2019.01.31 (Thu)
業務効率化のヒント(第4回)
書類を電子化するメリット・注意点とは?導入前に要確認!
書類を紙で管理すると、その分の保管スペースが取られてしまいますよね。また、過去の書類を探すことも大変です。
そんなお悩みに対して、本記事では電子化することでの解決策、そしてその具体的な方法・メリットについても紹介していきます。
電子化すると、必要な書類を探しやすくなるといった業務の効率化につながるメリットもありますので、参考にしてください。
どのような書類を電子化するべきなのか?
オフィスでは、日々多くの紙を使って業務を進め、膨大な量の資料を事業所内に保管しているかと思います。
また、紙で保管していると、保管場所の確保が大変、都度探すことは手間がかかる......など、多くの問題も発生するでしょう。そのため、書類管理をもっと効率的にするために、昨今、紙書類の電子化が進んでいるわけです。
しかしながら、今ある書類を全て電子化することは、かなり煩雑な作業です。また、後々見ない書類、いわゆる「本当に必要な書類」の割合によっては、電子化しない方がよい場合もあります。
そこでまずは、現場担当者や法務担当と連携し、どの書類を電子化するべきなのかを精査しましょう。
書類電子化のメリット
本項では、電子データで管理・保存することで生まれるメリットについて、詳しく紹介します。
紙の印刷・保管コストを削減できる
紙媒体で書類を管理していると、データを紙にするために、さまざまなコストがかかります。
例えば、用紙・インクなどの物品費、プリンターの維持費がそれにあたりますが、この他にも、書類を格納するためのキャビネット費やキャビネットを置くために十分なオフィスのスペースも必要となってきます。
そこで、書類のデータ化をすると、これらの手間・コストは削減できるようになります。さらに書類の保管に使われているキャビネットなどが不要になるので、その部分の空間が別の目的に使用できるようにもなり、スペースの有効利用も進みます。
書類の検索を効率化できる
さらに書類の電子化によるメリットを挙げると、必要な書類を簡単に検索できることです。
しばらく見返さない資料は専用の保管箱に格納し、普段使うオフィスフロアとは別の倉庫などに保管することが多いはず。そして、何かの都合で過去の資料から調べものをする必要が出たときに、保管場所から目的の書類を見つけ出し必要な情報を探し出すことは、非常に手間と時間がかかる作業ですよね。
だからこそ、電子化することでキーワードなどから素早く情報を探せるようにしておくことが、重要なのです。
書類の劣化・紛失を防げる
紙の書類の場合、経年変化で変色したり、劣化したりすることは免れません。保管状態が良くない場合は、後に文字が読み取りにくくなることもあるでしょう。
また担当者が変わってどこに保管したかわからなくなったり、管理ルールを明確に決めていなかったりすると、ほかの書類の中に紛れて紛失してしまうといったこともよく聞く話です。
書類の電子化で注意すること
書類を電子化することで得ることができるのは、メリットだけではありません。電子化をする上で注意するべきこともありますので、以下で紹介します。
業務のやり方が変わってしまう
電子化するとなると、当然、従来とは業務手順が変わります。紙で管理していたときの手順と異なるため、担当者の業務量の増加や慣れない作業で非効率になることがあるなど、逆に手間がかかるという意見も出るでしょう。
また、新しい手順を覚えたり、慣れたやり方を捨てたりしなければならないため、現場の反発が起こる可能性も考えられます。
紙に比べて見づらくなる場合がある
電子データの弱点は、一覧性の低さです。電子データでの管理は、ピンポイントで特定のキーを基に検索することには長けています。しかし、多数のデータを一面に広げて俯瞰で見て分析するといった使い方には、あまり向いていません。
また、スマートフォンやタブレットの画面は小さいので、多くの情報を得るためには何度も画面をスクロールしなくてはならず、使いづらくなることもあります。情報によっては紙で見た方が分かりやすい、といった場合もあります。
電子化の形式について知っておくべきルール
書類を電子化する際に、遵守しなくてはならない法律があります。そのため、電子化の前には、日本での書類電子化ルールについて知っておきましょう。
e-文書法
e-文書法とは、従来、紙(書面)での保存が義務付けられていた文書に対し、電子データによる保存を可能とする法律です。e-文書法の対象は保存の義務がある全ての書類です。
具体的には、法人税法、商法、証券取引法、会社法などで、紙で原本を保存しなくてはならないと決められている全ての書類が対象となります。また、e-文書法では、電子データは以下の要件に沿って保存する必要があるとしています。
見読性 | 電子化されたデータが、パソコンやタブレット、スマホなどの画面できちんと読めること |
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完全性 | 電子データがミスや故意で消失したり改ざんされたりすることを防ぐために、消去や変更の事実を確認できること |
機密性 | アクセスできる人を特定し、許可されていない人からのアクセスを制限すること |
検索性 | 必要なデータをすぐ検索して引き出せること |
- ※参考:電子帳簿保存法について|国税庁
電子帳簿保存法
電子帳簿保存法とは、「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法などの特例に関する法律」であり、国税関連の書類を電子データで保存することに関する法律です。
電子帳簿保存法で保存を規定する書類は、契約書や請求書、領収書、見積書、注文書など、国税関係の帳簿書類となります。また、電子帳簿保存法でも、以下の要件を守らねばなりません。
真実性の確保 | 解像度200dpi以上、RGB256階調以上の解像度でカラー保存すること、担当者の電子署名があることなど |
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可視性の確保 | 書類がカラーで確認できること、取引年月日、勘定科目など所要項目で検索できることなど |
帳簿・注文書のデータ化については、以下の記事でも解説しているので、もっと知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
書類電子化の手順
ここでは、具体的な書類の電子化手順について説明します。重要なことは、電子化の前に必要な書類を選別すること、電子化以後の運用法についても明確にしてから作業をすることです。
電子化が必要な書類を絞る
まずは、不要な書類を捨てることです。書類の電子化にはコストがかかります。存在する書類の精査を一切行わずに、全て電子化したにもかかわらず、検索・閲覧されることがなかった......ということでは、非常にもったいない話です。
実務担当者にヒアリングし、活用頻度が高い、利用者が多い、リモートでも閲覧したい、素早く閲覧したい、などの要件を満たす書類に絞ると良いでしょう。
データの保管方法を決める
データをどのような形で保管していくのか、今後の運用方法も見据えて事前に決めておきましょう。下記の項目について、詳しく定義しておくことが重要です。
書類のサイズ
オフィスで使用する書類は、A4サイズのものが多いかと思います。原本がA4以外の場合、実寸で取り込むか、多数の書類にそろえるかなど決めておくと良いです。
解像度
解像度が高すぎるとファイルサイズも大きくなりすぎて、かえって扱いづらくなります。大きければキレイであるとも限りません。よって、ちょうどよい解像度を選択するようにしましょう。
また、手書きの文書では、パソコン作成の文書より解像度を高くすると良いでしょう。目安として、一般的な文書では200dpi、細かい文字のある文書や写真などは300~400dpiが適しています。
ファイル形式
ファイル形式をデータの軽いPDFにするか、jpgやpngなどの画像ファイルで保存するかを、決めておきましょう。
ファイル名
ファイル名についても検索しやすいように、統一ルールを決める必要があります。
データのファイルの階層
ファイルデータを保存する際のフォルダ構造についても統一ルールを決定し、また、関係者全体に周知徹底してもらう必要があります。
データベース化
データベースとして検索しやすいように、「契約先」「契約日」などの属性データを入力します。
データをOCR処理するか
OCR処理とは、画像データから文字を抽出してテキストデータにすることです。OCRソフトを使用することでテキスト化が可能になります。
OCRを活用したPDFファイル化については、以下の記事でも解説しているので、もっと知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
スキャンを実施する
書類の保管方法が決まったら、スキャンを実施します。社内リソースがあるなら内製してもよいですし、何かしらの事情で難しいのであれば、専用業者に代行依頼することもできます。
- 書類からホチキスやクリップなどを外す
- カテゴリーごとに仕分ける
- スキャンする
- 事前に決めたファイル形式に変換する
- 必要であればOCR処理をする
- 統一ルールに従い、ファイル名入力とフォルダ作成。ファイルを保存する
- 電子データと元データを精査する
まとめ
事務作業における効率化の流れを受け、書類の電子化が加速しています。本記事では、書類の電子化に向いた書類や、電子化のメリット・デメリット、および書類電子化に深く関わるe-文書法と電子帳簿保存法について解説しました。
NTT東日本の提供するOCRサービス「AIよみと~る」について、導入のポイントをまとめた資料をご用意しておりますので、是非ご活用ください。
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