テレワークの課題

テレワークの課題や解決方法について企業側・従業員側それぞれで解説

テレワークでは感染対策になることはもちろん、業務の効率化や社員のQOL(Quality of life)の向上などのメリットがある一方で、導入企業が増えてきたことで見えてきた課題もあります。今回の記事ではテレワークの導入を検討している企業に向けてテレワークの課題や、その解決方法について紹介します。

1. テレワークの現状

2020年11月に発表された総務省の調査によると、2020年9月時点でのテレワークの導入率は20.2%で、従業員数2000人以上の企業では60.8%もの企業が導入しています。緊急事態宣言の発令による新型コロナウイルスの感染対策で急激に普及が進んだ一方で、緊急事態宣言解除後には実施を取りやめる企業も一定数存在します。

テレワークを導入していない企業の理由としては「テレワークに適した仕事がない」「業務の進行が難しい」「顧客対応に支障がある」「セキュリティ」などが主に挙げられています。

参考・出典:テレワークの最新動向と総務省の政策展開
http://teleworkkakudai.jp/seminar/2020/pdf/iwate/01_soumu201127.pdf

2. テレワークにおいて企業側が抱える課題

メリットも多いテレワークですが、コミュニケーションやセキュリティなどの課題もあります。企業におけるテレワークの課題について具体的に見ていきましょう。

①プロジェクトやタスクの進行管理

オフィスで勤務をしている時は、毎朝の朝礼・定期的な会議・業務中での気軽なコミュニケーションなどの中で、メンバーのタスクや業務の進行状況の把握ができましたが、テレワークではコミュニケーションの頻度が少なくなるため管理が難しくなります。

何か問題が起きた際に隣の席にいる社員に声をかけて数分で確認をとることができず、フィードバックやアドバイスの機会も限られます。

テレワーク用にタスク管理のシートをエクセルなどで作成しても、記入漏れや認識の違いなどが生まれやすいものです。最初のうちはこまめにチャットや電話などで確認していきますが、部下・上司とも負担の大きさからやがて消極的になりがちです。

オフィスでは気づけていた、細かなヒューマンエラーや認識の違いなどを解消する工夫が必要です。

②労働・勤怠管理

テレワークでは社員の勤怠管理・労働時間の把握が難しくなりがちです。オフィスでは出勤時にタイムカードを読み込んで出勤時間を記録したり、部下が実際に出社したりして働く様子を確認することが可能ですが、テレワーク用の勤怠管理システムがない場合は社員の自己申告によって勤怠報告が行われます。

勤務時間内に業務をしているかどうかは、報告や仕事のアウトプットなどからの判断になります。

勤務時間中に別の用事で数時間仕事を空けたり、終業報告後にその時間以上の業務をしていたりした場合は実際の稼働時間にズレが生じます。そのため、テレワーク時の勤怠報告への信頼度は低くなりがちになるといった課題もあります。

③人事評価

テレワーク中はオフィスで直接業務を行う時よりも、人事評価は難しくなります。社員の勤務態度を常に見ることはできず、仕事の成果に紐づく活動をどのぐらい行っているのかが可視化しにくいです。ついつい労働時間などで判断しがちですが、オフィス時よりも生産的な時間の使い方をしているかどうかは判断できない場合もあります。

業務内容が明瞭で成果物がある仕事や、売上などの数字で可視化できる仕事であれば評価もしやすいですが、成果が定量化しにくいバックオフィス業務などの評価では、不公平感を生む可能性もあります。

④ペーパーレス化やワークフローの問題

オフィス勤務時には当たり前に行っていた紙の書類での管理や、対面で捺印を行う稟議フローなどは、出社しなくても行えるようにテレワーク用のシステムを導入やワークフローの変更が必要です。

しかし、これまでの慣習からペーパーレス化が進まず捺印のためだけにわざわざ出社するケースもあります。

2020年11月に三菱UFJリサーチ&コンサルティングが出したデータによると、テレワークを導入しない理由として「紙の書類・資料が電子化されていないから」との回答が16.6%と、ペーパーレス化はテレワーク中の大きな課題の一つとなっています。

参考・出典:テレワークの労務管理等に関する実態調査(速報版)
https://www.mhlw.go.jp/content/11911500/000694957.pdf

⑤セキュリティの課題

テレワークでは、在宅をはじめとするコーワキングスペースや一次利用のサテライトオフィスなどの勤務が増えるため、情報漏洩のリスクが大きくなります。会社支給のパソコンやUSB端末の紛失・盗難、セキュリティが脆弱なカフェなどのサードプレイスでのネットワーク使用、社員による社内データの保存や他への利用などの要因が挙げられます。

2020年11月の三菱UFJリサーチ&コンサルティングのデータによると、テレワークを導入しない理由として「情報セキュリティの確保が難しいから」との回答は20.5%となっており、セキュリティに課題を持っている企業は多いようです。

⑥テレワークの実施が難しい業種がある

2021年3月の国土交通省のデータによると、テレワークを導入しない理由として「仕事内容がテレワークになじまない」との回答が約62%あり、2020年11月の三菱UFJリサーチ&コンサルティングのデータによると「できる業務が限られているから」との回答は68.1%と、導入すること自体がそもそも厳しい業種が多いことがわかります。

実施が難しい業種の特徴としては、以下が挙げられます。

  • 対面での接客が必要な業種
  • 現場での作業が必要な業種
  • 押印やFAXを多用するなど紙での業務が多い業種

医療・福祉系、接客・販売業、生産業・製造業・研究職などが当てはまります。

参考・出典:「テレワーク」実施者の割合が昨年度から倍増!~令和2年度のテレワーク人口実態調査結果を公表します~
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001391075.pdf

⑦環境整備に一定のコストがかかる

テレワーク導入時のコストや、その後にかかるランニングコストが導入のネックとなる企業もあります。

コスト内容としては、以下が代表的です。

  • 支給用PC端末などのハードウェア費用
  • 社用Wi-FiやVPN回線やリモートデスクトップなどの通信環境費用
  • Web会議ツールやバックオフィス系のクラウド管理システムなどのソフトウェア費用
  • 従業員への手当(通信費、冷暖房費、デスクなどの作業環境の費用など)

導入時の初期費用は負担が大きいものもありますが、導入後はオフィス賃料や従業員の通勤費用などの経費は削減が見込める場合もあり、またテレワークを促進する助成金の利用もできます。

⑧テレワーク対象にならない部門や業務との不公平感

同じ会社内でもテレワークがそもそも実施しにくい部門や実施メリットが少ない部門と、対象になる部門が分かれることが多く、従業員間での不公平感につながる可能性もあります。

2020年11月の三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によると、テレワークを導入しない理由として「テレワークできない従業員との不公平感が懸念されるから」との回答は15.7%と、導入のネックになる企業は一定数います。

3. テレワークにおいて従業員が抱える課題

次に、従業員の視点から見たテレワークの課題についても見ていきましょう。コミュニケーションや健康管理が代表的なものです。

①仕事環境による生産性の低下

在宅勤務では生産性が低下することがあります。オフィスでは十分な作業スペースのあるデスク・椅子、業務遂行に支障のないスペックのパソコン・モニターなど必要な環境が揃っていましたが、自宅ではそもそも仕事ができるスペースを設けていないことや、機材がそろっていないため生産性が落ちることが多々あります。

2021年3月の国土交通省のデータによると、テレワークを実施して悪かった点として「仕事をする部屋等の環境が十分でなく不便だった」との回答が約 35%もありました。

参考・出典:「テレワーク」実施者の割合が昨年度から倍増!~令和2年度のテレワーク人口実態調査結果を公表します~
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001391075.pdf

②オンオフの切り替えがむずかしい

テレワークが普及する前は「仕事はオフィスで行い、自宅はプライベートな空間」という分け方の人が多く、いざ自宅で仕事を進めようともオンオフの切り替えが難しいようです。

日経BP総合研究所イノベーションICTラボが2020年10月に行った調査によると、テレワークを阻害する要因の2位は「ずっと自宅にいると、心身を仕事モードに切り替えにくい」で36.3%でした。自分一人ならまだしも、家族と住んでいる場合は業務に集中する環境を自宅で作り続けるのはかなりの工夫が必要です。

その結果、業務を終わらせるために長時間労働になり、オフィス勤務と同じような仕事内容でも負荷を感じてしまいます。2021年3月の国土交通省のデータによると、テレワークを実施して悪かった点で一番多かった回答は「勤務状況が厳しくなった(仕事に支障、勤務時間が長くなる等)」で約47%と半数近くの人が抱えている大きな課題です。

参考・出典:テレワークの「新たな課題」ダントツ首位はあれ、独自調査で判明
https://active.nikkeibp.co.jp/atcl/act/19/00248/120800002/

③コミュニケーションの課題

テレワークでは会社側だけでなく社員側もコミュニケーションに大きな課題を感じています。オフィスで近くの席に社員がいて話しかけやすいという状況ではなく、Web会議などでのコミュニケーションがメインになるためコミュニケーションの回数が限られ、チームでの連携不足や孤独感の増加、結果として業務上の問題へと繋がります。

2020年10月の日経BP総合研究所イノベーションICTラボコミュニケーションの調査でのテレワークの課題についての回答では、「同僚(上司や部下を含む)とのコミュニケーションに支障がある」との回答が最も多く、48%と約半数の人が社内コミュニケーションに課題を抱えています。

④健康管理

テレワーク時には運動量の低下や長時間労働による過労、コミュニケーションの少なさによるメンタル面での問題など健康管理への課題があります。

通勤時の満員電車などはストレスの原因になりますが、移動中は日常の中で一定の運動の役割を果たしていました。移動が減るテレワークはどうしても運動不足になりがちです。

前述したオンオフの切り替えがしにくいことによる長時間労働は、過労や自律神経の乱れなどに繋がり、座っている時間が長くなるため姿勢の悪化や肩こりを引き起こすことも。コロナ渦でのテレワークで精神的に息詰まり、心身のバランスを崩して休職になるケースもあります。

4. テレワークの課題に対する解決策

テレワーク時の課題を説明していきましたが、適切な対策を取ることで直接的な課題解決や解決の促進につながります。

①ICTツールを活用する

テレワークではICTツールを導入することで業務のスムーズな移行ができます。ここでは代表的なツールの紹介をしていきます。

(1)コミュニケーションツール

オンライン上でのコミュニケーションツールはテレワーク時には必須です。

代表的なツールとしては、以下が挙げられます。

  • 社内用のビジネスチャットツール
  • ビデオ通話が可能なWeb会議ツール
  • 営業で利用するWeb商談ツール

これらを利用することで、対面での会話が少ないテレワークでも、コミュニケーションの質や量の低下を防止できます。また余計なコミュニケーションが減ることで、仕事が中断されにくくなり、業務効率が上がることも期待できます。

(2)クラウドシステム

上記のコミュニケーションツールの他、業務の推進に必要なクラウドシステムが幅広くあります。代表的なツールとしては、以下が挙げられます。

勤怠管理やタスク管理に関するもの
  • メンバーのスケジュール管理ツール
  • 進捗共有ができるタスク管理ツール
  • 勤怠管理システム
  • SFA(Sales Force Automation)などの営業支援ツール

オフィスで行えていた細かい確認事項なども、ツール上で管理することで、テレワーク中も業務効率を落とすことなく仕事を進められます。

事務や管理業務に関するもの
  • 基幹業務システム(会計・経理・経費精算・ERPなど)
  • 情報共有が可能なオンラインストレージ
  • ペーパーレス化ツール(クラウドストレージや電子契約システム)

バックオフィスのクラウド化やペーパーレス化を進めることで、テレワークでもスムーズな業務が行えるようになります。

その他、電話や支援ツールなども有効です。

  • CTI(コンピューターと電話やFAXの連携)、PBX(構内交換機)のクラウド化

社外でも社内の電話番号を使えるようになれば、自宅での社内電話対応やサテライトオフィスでのコールセンター業務を行うこと可能になります。

電話機をクラウド化する際に重要なポイントをまとめた、下記のホワイトペーパーもぜひ参考にしてください。

(3)セキュリティ関連

社外での仕事で増加するセキュリティリスクへの対策となる代表的なツールを紹介します。

社員が機密情報を個人で所持・利用することを防ぐツール
  • セキュアブラウザ(データ使用後に自動的に削除されるツール)
  • セキュアコンテナ(私物デバイスでも業務ソフトへの暗号化アクセス可能)

個人用PCで業務を行う場合でもデータが残らず、安全なアクセスが可能となります。

外部への情報漏えい防止に関するもの
  • パスコードロックをしたUSBデバイス
  • アクセス管理や通信の暗号化
  • 会社支給のWi-Fiルーター
  • VPN回線の使用

ネットワークの不正アクセスや、デバイスの紛失・盗難対策をすることで情報漏えいリスクを下げられます。

また、前途したクラウドを企業が導入することで、従業員が勝手にクラウドサービスを使う「シャドーIT」の抑制にも繋がります。

②業務フローや評価制度の見直し、意識改革

テレワークの導入時にはツールの導入と平行して、これまでのオフィス勤務を前提としたシステムの見直しや、仕組みを浸透させるための意識改革を行う必要があります。

業務の指示を口頭ですることが多いのであれば、チャットやツールにメモやログを残すことや、仕事の成果と稼働した時間を日報に反映させて、業務の生産性を計測するなどのルールを設けることが重要です。

業務プロセスを可視化することや、チャットでの報告頻度やその内容などから、たとえ直接合わずとも勤務態度を多角的に評価しやすくなります。

また、制度やルールをトップダウンで決めるだけではうまくワークしないことも多くあります。「テレワークに向けてこれまでの働き方を見直すことが重要である」という共通意識を醸成していくことが必要です。研修やセミナーの開催などで啓もう活動を行いましょう。

③テレワーク導入手当・補助金

テレワーク導入時に、在宅などでの業務環境を個人負担で整えることが困難な場合は、テレワーク導入後に削減が見込めるオフィス賃料や通勤手当の代わりに、新しい手当を支給することも検討しましょう。

自宅での高速ネットワーク環境の構築費、デスク・椅子・モニターなどの作業環境に関する機材費などが支給されれば個人の負担が軽減されます。
また、中小企業に向けたテレワーク導入の補助金も積極的に活用しましょう。

5. まとめ

本記事では、テレワークの課題について具体的なデータを交えながら紹介しました。

急激に浸透したテレワークは、どの企業もまだ手探りという状況です。とはいうものの、解決すべき課題も明確になりつつあります。

感染対策や、生産性向上、働き方改革などメリットも多いテレワーク。しっかりと対策を行い、導入効果を最大化しましょう。テレワークを導入するために気をつけるべきポイントなどをまとめたホワイトペーパーもご用意していますので、ご覧になってください。

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