2017.09.29 (Fri)

仕事力を落とさない!中高年のためのヘルスケア(第4回)

40代から始まる視力低下、実は老眼ではなく病気かも

posted by 村上 哲也

 老眼をはじめとした目の衰えは40代から始まると、公益社団法人日本眼科医会は説明しています。しかし、以前よりものが見づらくなる原因は、老化(老眼)だけとは限りません。病気の症状ということも考えられるそうです。今回は目の老化である老眼のメカニズムと、視力低下を感じたときに疑うべき目の病気について紹介します。

 目の衰えを自覚する最初の症状といえば、「老眼」です。新聞や雑誌などの細かい字が読みにくい、暗い環境で字が読みにくくなった、近くから遠くといったピント合わせに時間がかかる。このようなものが老眼の症状とされています。

 しかし老眼と思っていた視力低下が、実は白内障、緑内障、網膜静脈閉塞症、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性症などの病気によるものという可能性もあります。前述のような視力低下を自覚した場合は、老眼と自己診断せずに、眼科医での受診を日本眼科医会ではすすめています。

目のメカニズムと老化現象

 老眼=目の老化を説明する前に、目がピントを合わせるメカニズムを紹介します。目の中にはカメラのレンズに相当する水晶体という組織があり、遠くのものにピントがあった状態になっています。その水晶体を目の中に吊り下げている毛様体小帯という繊維があり、それが緩むと水晶体が厚くなり、近くにピントが合うという仕組みです。

 水晶体は加齢によって硬くなるため、毛様体小帯が緩んでも厚みが変化しなくなる、もしくは時間を要するようになるため、近くのものが見づらい、遠近のピント合わせがゆっくりといったことが発生し、それが老眼の原因となっています。

 また近視の人は水晶体が遠くではなく、近くにピントが近くに合った状態です。そのため厚みを変化させる必要が少ないため、水晶体が固くなることによる老眼を自覚しにくい場合があるそうです。

 近年は老眼の矯正方法として手術もありますが、日本眼科医会では老眼鏡もしくは遠近両用コンタクレンスによる矯正をすすめているそうです。老眼鏡を使わないでいると、眼精疲労が重なって、目や頭が重い、頭痛、肩こり、食欲不振などの体調不良を起こす可能性もあります。生活スタイルによって老眼鏡はタイプが異なるので、眼科医に相談して適した老眼鏡の処方をしてもらいましょう。

加齢による目の4大病の原因と症状

 老化現象である老眼に加え、加齢による病気があります。東邦大学医学部の竹内忍客員教授は、加齢に伴う目の病気として、白内障、緑内障、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性症をあげています。先天性を除き、これらの病気の主な原因は、加齢による目の細胞や血管の劣化と竹内氏は言っています。それぞれの原因と症状を紹介しましょう。

 白内障は、加齢により水晶体が濁ることが原因です。症状は、見え方がかすむ・二重になる、眩しいといったものになります。目の奥などに他の病気がなければ、手術によって回復することが可能とされています。

 緑内障の原因は、眼圧(目の中の圧力)上昇などによって視神経が圧迫されるためです。先天性を除き、加齢などで眼圧の調整機能が不全になると圧力が上昇して視神経が圧迫されます。症状は見えている範囲が欠けたり狭くなったりという視野障害が起きます。自覚症状がすぐにはあらわれないので、処置が遅れると失明に至る可能性も。治療では視神経障害を回復させることはできず、進行を止めたり、遅らせることが行われます。

 網膜静脈閉塞症の原因は、ものを見る細胞である網膜につながる静脈の血流が淀んだり、詰まったりするためです。症状は急激な視力低下や突然の視野障害ですが、緑内障などの合併症が起こりやすいといわれています。治療方法は症状によって投薬や注射、手術などと変わります。視力や視野の回復具合は症状の進行によって異なり、高血圧や慢性腎臓病を患っていると発症するリスクが高いそうです。

 加齢黄斑変性症(かれいおうはんへんせい)は、網膜の中心にある黄斑という部分の加齢による萎縮や、網膜の外側にある脈絡膜から異常成長した新生血管などが原因となります。症状は、視野の中心部が歪む、左右の目でものの大きさが違って見える、突然の視力低下、中心部が暗くて見えにくいというもので、失明の可能性も。加齢や食生活の変化、喫煙、紫外線、PC作業などのブルーライトが要因といわれており、高齢者の患者数が増えています。そして加齢黄斑変性症に関しては、有効な治療法が確立していません。そのため喫煙を控える、直射日光や有害な光から目を守る、食生活などによる予防を呼びかけています。

 これらの病気に両眼とも発症する場合もあれば、片眼だけということもあります。左右の視野や視力に差異がないか注意しておきましょう。

目を労るポイントは予防と環境づくり

 竹内氏はいずれの病気も早期発見が、視力を守る鍵としています。また紫外線、LEDによるブルーライトが網膜に当たると、網膜に有害物質が溜まりやすくなると注意しています。

 日本眼科医会では、読書やパソコン利用時などに照明へも気を配るべきとしています。デスクライトだけでは不十分なので、天井からの照明などで部屋全体を明るくした作業環境をすすめています。

 人は周囲の状況を認識する際に、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚といった五感を駆使しています。視覚は五感の約80%を占める感覚といわれています。ビジネス・シーンだけでなく日常生活でも、視覚からの情報は欠かせません。そんな大切な目を労る予防や環境づくりを日ごろから心がけましょう。

※掲載している情報は、記事執筆時点(2017年9月22日)のものです。

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http://www.gankaikai.or.jp/health/
http://www.menokenko.jp/
https://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/eyecare/lecture/lecture03.jsp
http://www.skk-health.net/me/01/01.htm

村上 哲也

村上 哲也

コンサルタント兼ライター。ゼロベースでのコンサルタントには定評があり、担当する顧客とは「戦略」から始め「戦術」まで実行させる本格派。2013年より本業の合間にライター業務も行っており、コンサルタント関係に留まらない幅広い記事の記載を行っている。
http://midorinooka2014.wix.com/business-consulta-jp

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