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2024.03.29 (Fri)

生き残る大学となるために(第8回)

AIは大学IRをどう変える?メリットや事例を紹介

 大学IR(Institutional Research)とは、学内のデータを収集して分析し、学内の意志決定や改善活動に活用していくアプローチを指します。データを活用した大学運営は効果的である一方、データの収集・蓄積・分析やファクトブックとしての取りまとめを行うIR室およびIR担当者に対する負荷が大きく、取り組みを進める際の課題となっています。

 そこで検討したいのが、大学IRにAIを活用する「AIを活用した大学IR支援ソリューション」の導入です。この記事では、大学IRの現状と課題やAIを活用するメリット、事例を紹介します。

大学IRの現状と課題

 少子化による18歳人口の減少をはじめ、大学を取り巻く環境は厳しく、難しいかじ取りを迫られています。このような中、学内にある大量のデータを正確に把握し、大学の経営・教育・研究に活用していくIRというアプローチは有効な武器となりえます。当初、すべての大学に受け入れられたわけではないIRですが、近年では積極的な取り組みを行う大学が増えつつあります。

 一方で、大学IRの推進には「データを収集するためのデータベースや可視化ツールが十分に整備されていない」「データ分析を行うための専門人材が不足している」「他の業務が忙しく、データ分析に十分な時間を割けない」といった課題があります。

「AIを活用した大学IR支援ソリューション」という選択肢

 データの分析には高いスキルが求められ、データの加工・集計には時間もかかります。IR活動を通じて大量のデータを収集しているものの、集めたデータを分析し、経営に活かせている大学ばかりではありません。また、データの分析はできているものの、大学経営や教育への提言・改善まで実施する余裕がない大学も少なくありません。

 このような課題を抱える大学が検討したいのが「AIを活用した大学IR支援ソリューション」です。NTT東日本では、段階に合わせた以下の5つのメニューとAI解析にて支援が可能です。

①可視化ツール導入支援
 ツール導入する初期段階から支援します。

②可視化ツール活用支援
 ツールは導入しているものの活用ができていないお客様を支援します。

③可視化・分析代行
 お客様のデータを預かり、約60の主要可視化と大学様独自要望に即した可視化・分析作業を代行します。

④IRシステム構築・運用支援
 お客様指定環境に大学IRに特化した可視化システムを構築、運用保守にてサポートします。

⑤大学改革コンサル
 大学IRの目的・目標設定並びにデータに基づく施策検討のコンサルティングを実施します。

https://business.ntt-east.co.jp/service/daigaku_ir/

 また、蓄積された膨大なデータの中から、人の目だけでは見つけられないようなデータの関係性をAIが見出し、さらにモデル化や予測をAIにさせることで大学経営にお役立ていただいています。

AIを大学IRに活用することで 得られるメリット

 AIを大学IRに活用することで、以下のようなメリットが得られると考えられています。

新しい示唆の獲得

 AIを大学IRに活用するメリットは、これまで意識していなかった観点の示唆が得られることです。AIを活用することで、データに基づいた仮設立てや多角的な情報収集ができ、大学経営や教育、研究における視野が広がり、改善活動につなげることができます。

専門家によるデータ分析支援

 AI導入に加えて、データ分析に精通した外部の専門人材に分析を依頼することで、学内ではスキル面・業務負荷面で難しかったデータ分析活動を推進できます。

AIを活用したシステム構築による継続的なデータ分析

 AIモデルを組み込んだデータ分析システムを構築することで、経年での傾向の変化など継続的なデータ分析が可能になります。

AIを大学IRに活用したユースケース・事例

 AIを大学IRに活用したユースケースはさまざまですが、例えば「学務システムなどの過年度データによる退学者予測」などがあります。経営面でも教育面でも避けたい退学者ですが、過去の退学者の履修内容や単位取得状況、アンケート結果などの大学が持っているデータをAIで分析することで、どのような学生が退学しやすいかを分析できます。この結果を基に、退学の可能性が高い学生に対して重点的にアプローチすることができます。

 日本大学三軒茶屋キャンパスは、NTT東日本やNTT DXパートナー、ベネッセi-キャリアと連携して「カリキュラム・授業内容改善の推進」と「今支援を必要としている学生の把握と支援の強化」という2つの観点でAI-IRを活用しています。

 カリキュラム・授業内容改善の推進では、同学の基本理念である「日本大学教育憲章」に定める「8つの包括的能力」の成長を可視化するために、アセスメントにより得られたデータで客観的評価と多角的な分析を実施しています。そして、そこから得られた知見を講義内容の改善や学生支援にフィードバックし、学生支援の質の向上を目指しています。

 また、オンライン授業の一般化に伴い学生のコミュケーション機会が減少する中、一人で悩みを抱えている学生が増加している状況を改善すべく、AIが活用されています。出欠状況や成績、提出物の提出状況などのデータをAI予測モデルにより分析することで、サポートが必要だと思われる学生を可視化して把握し、教職員による面談などの積極的な支援につなげています。

 研究領域では、国立情報学研究所(NII)の事例が参考となります。同事例では、日本の研究者データベースである「researchmap」における各研究者の実績情報を、インターネットその他の情報を基にAIで収集しています。

AIの大学IRへの活用は大学DXの推進においても有効

 近年は「大学DX」として、大学におけるデジタル技術やデータ活用の取り組みが進みつつあります。DXの肝であるデータ活用の推進という観点でも、AIを大学IRに活用するというアプローチは有効です。

 大学におけるDXはさまざまなアプローチが考えられますが、例えば「よりパーソナライズ化された教育」のようにこれまで人的リソース面で難しかった取り組みも、データやAIをはじめとしたデジタル技術で実現に近づくでしょう。大学間の競争が激化する中で、データおよびAIの活用は大学経営における一つの突破口となる可能性があります。

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