2019.01.31 (Thu)
業務効率化のヒント(第3回)
RPAとAIの違いとは?業務効率化のためのRPA活用事例4選
「データ入力などの単純作業を自動化して、業務を効率化させたい」
そう考えている人、大勢いらっしゃるのではないでしょうか?
最近、業務の一部を自動化できるツールとして、RPAやAIというワードを耳にされたことがある人は少なくないかと思います。そこで本記事では、RPA・AIの違いを具体的に説明し、さらにその活用方法についても解説していきます。
業務自動化ツール「RPA」とは?
RPAとは「Robotic Process Automation」の頭文字を取った略語であり、日本語に訳すと「ロボットによる業務自動化」という意味になります。そしてRPAという言葉は、この「ロボットによる業務自動化」そのものと、それを実行するためのソフトウエア、その両方のことを指す場合もありますが、基本的には、バックオフィス業務における自動化のことを意味します。
RPAは基本的に人間が指示したルールにのっとり作業を行いますが、より高度なものになると、大量のデータをAIを使って学習させ、複雑な作業をしっかり処理するものもあります。複雑な作業してもらうことが可能となるため、少子高齢化による人材不足を補う手段としても期待されています。
RPAとAIの違いとは?
同じようなものとして説明されることが多い、RPAとAIですが、実際にはさまざまな違いがあります。ここでは、その違いについて説明します。
AIとは何か?
AIとは、「Artificial Intelligence」の略で、要は人工知能のこと。一般的には、機械に人間と同じような知能を持たせたソフトウエアのことを指します。
そのAIが、「機械学習」によって与えられたデータに基づいて法則を自動化、判断のルールを見つけ出すことで、AIそのものが主体的に判断を行うことができるようになっていくわけです。さらにAIは、多様な機械・システムに組み込むことが可能なほか、データに基づいて判断をするため、司令塔としての機能を果たすこともできます。
RPAとAIの違いについて
RPAとは、一般的に、業務を自動化するシステムそのものを意味します。一方AIは、PRAなどのシステム内に組み込まれ、データに基づいた判断や作業の振り分けを行う機能のことを指します。
RPAは、基本的には人間が設定したルールに従い、忠実に作業を実行するものです。これらはクラス1のRPAと呼ばれますが、さらにクラス2,3と呼ばれる、人間が教えたルールはもちろん、AIを搭載し自律的に判断できる、より高度なRPAも存在します。
クラス | 主な業務範囲 | 具体的な作業範囲や利用技術 |
---|---|---|
クラス1 RPA(Robotic Process Automation) |
定型業務の自動化 |
|
クラス2 EPA(Enhanced Process Automation) |
一部非定型業務の自動化 |
|
クラス3 CA(Cognitive Automation) |
高度な自律化 |
|
- ※
botとの違いは?
botとは、人間の行動や発言などを模倣してユーザーと対話するチャットボット(chatbot)の略称で、メッセージツールを用いてユーザーと会話するサービスなどに利用されています。
ここで、これまでの違いをまとめてみましょう。
RPA |
|
---|---|
AI |
|
bot |
|
AIを搭載したRPAの開発も進んでいる
AIを搭載したRPAの開発とは、具体的に、どのような取り組みがあるのでしょうか?
AIは自らの判断で、その時々の状況に応じた対応ができる一方、RPAは柔軟な対応こそできないものの、安定した結果を出すことは可能です。AIが高度な処理を施しRPAでの単純作業をスムーズなものにする、その単純作業に対してAIが細かな処理を加える...などの方法で、煩雑業務への対策も可能となるわけです。
また、AIにはいくつかの種類があり、目的に応じて使い分けられています。そのため、複数のAIを組み合わせて使用することが必要な場合もあります。例えば、判断要素が多いもの、学習を必要とするもの、ビッグデータを活用するものなど作業の難易度に応じてAIの使い分けがなされています。
RPA×AIの活用事例
以下では、ビジネス現場におけるAI搭載のRPA活用事例を紹介します。
事例1:地方自治体
まずは、地方自治体による導入の事例を紹介します。
導入背景
ある地方自治体ではRPAを普及させるため、紙で管理している書類をデータ化する際に、高い精度で文字認識する必要があると考えており、企業と共にAIを組み込んだOCR「AI-OCR」の検証を行っていました。
- ※AI-OCR:従来のデータ読み取り技術にAIを加えたことで、より精度の高い読み取りを可能にした技術
活用方法
地方公共団体から帳票を集め、それらの帳票をAI-OCRシステムを使って文字の読み取りを行っています。読み取った文字データは、RPAシステムを活用し処理しています。
効果
実用化に向け、読み取りの精度などについて、現在検証中です。また、複数の地方自治体においても、同じような流れで検証が行われているところです。もし実用化された場合、紙ベース故に自動化することが困難だった業務の効率化が期待できます。
事例2:銀行
次は、銀行でのRPAとAIの導入事例を紹介します。
導入背景
公共料金の口座振替ほか、さまざまなサービスを取り扱う銀行では顧客関連の書類の量が膨大で、社内業務の合理化が急務でした。さらに、それらの書類は書式も異なり、必要な情報がどこに書かれているのかについて判断することが難しいこと。また、手書きで記入するため、表記揺れも多いことから、機械による自動化は難しいと考えられていました。
活用方法
手書きの口座振替依頼書を読み取り、入力作業をRPAで処理するようになりました。口座振替依頼書は非定型のため、読み取りや入力を自動化することが難しいのですが、AIとRPAを合わせたシステムを開発したことで、自動化が可能になりました。また、スキャンした書類の画像をAIに読み取らせ、どこに必要な情報が書かれているかも判断してもらうことで、従来難しかった機械化が実現したのです。
効果
このシステムによって、8割程度の業務を削減することができたため、事務作業の効率化に役立っています。
事例3:人材サービス業
ここでは、人材サービス系企業での導入事例を紹介します。
導入背景
数多くの社員との情報共有・コミュニケーションをより円滑にすることを目的に、システムの導入を検討。さらに、マニュアル化されている業務であれば、RPAに任せることができないかとも考えていました。
そして、この目的達成のためには、やはり高度な処理を行うことができるシステムが必要であると考え、AIと連携したRPAを導入しました。
この目的のためには、高度な処理が行えることが必要と考え、AIと連携したRPAを導入しました。
活用方法
人が目視で判断し処理を行うという点を効率化したかったため、社内システムへのログインの自動化を試みました。社内システムに自動的にログインするためには、まずは画像認証が必要でした。それを可能にするAIを開発したことで、社内システム内でRPAを稼働させることができるようにしました。
また、一部外注していた採用業務についても、採用システムへのデータの反映や採用の状況がどのようになっているかのレポートなどを、自動で出せるようにしました。
効果
外注していた作業をRPAに対応させることで、外注費用や社内での人件費などのコストの削減、業務効率化に効果がありました。また、この導入経験を、他社へのRPA・AIの普及に活用することも検討しています。
事例4:情報機器販売業
最後は、情報機器販売会社での事例を紹介します。
導入背景
もともと社内の基幹業務システムとして導入していたERPをうまく活用できておらず、Excelなどを併用した運用がなされていました。この問題に対して、他のERPの導入も検討しましたが、現状の運用の改善までは至らないとの判断から、RPAの導入が検討されました。
活用方法
Webブラウザ外のアプリケーションをRPAで操作できるようにすることで、RPAに適用できる作業が拡大し、PDFの読み取りやメール配信の検証など、多くの作業を自動化しました。 営業・経理・配送部門など、多くのユーザーが連携する業務を自動化することで、全社的な作業工数・コミュニケーションコストの削減を実現できたのです。
営業・経理・配送部門など多くのユーザーが連携する業務を自動化することで、全社的な作業工数・コミュニケーションコストを削減できています。
効果
早急な対応を求められていた業務自動化を実施できたことで、今後さらに活用する部門を広げて、より広範囲での自動化も検討しています。
まとめ
ここまで、RPA とAIの違い、RPA とAIの連携による効果など、その具体例を紹介してきました。単純作業を正確にこなすことが得意なRPAと、複雑な処理が可能なAIを組み合わせることで、現在人が行っている単純作業を含む諸々の業務効率化が見込めるわけです。
ツール導入を含めた改善案検討に際して、本記事が少しでもお役に立てば幸いです。
NTT東日本の提供するOCRサービス「AIよみと~る」について、導入のポイントをまとめた資料をご用意しておりますので、是非ご活用ください。
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