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2016.09.05 (Mon)

もっと税金を知ろう!(第4回)

税金なのにインセンティブあり?「予定納税」の秘密

posted by 株式会社アークコミュニケーションズ

 前年に多くの収益を計上すると、当年は「予定納税」という、事前に税金を支払う必要が出てきます。

 納付のための作業は手間ではありますがが、予定納税は納税者に負担を強いているだけではなく、ちょっとしたインセンティブがあったりします。

 今回は予定納税の、還付を受けるときに得られる「加算金」について案内します。

そもそも予定納税とはどんな制度なのか?

 予定納税とは、前年の申告納税額に基づいて割り出した「予定納税基準額」が15万円以上になる場合に、当年の所得税を事前に分割して納付する制度です。簡単にいえば、「去年多くの収益を得た場合、その税金は早めに税金を納めなさい」ということになります。

 予定納税は2回に分けて納税します。第1期分は、予定納税基準額の3分の1を7月1日から7月31日までのあいだに納めます。続いて第2期分を、11月1日から11月30日までに納めることになります(納税額は第1期と同額)。

 なぜ予定納税という制度があるかというと、たとえば個人事業者の場合は、確定申告をしてから納税するので、収入があった時期と、納税の時期が1年ずれます。その時間差を埋めて、税金を早めに確保するのがこの制度の主旨です。

 もう少しわかりやすい例を挙げて考えてみましょう。仮にあなたが小説を書いて大ヒットし、突然多額の印税が舞い込んできたとしましょう。その年の収入は激増しますが、次の小説がヒットする保証はないため、来年の収入についてはまったくわかりません。すると稼いだ時期の税金を、収入が少ないときに払わなければならず、へたをしたら税金の滞納という事態におちいる可能性も出てきます。税金を徴収する税務当局としては困った話です。

 そんなとき、予定納税という制度があれば、税務当局は徴収の機会を失うことがなくなる、というわけです。

予定納税にインセンティブが用意されている理由

 とはいえ予定納税は、本来翌年払うべき税金を国民にわざわざ前払いしてもらう制度なので、国は支払いを促進するためのインセンティブを用意しています。それが「還付加算金」です。

 これは予定納税で納めた額が多すぎて還付がある場合に、還付金に利息を付ける仕組みです。割合は、前年11月30日の公定歩合を加味した式で計算されます(上限7.3%)。2015年は1.8%でした。

 以前は「4%」と、現在の2倍以上の数値だった時もありましたが、それでもマイナス金利までありえる今のご時勢を考えると、それでも非常に高い金利です。銀行にお金を預けるよりも、税務署に持っていてもらったほうが、はるかにお得という考え方もできるでしょう。

 納税は義務ですから、有無をいわさず事前徴収をするという選択肢もあるはずのですが、きちんと見返りを用意しているというのは面白い話です。しかし、税務当局側からしてみると、単に納税者へのサービスでやっているわけでもなさそうです。

 実は予定納税には「減額申請」という方法もあります(詳細は後述)。これを利用すれば、税金の前払いは必要なくなります。しかし、あえて還付加算金という見返りを用意することで、納税者が積極的に税金の前払いをするよう促しているようにも見えます。つまり、サービスというよりも、より現実的な側面の強い制度といえるでしょう。法制度のゲーム理論的な部分が垣間見られて興味深いところです。

予定納税を減額する方法

 予定納税が必要であると税務当局が判断した場合、税務署から通知が届きます。基本的には従わなければならず、もし期日までに納付しなかったら、追加で延滞税がかかってきます。「予定」だからといって、遅れてはいけません。

 とはいえ、前年はたまたま好調な成績だったけれど、すでに数年前から廃業や休業の準備を進めていただとか、突然の災害による業績不振などが原因で、明らかに昨年度分の納税額よりも今年度分の納税額が少なくなりそうな場合は、予定納税の減額申請ができます。

 減額申請の提出期間は決まっており、7月の第1期分の減額申請がしたければ、その年の7月1日から15日のあいだに、11月の第2期分の減額申請がしたければ、その年の11月1日から11月15日のあいだに、それぞれ税務署へ減額申請書を出すことになります。

 手順としては国税庁のホームページから減額申請書を入手し、上半期の所得税額と各種控除額を計算して記入します。わからない点が出てきたら、税務署に相談してみるのがいいでしょう。

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