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2024.03.29 (Fri)

生き残る大学となるために(第7回)

DX人材育成のカギは、産学官での「DX研修」

 世の中でのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の機運が高まる一方で、DXを推進する人材やスキルの不足が課題となっています。教育機関である大学においても、そういった人材をいかに育成するかは重要なテーマですが、DX人材の育成には知識やリソースが必要なため、容易ではありません。ではどうすればよいのでしょうか?キーワードは「産学官連携」です。企業や自治体の事例から紹介します。

DX推進の最大の課題は「人材・スキル不足」

 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が実施している「企業IT動向調査報告書」の2023年度版によれば、企業がDXを推進する際の課題は「人材・スキル不足」が48.3%で、続く「DX推進体制が不明確(15.2%)」や「戦略の不足(14.7%)」と比べて圧倒的に高い割合となっています。

 こうした現状を背景に、企業や自治体では教育プログラムなどを活用して内部人材をDX人材に育成する動きが進んでいます。一方で「どのような人材に育てたらよいかわからない」「人材育成のためのリソースがない」「人材育成の必要性が理解されていない」といった課題があり、DX人材の育成は容易ではありません。

組織的なDX研修で従業員のスキルを底上げする

 こうした課題を解決する手段の一つとして、「DX研修」の活用が挙げられます。DX研修とは、デジタル技術一般やDX推進のために持つべきマインドセット、データ分析手法などのスキルを身に付けるための研修です。DXの浸透とともに現場で求められるスキルレベルが上昇する中、そのギャップを埋めるためには研修によるスキル獲得が近道となります。

 先進的な取り組みを進めている企業では、DX人材の育成目標を立案した上で、目標に向けたDX研修を計画しています。たとえばエネルギー業界のA社では、自社のデジタル戦略の中で「全社員がデジタルリテラシーを獲得する」「高度デジタル人材を1,500名育成する」という目標を掲げ、4段階のレベルに分けて基礎研修・実践的研修などを実施しています。

 このようにDX人材の育成では、「全職員が一定のデジタルスキルを習得する」「DX推進のコアとなる人材にはより高度なスキルの習得を目指す」といった計画を立て、計画に基づいた研修を実施して目標の達成を目指すことが重要です。

外部の専門業者を活用したDX研修も

 自治体向けのDX研修サービスでは、例えば総務省自治大学校による「ICT人材育成特別研修」や市町村職員中央研修所による研修、全国地域情報化推進協会による「自治体CIO育成研修」など、DX推進のコアとなるリーダー層を育成する研修があります。また、民間企業による自治体職員向けDX研修サービスの提供も増えています。オンライン型であれば時間や場所を問わずに学習できるため、多くの企業にとって活用しやすいといえるでしょう。

産学官連携のDX研修

 いわゆる「産学官連携」として、民間企業と大学などの教育・研究機関、政府や地方公共団体が一体でDX研修を進める取り組みも始まっています。

 たとえばNTT東日本とNTT DXパートナーは、新潟大学、新潟県佐渡市と協力して、学生のエンパワーメントと佐渡市の地域課題解決を両立する佐渡イノベーションプログラムを実施しました。同プログラムでは、学生が主体となって佐渡市が抱える地域課題の解決に向けた企画を立案し、企業のサポートを得て実践。地域の企業や住民と交流しながら、企画の実践を通した学生の自己発見という内容も盛り込まれています。

報道発表:https://www.ntt-east.co.jp/niigata/news/pdf/20240122.pdf

 経済産業省およびIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が主導する「マナビDX」では、経済産業省の審査基準を満たした民間企業によるDX研修が多数紹介されています。マナビDXのコンテンツの一つである「マナビDX Quest」では、地域の中小企業との協働によるデジタル技術を活用した地域企業協働プログラムが提供されています。2022年度は受講生2,134名、協働した中小企業88社が参加しています。

参考:https://dxq.manabi-dx.ipa.go.jp/

 他にも、NTT東日本は、ドルトン東京学園中等部・高等部との共同の取り組みとして、ドルトン東京学園内に入店から商品選択、決済までをスマートフォンで完結するスマートストアを学校売店として導入し、生徒自らが運営できる環境を整備しました。これにより、より実践的な環境で、購買データを分析・活用した店舗運営の改善活動を行うなど、ICTを活用した探究的な教育機会を創出します。このような取り組みを通して、NTT東日本は多様なステークホルダーと連携した地域の価値創造や新たな教育モデルの創出、魅力的な地域づくりへの貢献をめざしています。

報道発表:https://www.ntt-east.co.jp/release/detail/20221020_01.html

 このようにAIを活用してレジなしで決済を完了する次世代無人店舗「スマートストア」での購買体験などの地域課題の解決に向けたソリューションを体感できる場所としてNTT東日本の「NTTe-City Labo」があります。「NTTe-City Labo」では、一次産業、観光、防災、医療など幅広い領域におけるDX推進に役立つソリューションを実証・体感できます。

デジタルスキルの「見える化」で具体的な目標設定が可能に

 経済産業省やIPAが旗振り役となるデジタル人材育成の取り組みも進んでいます。デジタルスキル標準の策定によるデジタルスキルや能力の見える化はその一つです。DX人材に求めるスキルセットが明確化されていない企業では、デジタルスキル標準は一つの目安になるでしょう。

 情報処理技術者試験によるITリテラシーの向上や、専門IT人材の知識・技能の客観的な評価の取り組みも、企業におけるベンチマークとなります。たとえば「基礎的なデジタルスキルの習得を目指し、全従業員がITパスポート試験の合格を目指す」といった目標設定にも活用できます。

DX人材育成では外部の専門家が頼りになる

 DX人材やスキルの不足がDX推進の足かせになっている現状を考えると、企業や自治体の内部だけでDX研修を進めることには限界があります。「どのような人材に育てたらよいかわからない」「人材育成のためのリソースがない」「人材育成の必要性が理解されていない」といった課題を克服するには、外部の専門家を活用したDX研修の実施を検討すべきでしょう。

 すでにDXの取り組みで成果を挙げはじめている企業や自治体があります。後れを取らないためにも、できるだけ早くDX人材育成のための仕組みを整えなければなりません。外部の専門家を活用して業務環境を整備し、DX推進を後押ししていきましょう。

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