顧客満足度調査が一般的になり、小さな飲食店にも「接客に満足しましたか?」と書かれた調査票が置かれていることがあります。
ですが、中には漠然とした質問ばかりが並んでいる調査もあります。顧客の本質が引き出せるような設問を用意することが何よりも重要になります。
今回は、意義のある顧客満足の調査方法について紹介します。
「気になるが口頭で言うほどではない」レベルの問題が集められる
そもそも顧客満足度調査は、顧客が本当に求めている商品やサービスを知るためのマーケティング調査です。提供したものに満足しているのか、あるいは不満があるのかをアンケートで調べます。
もちろんアンケートに耳が痛いことが書かれていることもありますが、必要以上にショックを受ける必要はありません。それは、むしろそれは改善のチャンスとしてポジティブに捉えましょう。「ちょっと気になるけれど、口頭で文句をいうほどではない」という顧客の生の声を集められる可能性があります。
顧客満足度調査は、短期的な利益に直接つながらないため、「やらないよりはやったほうがいい」程度にしか思っていない人もいるかもしれませんが、しかしビジネスを長く続けるには、高い顧客満足が必要不可欠。顧客の本当のニーズをつかんで、経営に生かすという目的をしっかり設定すれば、その必要性を全社で共有でき、意義ある調査にできるでしょう。
総合的な顧客満足度が高ければ、細かい改善は不要?
顧客満足度調査でよくある質問のひとつが、「不満」「やや不満」「普通」「やや満足」「満足」といった5段階評価で調べる調査です。ここで得られた回答を集計・分析したのち、サービスの向上や、リピーターの確保に役立てます。
特に低い項目が見付かったら、そこを重点的に改善するのが正攻法ですが、複数の改善すべき点が見付かった場合は、すべて同時に力をつぎ込むよりも、改善に取り組む優先順位を決めたほうが効果的です。この優先度は、店によってまちまちです。たとえば飲食店の顧客満足度調査で「料理の味」と「店の清潔感」の評価が低い場合、通常であればメインである「料理の味」をまず解決すべきですが、「女性客を獲得したい」というのであれば、清潔感から改善することが正しい場合もあります。
優先順位は、顧客がどの部分を重要と考えるかという「ファーストプライオリティ」から付けることも可能です。たとえば、顧客の総合満足度が高いにもかかわらず、ある項目の点数が低い場合、顧客はその低い項目をあまり重要ではないと考えている可能性があります。
そのスタッフにまかせて本当に改善できるのか?
せっかくの顧客満足度調査を効果のあるものにするためには、「誰に」「なにを」「どのように聞くのか」をしっかり考えなければなりません。
たとえば質問項目が何十個もある調査の場合、すべてに回答する顧客は少ないでしょう。不特定多数の顧客に聞くのであれば項目数を絞らないと、よほどのインセンティブがない限り、きちんと回答してくれません。質問は漠然としたものではなく、「家族に当店を紹介したいと思いますか?」など、本音を引き出す内容を練りましょう。
集計後に改善の取り組みとして社内へフィードバックする場合にも、いくつか気を付けるべきポイントがあります。第一に、課題改善を実行できるスタッフを確保すること。特に、部署を横断して改善するのであれば、役職者クラスでないと権限が及ばないケースも十分にありえます。
第二に、社員全員に顧客満足向上の意義をしっかりと伝えること。本気で改善に取り組むためには、現場に立つスタッフやそれを支える裏方のメンバー全員が意識を共有する必要があります。
顧客満足度調査と顧客満足向上の取り組みは、正しい方法で行えば大きな効果が期待できます。太くて長いビジネスをするためにも、実施を検討してはいかがでしょうか。
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