2017.08.03 (Thu)

仕事力を落とさない!中高年のためのヘルスケア(第2回)

中性脂肪の放置は危険!!自分に合う改善策を知るには

posted by 村上 哲也

 中高年になると、お腹だけが出ている体型の人が多くなります。運動の機会が少ないにも関わらず、食事は脂っぽいものが多く、アルコールも増えているという生活が要因のひとつに挙げられます。このような生活を続けると、血中の中性脂肪値が高くなり、健康診断などで「脂質異常症」と指摘されるかもしれません。

 脂質異常症を治療せずにいると、血管の動脈硬化が早まり、心筋梗塞や脳梗塞などの危険な病気を引き起こすケースがあるといわれています。この脂質異常症について医師の寺本民生氏は、監修した書籍『患者のための最新医学 脂質異常症(コレステロールと中性脂肪)最新の食事療法』で、その治療に繋がる生活習慣の改善法が、人によって変わると説明しています。

死に至るケースも!脂質異常症の恐ろしさ

 人は、食事から身体を維持するための栄養を摂取しています。摂取した栄養は日々消費されていますが、使い切れないと中性脂肪として蓄えられます。中性脂肪が多くなると、血中の中性脂肪値が高くなり「脂質異常症」という症状になるのです。

 脂質異常症と診断されるほど中性脂肪値が高くなると、悪玉コレステロールも増加します。悪玉コレステロールは本来、細胞膜や消化液、ホルモンの原料になるもので、血液により全身に送られています。しかし過剰に作られると行き場を失い、動脈の壁に入り込むようになり、動脈硬化を起こすのです。

 寺本氏は書籍で、健康診断などで中性脂肪値や血中コレステロール値が高いと診断されても、痛みなどの自覚症状がないため、病院で診察を受けずに放置する人が多いと言っています。放置したままでいると動脈硬化が進み、狭心症や脳梗塞などを引き起こして死に至るケースもあるそうです。自覚症状がない症状のため、脂質異常症は「サイレントキラー」とも呼ばれています。

 中性脂肪値やコレステロール値が高いと診断され、食生活や運動などの生活習慣を改めることは脂質異常症の予防として必要なことですが、寺本氏はコレステロールの内容によって改める点が違ってくると説明しています。

原因によって変わる生活習慣の改善点

 寺本氏は脂質異常症と診断される人は、偏った食生活、運動不足、喫煙などの生活習慣が原因という人がほとんどで、遺伝が原因という人は稀だそうです。

 生活習慣による脂質異常症と診断された場合は、まずは血中コレステロールの内容を検査することが不可欠です。コレステロールには前述の悪玉コレステロールと、その悪玉コレステロールを血中から回収する善玉コレステロールの2種類があります。血中コレステロール値が高い原因は、悪玉コレステロールの値が高いのか、善玉コレステロールの値が低いのかを判定します。

 悪玉コレステロール値が高い人の改善点は、食事です。コレステロールや飽和脂肪酸が多い食事である動物性脂肪、卵黄、魚卵、バターやクリームのような乳製品などを摂らないようにしましょう。次にトランス脂肪酸を含むマーガリン、クッキー、ケーキ、インスタント食品なども控えます。また、コレステロールを排出する作用がある食物繊維を含む海藻、豆類、きのこ類などを積極的に食べると良いでしょう。

 善玉コレステロール値の低い人の改善点は、運動不足や肥満の解消です。軽いジョギングをはじめとした有酸素運動を日課として行いましょう。無理なく続けることが望ましいので、最初はウォーキングなどから始めても良いとされています。また喫煙している人は、禁煙にチャレンジしてください。

中性脂肪値が高い時も改善点が違う

 血中コレステロール値は高くなく、中性脂肪値が高い脂質異常症の場合は生活習慣の改善点が変わります。中性脂肪値が高い人は、アルコールや糖質の摂り過ぎが原因という場合がほとんどであると寺本氏は述べています。そのため食事はアルコール、糖分の多い菓子や飲料を控えるとよいでしょう。加えてトランス脂肪酸を含む食事も控えて、代わりに摂取したいのがEPSやDHAが豊富なイワシ、サバなどの青魚。運動も効果的とされていますので、習慣づけて行うと良いそうです。

医師の診断で的確な生活習慣の改善を

 中性脂肪値やコレステロール値が高い場合は、医師の指導による生活改善を行うことが重要なことがわかりました。前述のように脂質異常症となっても、仕事に支障をきたすような症状は自覚されにくいものです。また、食生活を改めることも治療や予防という目標がないと、改善するという意志を持続させることも難しいでしょう。

 しかし仕事に責任を持つビジネスパーソンならば、自身の健康維持と管理も重要な課題の1つ。健康診断などの結果を軽視せずに、自分の健康状態をきちんと向き合っていきましょう。

※掲載している情報は、記事執筆時点(2017年6月17日)のものです。

【参考文献】
寺本民生(監修)『患者のための最新医学 脂質異常症』(コレステロールと中性脂肪)最新の食事療法』高橋書店

村上 哲也

村上 哲也

コンサルタント兼ライター。ゼロベースでのコンサルタントには定評があり、担当する顧客とは「戦略」から始め「戦術」まで実行させる本格派。2013年より本業の合間にライター業務も行っており、コンサルタント関係に留まらない幅広い記事の記載を行っている。
http://midorinooka2014.wix.com/business-consulta-jp

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