご説明します。
助成金の概要
在宅勤務・モバイル勤務等を可能にする情報通信機器等の導入により、テレワーク環境を整備する都内中堅・中小企業が支給決定日以後に新たに取り組むもの(発注・契約を含む)かつ支給決定日から3か月以内に完了する取り組み※1で、実績報告時までに支払いを終えた経費が対象です。
事業者の規模(常時雇用する労働者数) | 助成金の上限 | 助成率 |
---|---|---|
30人以上999人以下 | 250万円 | 2分の1 |
2人以上30人未満 | 150万円 | 3分の2 |
- ※1完了する取組みとは、以下の2項目を満たす取組みを指します。
①申請した機器の購入や設定等がすべて完了し、テレワーク環境が整備できた状態であること。
②上記①のテレワーク環境を活用し、テレワーク実施対象者全員にテレワーク勤務を6回以上実施させていること。
助成対象事業者の要件
- 常時雇用する労働者が2名以上かつ999名以下で都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業等
- 都が実施する「テレワーク東京ルール実践企業宣言制度」に登録していること(実績報告時まで)※その他要件あり
- ※当財団実施「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」などの助成金に申請中または受給した企業は本助成金に申請できません。
その他の助成金に申請中又は受給した企業でも本助成金に申請できない場合がございます。詳細は募集要項をご確認ください。
助成金申請受付期間
申請書類提出期間 |
令和3年12月24日(金)まで
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過去に実施されたテレワーク助成金・補助金制度
新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース※令和2年度分は既に終了
国(厚生労働省)が設けている助成金制度の1つ「新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース」についてご説明します。
※厚生労働省の発表によると、本コースの受付は令和3年1月29日をもって、3次募集まで終了しています。
助成内容
新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコースは、新型コロナウイルス感染症対策のためにテレワークを実施する事業主の支援を目的とした特例コース。試行的にテレワークを導入する事業主も、助成の対象となります。
支給対象者
支給対象となる事業主は、労働者災害補償保険を適用しており、かつテレワークを新たに導入する以下の中小企業事業主です。
業種 | 資本または出資額 | 常時雇用する労働者 |
---|---|---|
小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
支給対象の取組
支給対象となる取り組みは、つぎに該当するものです。
- テレワーク用通信機器の導入・運用
- 就業規則・労使協定等の作成・変更
なお、パソコンやタブレット、スマートフォンは、本制度の「テレワーク用通信機器」に含まれない点に注意してください。
実施期間(受付期間)
令和2年2月17日~5月31日
※先述の通り、本助成金の受付は3次募集まで終了しています。
要件・条件・成果目標など
本制度の適用に求められる要件は、つぎの2つです。
- 助成金の支給対象となる取り組みを実施する
- テレワークを実施した労働者が1人以上いる
支給額
1企業あたりの上限額を100万円として、本制度の適用対象となる経費のうち1/2が補助されます。

事業継続緊急対策(テレワーク)助成金 ※令和2年度分は既に終了
東京都が設けている「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」についてご説明します。
※公益財団法人「東京しごと財団」雇用環境整備課のウェブサイトによると、「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」の申請受付は、令和2年7月31日(金)に終了しています。
助成内容
事業継続緊急対策(テレワーク)助成金は、新型コロナウイルス感染症の拡大・防止、および企業の事業継続対策として助成金を支給するもの。東京しごと財団が助成金受付先となっており、都内の中堅・中小企業等を対象として実施しています。
支給対象者
支給対象となる事業主は、つぎの条件を満たしている事業主のうち、さらにいくつかの要件を満たしている場合に限ります。
- 労働者(常時雇用)が2名以上999名以下、かつ都内に本社または事業所を置いている
- 都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」に参加している
上記以外の要件については、後述の「要件・条件・成果目標など」にてご説明します。
支給対象の取組
感染症の拡大防止・緊急時の事業継続対策として行われる、事業継続緊急対策(テレワーク)事業にかかる経費が助成の対象となります。
- 機器等の購入費
- 機器の設置・設定費
- 保守委託等の業務委託料
- 導入機器等の導入時運用サポート費
- 機器のリース料
- クラウドサービス等ツール利用料
対象となる機器等には細かな指定があるため、利用を検討する場合は東京しごと財団が公表する募集要項より詳細をご確認ください。
実施期間(受付期間)
令和2年3月6日~5月12日(予算を超える場合は早期終了の可能性あり)
※先述の通り、本助成金の申請受付は、令和2年7月31日(金)に終了しています。
要件・条件・成果目標など
本制度は、つぎの要件をすべて満たしている場合にのみ適用されます。
助成金の申請から、助成事業を終えて実績報告日に至るまでのあいだ、全要件を満たす必要があります。
- 都内で事業を営んでいる中堅・中小企業等であること
- 都内に勤務する常時雇用する労働者を2名以上、かつ申請日時点6か月以上継続して雇用していること
- 都税の未納付がないこと
- 過去5年間に重大な法令違反等がないこと
-
労働関係法令について、以下の項目を満たしていること
- 従業員に支払われる賃金が、就労する地域の最低賃金額(地域別、特定(産業別)最低賃金額)を上回っていること。
- 固定残業代等の時間当たり金額が時間外労働の割増賃金に違反していないこと、また固定残業時間を超えて残業を行った場合は、その超過分について通常の時間外労働と同様に、 割増賃金が追加で支給されていること。
- 法定労働時間を超えて労働者を勤務させる場合は、「時間外・休日労働に関する協定(36 協定)」を締結し、遵守していること。
- 平成31年4月以降、労働基準法第36条第6項第2号(月 100 時間未満)及び第3号(複数月平均 80 時間以内)に定める限度を超える時間外・休日労働を行っている従業員がいないこと。
- 支給申請日の前日を起点として過去1年間に年720時間を超える時間外・休日労働を行っている従業員がいないこと。 ※改正労働基準法では、時間外・休日労働の原則は年 360 時間です。
- 労働基準法第39条第7項(年次有給休暇について年5日を取得させる義務)に違反していないこと。
- その他賃金や労働時間等に関する労働関係法令を遵守していること。
- 厚生労働大臣の指針に基づき、セクシュアルハラスメント等を防止するための措置をとっていること。
- 風俗営業等の規制および業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条第1項に規定する風俗営業、同条第5項に規定する性風俗関連特殊営業、同条第13項に規定する接客業務受託営業およびこれに類する事業を行っていないこと
- 暴力団員等(東京都暴力団排除条例(平成 23 年東京都条例第 54 号。以下「条例」という。)第 2 条第 3 号に規定する暴力団員および同条第 4 号に規定する暴力団関係者をいう。)、暴力団(同条第 2 号に規定する暴力団をいう。)および法人その他の団体の代表者、役員または使用人その他の従業員若しくは構成員が暴力団員等に該当する者でないこと
- 就業規則を作成して労働基準監督署に届出を行っていること(常時雇用する労働者が 10 人以上の企業等)
- 本事業の助成金を利用又は申請した中堅・中小企業等の代表者と、新たに助成対象事業者になろうとする中堅・中小企業等の代表者が同一でないこと
- 都が実施する「2020TDM 推進プロジェクト」に参加していること
このほか、同様の事由により助成要件を満たす助成金のうち、国・各自治体が実施するものを受給する、あるいはすでに受給している場合は本制度との併給が認められません。

支給額
助成金の上限額を250万円として、適用対象の経費のうち10割に相当する金額の助成を受けられます。
その他過去に実施されていた助成金・補助金(2021年11月現在)
過去に実施された助成金・補助金は、記載した内容以外にも数多く存在します。
- はじめてテレワーク
- テレワーク活用・働く女性応援助成金
- 働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)
上記を始め、助成金・補助金は一年程度の短いスパンで募集を終了する制度が多いため、テレワーク導入の支援を活用する際は検討先の制度における募集期間・適用期間を確認しましょう。
NTT東日本では
助成金・補助金を活用した
テレワーク導入サポートを
行っています
テレワーク、働き方改革などの推進をご検討中の方向けに、
NTT東日本のサービス導入に役立つ助成金・補助金活用に関するご相談を受付しています。
「助成金・補助金のことがよく分からない」「申請手続きが煩雑そう」などのお悩みをお持ちの方に
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※NTT東日本が提供するサービスの導入をご検討中のお客さまが対象となります。
NTT東日本の
サポート内容
- お客さまの課題解決の支援をする弊社サービスのご案内・ご提供
- 活用可能な助成金・補助金の最新情報をご案内
- 助成金・補助金の申請手続きに関するご案内や、申請書類作成のサポート
※各種助成金・補助金の申請手続きを代行するものではありません。


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