2025年4月1日利用分より、フレッツ 光ネクスト(一部サービスタイプ)の月額利用料を改定します。詳細はこちら別ウィンドウで開きますをご確認ください。

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2022.01.12 (Wed)

NTT東日本社員が語る、ビジネス成功のヒント(第9回)

テレビが映らない!マンションの受信方法を徹底比較

posted by NTT東日本ビジネス開発本部 石原

 こんにちは。通信会社のNTT東日本でテレビサービスの販売企画を担当している石原です。

 今回は、都内賃貸マンションに住んでいる私自身が最近困った体験と、5年の業務経験をふまえ、マンションでのテレビの受信にお悩みの入居者の方/オーナーさん/管理会社の担当者さんにお伝えしたい情報を記事にしてみたいと思います。

 入居者の方には、テレビの映りが悪くなってしまった時のハウツー記事として、オーナー/管理会社の方には、そんな入居者さんから寄せられるお困りの声への解決策を見つけていただくために、今回の記事をお役立ていただければ幸いです。

 唐突ですが、皆さん、スポーツ中継はお好きですか?

 私はスポーツ観戦が好きで、「4年に一度の某スポーツイベント」も連日忙しくテレビ観戦していたのですが、8月上旬、恐れていたことが起こりました。

 深夜にBSで放送されていたアーティスティックスイミングの録画放送が、悪天候の影響でブロックノイズが入り、15分にわたり完全に途切れていたのです…。

 朝になって録画失敗に気づき、「やってしまった感」で頭がいっぱいになりました…。

 こんな後悔をする人が一人でも減ってほしい。5年間テレビサービスを担当してきた私の知識が、何かのお役に立つのではないか。

 そんな思いで、実感を込めて書き進めてまいります。入居者の方でも、オーナーの方でも、どなたかの参考になれば幸いです。

◇目次
テレビが映らなくなった!映像が乱れた!そんなときどうしたらいい?
集合住宅におけるテレビ受信方法は大きく分けて3種類
【受信方法1】屋上に共同アンテナを設置する
【受信方法2】ケーブルテレビを導入する
【受信方法3】光回線を使ったテレビサービスを導入する
新築物件の場合の注意点・失敗例は?
既築物件の場合の注意点・失敗例は?
2018年12月にスタートした新4K8K衛星放送への対応方法
まとめ

テレビが映らなくなった!映像が乱れた!そんなときどうしたらいい?

 まずは、お困りごとにストレートに応えていきたいと思います!マンションでテレビが急に映らなくなったり映像が乱れてしまったりしたときに、入居者がとるべき行動/オーナーが入居者に伝えるべき対応策は何でしょうか?

 それは、以下の4つです。
(1)同軸ケーブル(アンテナ線)の接続を確認し、つなぎ直す
(2)テレビのチャンネル設定をやり直す
(3)マンションの管理会社に連絡する
(4)根本的な対策についての情報を集める

 このあと、一つずつ説明していきますね。

 ところで、「テレビの映像が乱れる」といえば、砂嵐のイメージが強いかもしれません。しかし、2011年に地上アナログ放送から地上デジタル放送に切り替わり(「地デジ化」ですね)、「テレビの映像が乱れる」と言ったら、砂嵐からブロックノイズ(映像の一部がブロック状のモザイクになること)に変化しました。ブロックノイズの状態から更に状況が悪化すると画面は真っ暗になり、ここまで来ると「E202」などのエラーメッセージが表示されるようになります。

 ちなみに「E202」のエラーコードはメーカー共通の番号なので、ここでご紹介する対処方法は、どのメーカーのテレビにも使えます。近い番号で「E201」「E203」というエラーコードもありますが、対処方法は同じなので、今回はお困りの方が多いと思われる「E202」エラーについてご説明します。

 「E202」エラーは、衛星や電波塔から届くテレビ放送の信号が悪天候によるアンテナの不調や、自宅内のケーブルの破損など、何らかの原因で受信できなくなってしまった状態のときに表示されます。

 戸建てにお住まいの場合は、風などの影響で傾いてしまったアンテナの向きを調整する、といった対処方法もありますが、アンテナがマンションの屋上にある場合は無理ですよね…。

 マンションにお住まいの場合に自分で試せる対処方法にはどんなものがあるのでしょうか?

(1)同軸ケーブル(アンテナ線)の接続を確認し、つなぎ直す

 急に映りが悪くなったと感じたときに、まず確認していただきたいのがケーブルの接続です。マンションの壁面にあるテレビ端子と、テレビ(またはレコーダー)の間をつないでいる、丸い口で中心に金属の芯があるケーブルが、同軸ケーブル(アンテナ線)です。

 お掃除や模様替えのときに、うっかりケーブルに触ってしまったことで、抜けたり、ゆるんだり、中央の金属の芯(芯線)が折れてしまったりすると、接触不良でエラーが出ることがあります。まずはケーブルの抜けやゆるみを確認し、まっすぐ固く挿し込んでつなぎ直してみてください。それでもうまく映らない場合は、ケーブルを入れ替えたり、ケーブルの接続先を変えてみたりするとよいでしょう。

 地上波とBSなど2本以上のケーブルを利用している方は、それぞれのケーブルを入れ替えてみてください。元々は地デジが映らなかったのが、ケーブルを入れ替えてBSが映らなくなったのであれば、そのケーブルに問題があると考えられます。

 また、テレビの手前にレコーダーを接続している方は、一度レコーダーからケーブルを外して、壁のテレビ端子からテレビに直接ケーブルをつないでみるのもよいでしょう。それで映りが改善するなら、外したケーブルやレコーダーに問題があるかもしれません。

 複数のテレビ・レコーダー等をつなぐために使用している、分配器・分波器・分岐器などの部材の接続(抜け・ゆるみ)も忘れず確認してくださいね。

(2)テレビのチャンネル設定をやり直す

 次の方法は、「急に」映りが悪くなった時にはあまり有効ではないかもしれませんが、ケーブルなど新たに用意するものもなく、簡単な方法なので、試してみましょう。

 テレビを新しく買ったときや、引越し先で再設定を行ったときに、地デジとBSのチャンネル設定(チャンネルスキャン)を行ったのを覚えていませんか?

 具体的な操作手順はテレビのメーカー・機種により様々ですが、「ホーム」「設定」「メニュー」などのリモコンボタンを押し、テレビ画面上の表示に従って進むと、チャンネル設定⇒初期スキャンを再度実施することができます。チャンネル設定に問題があった場合、この操作を行うことで、受信可能なチャンネルを自動で設定し直すことができ、テレビの映りがよくなる可能性があります。

 なお、地デジとBS/CSのチャンネル設定(チャンネルスキャン)は別々に実施する必要があるので、混同しないように気を付けましょう。

(3)マンションの管理会社に連絡する

 ここまで来ると「自分で試せる対処方法」ではありませんが、マンションの管理会社に連絡し、問題が起きているのが自分の部屋だけなのか、マンション全体の問題なのか確認するのも一つの手です。

 同じマンションに住んでいる人に、テレビの映りが悪くないか聞ければいいですが、普段からお付き合いがない場合には聞きづらいですよね。

 テレビの映りが悪くなったときに、それぞれの入居者が管理会社に声を伝えていないと、それが自力で解決するべき自分の部屋固有の問題なのか、マンションのアンテナ自体に問題が起きて入居者全員に関係する問題なのかわからず、解決まで時間を要してしまった、なんていうことも考えられます。

 気が引けてしまう気持ちもありますが、自分でできる対処方法を試しても解決しない場合には、管理会社に連絡してみることが必要かもしれませんね。

(4)根本的な対策についての情報を集める

 ケーブルの配線やチャンネル設定をやり直して、管理会社に確認した結果、悪天候が原因で、マンション全体でテレビの受信が不安定になっていることがわかったら…

 今すぐ問題が解消するわけではありませんが、将来同じ事態に遭遇しなくて済むように、根本的な対策について情報を集めておくのはいかがでしょうか?

 夕立レベルではないゲリラ豪雨も年々増えているように感じます。私自身は引っ越ししてから1年半の間に10回弱、受信不良に見舞われています。

 そこで、ここからは、悪天候など周囲の電波状況に影響を受けにくいテレビの受信方法についてもご紹介していきます。

集合住宅におけるテレビ受信方法は大きく分けて3種類

 さて、テレビの受信不具合を自力で解決できなかったときは「管理会社に連絡しましょう」という身も蓋もない結論になりましたが、自分のマンションについて以下の3点を知っておくことは、きっと無駄にはなりません。
・どんな方法でテレビを受信しているのか
・悪天候などの影響を受けやすいのか、受けにくいのか
・悪天候などの影響を受けにくくするためにはどんな方法があるのか

 入居者の方は管理会社に「こうしてほしい」「こんな方法もあるらしい」と伝えることができたり、あるいはご自身が分譲マンションの管理組合に加入している場合には「いずれ改修のタイミングが来たらこの受信方法に切り替えたい」と発案することができたり、どこかでお役立ていただける知識になるのではと思います。

 ここからは、私がテレビサービス担当として培ってきた知識をフル動員して、できるだけわかりやすく、集合住宅におけるテレビの受信方法について解説していきます。

 集合住宅におけるテレビの受信方法は、大きく分けて3種類あります。

1.共同アンテナ(一番イメージしやすい)
2.ケーブルテレビ(気づかないけれど多くの物件に導入されている)
3.光回線(こんな方法もあります)

 こちらの3種類です!衛星や電波塔から届くテレビ放送の信号を、どこで受信して、どうやって各部屋まで届けるかが異なり、それぞれメリット/デメリットがあります

 それでは、3種類の受信方法について詳しくご紹介していきましょう!

【受信方法1】共同アンテナ

 1つ目のテレビ受信方法は、マンションの屋上に共同アンテナを設置する方法です。恐らく一番ポピュラーで、イメージしやすい方法かと思いますが、皆さんのマンションはいかがでしょうか?

 自分のマンションが共同アンテナでテレビを受信しているのかどうか簡単に見分ける方法は、ズバリ…「屋上にアンテナが立っているか確認する」です。

 でも、近くで見上げても屋上が見えず、周りに自分のマンションの外観を確認できるような場所が無い場合など、屋上の様子がうまく確認できないこともあります。(私もそうでした。)そうした場合には、管理会社や不動産屋に確認してみましょう。

(1)共同アンテナとは

 「共同」アンテナというのは、マンションなどの集合住宅の屋上に設置された、マンション全体で地デジやBSを受信するためのアンテナです。(各部屋のベランダなどに設置されたパラボラアンテナは、その部屋だけでBS/CSの専門チャンネル放送を受信するためのアンテナです。)

 屋上のアンテナで受信したテレビ放送の信号は、共用部に設置されたブースター(増幅器)で電波を強くしてから、分配器で複数に分けられ、同軸ケーブルで各部屋に送信されていきます。(縦系の配線は同軸ケーブル)

 各戸には、壁に同軸ケーブル(アンテナ線)を挿し込むためのテレビ端子があり、アンテナからテレビまで、すべてテレビ専用のケーブルで配線していきます。

(2)共同アンテナのメリット

 共同アンテナのメリットは、なんといっても、サービスを利用するための月額利用料など、ランニングコストがかからないということです。

 戸建て住宅でも同様ですが、一度アンテナを立ててしまえば月々の支払いは発生しません。シンプルでわかりやすいメリットですね。

(3)共同アンテナのデメリット

 それでは、デメリットは何でしょうか? ここまでの話の流れでお気づきの方もいらっしゃるかとは思いますが、やはり、悪天候など周囲の電波状況に影響を受けやすいことです。

 雷を伴うようなゲリラ豪雨、台風、雪などの気象条件のほか、電波を遮るような高層ビル、高圧線、鉄道の高架、時にはアマチュア無線の電波など、マンション周辺のさまざまな外部環境に影響されてテレビの映像が乱れることがあります。

 また、台風などの強風でアンテナの向きが変わってしまった場合にも、決まった方角から飛んでくる信号をうまく受信できなくなり、映像が映らなくなることがあります。

 向きが変わったり、倒れたりしたアンテナを、自分で修理するのは難しいですよね。修理の際には専門のアンテナ工事会社に作業してもらうためメンテナンスコストもかかります。

 入居者の皆さんにとっては負担感を覚える場面は少ないかもしれませんが、オーナーさんや管理会社の方にとっては何かあったときに突発的に発生するコストは負担感が大きいものです。

【受信方法2】ケーブルテレビ

 次に、2つ目の受信方法、ケーブルテレビについて見ていきましょう。今の仕事を始めるまで知りませんでしたが、私の実家はケーブルテレビで受信していました。

 自分のマンションがケーブルテレビでテレビを受信しているのかどうか簡単に見分けるポイントは、「民放キー局以外のローカルなコミュニティチャンネルが見られるかどうか」です。

 コミュニティチャンネルとは、地上波―カル局や独立U局よりもさらにローカルな、地域のお祭りの情報や、小学校の運動会の模様を放送しているチャンネルのことです。

 普段何気なくザッピングしていて、ちらっと見たことはありませんか? もし見た記憶があれば、恐らくお住まいのマンションはケーブルテレビで放送を受信しています。

 ケーブルテレビを導入しているかどうかを確認するには、住宅情報サイトに「CATV」(ケーブルテレビのことです)のアイコンがあるか確認したり、管理会社や不動産屋に聞いたりしてもよいでしょう。

(1) ケーブルテレビとは

 ケーブルテレビとは、ケーブルテレビ局の受信拠点で受信したテレビ放送の信号を、その名のとおりケーブル(同軸ケーブルまたは光ファイバーケーブル)を用いて各家庭に送信して提供されているテレビサービスです。

 ケーブルテレビ局の受信拠点には業務用のアンテナが設置されており、そこから各家庭やマンションに信号が送信されるため、マンションにはアンテナを設置する必要がありません。(地デジだけケーブルテレビで受信して、BS/CSは共同アンテナで受信するケースなど例外はあります。)

 マンション近くの電柱から引込み線・保安器を通して建物にケーブルを引き込み、アンテナの場合と同様に共用部のブースターで信号を増幅してから、分配器で複数に分け、同軸ケーブルで各部屋に送信していきます。(縦系の配線は同軸ケーブル)

(2)ケーブルテレビのメリット

 ケーブルテレビのメリットは、第一に、悪天候など周囲の電波状況に影響を受けにくく、安定して受信できることです。

 ケーブルテレビ局の受信拠点に設置されたアンテナは、各家庭やマンションごとに設置するアンテナと比べて強度のある業務用のものです。

 そこから先はケーブル内を信号が通るので、気象条件や周囲の環境に影響されず、クリアな信号を受け取ることができます。台風が近づいているときなど、タイムリーな情報が欲しいときに、安定してテレビが視聴できるのは安心ですよね。

 さらに、ケーブルテレビでは地デジBSだけでなく、多彩なチャンネルを観られるのもメリットです。ケーブルテレビ局では多くの場合、専門チャンネルを提供しており、オプションとして契約できるのです。例えば、BS/CSでスポーツ・映画・アニメ・海外ドラマ等を楽しめますよ。

 小さなお子さんがいるご家庭では、先ほどご紹介したコミュニティチャンネルの地域のイベント(お祭り・運動会・入学式など)の放送を楽しみにされている方もいるそうです。

(3)ケーブルテレビのデメリット

 ケーブルテレビのデメリットについても見てみましょう。ケーブルテレビサービスは、基本的にケーブルテレビ局が月々・年あたりの利用料金をもとに提供しているサービスなので、ランニングコストがかかります。

 月額利用料は共益費や管理費に組み込まれているケースも多いので、入居者の方が具体的に意識されたことはあまりないかもしれません。

 また、映像信号の伝送方式によっては、BS/CSの映像品質が落ちてしまうことがあります。1本の同軸ケーブルで送信できる信号の幅(伝送帯域)には限度があるため、たくさんのチャンネルを流す代わりに画質を落とさなければいけない場合があるそうです。(多くの場合、地デジのチャンネルには影響ありません。)

 なお、ケーブルテレビ局は、同じケーブルを用いて、テレビサービスだけでなく、インターネットサービスを提供していることが多いのですが、光ファイバーケーブルが用いられているのはマンションの入り口までのため、戸建て住宅の光回線ほどには回線速度を確保できないことがあります。

【受信方法3】光回線

 それでは、3つ目のテレビ受信方法をご紹介しましょう。(お察しのとおり、私が会社で担当しているのがこちらの方法を用いたサービスです。)

 実は、光回線はインターネットや電話だけでなく、テレビ放送を受信するためにも利用できるのですが、ご存じでしたか?

 インターネットを経由して、同時配信されている番組をストリーミング視聴するのとは異なります。

 光回線を使ったテレビサービスは10年ほど前から提供されていますが、アンテナ、ケーブルテレビに比べればまだまだ新参者なので、ご存じなくても無理はありません。

 さらに、一口に「光回線を使ってテレビを見る」と言っても、建物内のどこまで光ケーブルで配線されているかによって、いくつか提供パターンがあります。

 そのため、自分のマンションが光回線でテレビを受信しているのかどうか見分けることは、正直なところ、なかなか難しいです。

 もし、ご自宅に回線終端装置(ONU)という、NTTのマークが入ったルータのような機械があり、その機械に同軸ケーブルが挿さっているようなら、光回線でテレビを見ているはずです。

ONUの例

 ただ、ケーブルテレビと同じように、マンションの入り口まで光ケーブルで配線して、各戸までの配線は同軸ケーブルを用いる提供パターンもあります。この場合は回線終端装置(ONU)がご自宅に設置されず、共用部に設置されるため、アンテナやケーブルテレビでの受信と見分けることは難しいでしょう。

 また、中には、マンションのエントランスや掲示板に、「このマンションでは全戸に光回線を引いてインターネットやテレビを提供しています」というシールが貼ってある場合もあります。

 最終的には、管理会社や不動産屋に確認いただくのが確実ですね。

(1)光回線を使ったテレビサービスとは

 先ほど光回線を使ったテレビサービスにはいくつか提供パターンがあると言いましたが、共通するのは、NTT東日本と提携している放送事業者(スカパーJSATなど)の受信拠点で受信したテレビ放送の信号を、光ファイバーケーブルを用いて各家庭に送信している点です。

 受信拠点には業務用のアンテナが設置されており、そこから信号が送信されるため、マンションにはアンテナを設置する必要がありません。

 ケーブルテレビと似ていますね。

 マンション近くの電柱から建物に光ケーブルを引き込んだ後、建物内のどこまで光ケーブルで配線されているかによって提供パターンが分かれます。

A)入居者が個別に契約する「フレッツ・テレビ」
B)「フレッツ・テレビ マンション全戸加入プラン」
C)「フレッツ・テレビ 建物一括契約プラン」

の3つです。それでは順番に見ていきましょう。

A)入居者が個別に契約する「フレッツ・テレビ」

 「フレッツ・テレビ」とは、戸建てにお住まいの方やマンションの入居者が個別に契約する、NTT東日本のテレビサービスです。光コラボレーション事業者(一部を除く)も同様のサービスを提供しています。

 マンションでは、各部屋まで光ケーブルの配線が通っている場合(光配線方式のマンションの場合)に利用できます。(縦系の配線は光ケーブル)

 同軸ケーブルの挿込み口がついたテレビサービス用の回線終端装置(ONU)をレンタルして、そこから同軸ケーブルを使ってテレビまで配線していきます。

<参考>https://flets.com/ftv/

B)「フレッツ・テレビ マンション全戸加入プラン」

 同じく、NTT東日本が各部屋まで光ケーブルの配線が通っているマンションに提供しているサービスに、「フレッツ・テレビ マンション全戸加入プラン」があります。(縦系の配線は光ケーブル)

 こちらは、入居者ごとに個別に契約するのではなく、マンションのオーナーさん・管理会社さんが全入居者分をまとめて契約するサービスです。

 設備構成は入居者ごとに契約する「フレッツ・テレビ」とあまり変わりません。
同軸ケーブルの挿込み口がついたテレビサービス用の回線終端装置(ONU)が各戸に設置されていて、そこから同軸ケーブルを使ってテレビまで配線していきます。

<参考>https://business.ntt-east.co.jp/service/zenko/shinchiku.html

C)「フレッツ・テレビ 建物一括契約プラン」

 最後にご紹介するのは「フレッツ・テレビ 建物一括契約プラン」です。こちらのパターンでは、光ケーブルを使うのはマンション入り口の引き込みまでで、共用部から各部屋までの配線には同軸ケーブルを用います

 設備構成はケーブルテレビと似ていて、共用部に回線終端装置(ONU)を設置して、光ケーブルから同軸ケーブルに配線を切り替え、ブースターで信号を増幅してから、分配器で複数に分け、各部屋に送信していきます。(縦系の配線は同軸ケーブル)

<参考>https://flets.com/ftv/owner/

 提供パターンはさまざまですが、新築/既築、配線の種類など、物件ごとの状況に合わせて、営業担当者がそのマンションに適したパターンをご提案しています。

(2)光回線を使ったテレビサービスのメリット

 光回線を使ったテレビサービスのメリットにはどんなものがあるでしょうか。

◆入居者のメリット

 まずは、ケーブルテレビと同様に、悪天候など周囲の電波状況に影響を受けにくく、安定して受信できることです。

 放送事業者(スカパーJSATなど)の受信拠点に設置されたアンテナは、各家庭やマンションごとに設置するアンテナと比べて強度のある業務用のものです。

 そこから先は光ケーブルを通して信号を送るので、気象条件や周囲の環境に影響されず、クリアな信号を受け取ることができます。

 繰り返しになりますが、台風が近づいているときなど、タイムリーな情報が欲しいときに安定してテレビが視聴できるのは安心ですよね

 個人的には、大好きなスポーツ中継の一番いい場面で、映像にブロックノイズが入ったり、ブラックアウトしたりといったトラブルを避けるためにも、安定して受信できるというのは嬉しいポイントです!

 さらに、こちらもケーブルテレビと同様、地デジBSだけでなく、スポーツ・映画・アニメ・海外ドラマ等の専門チャンネルを入居者ごとにオプション契約可能!苦労してベランダにパラボラアンテナを立てなくても、自分の趣味に合った多彩なチャンネルを楽しむことができます。

◆オーナーのメリット

 また、視点を変えてマンションオーナーさんの立場から見てみると、マンション内部の縦系の配線(共用部から各部屋までの配線)を、光ケーブルだけで敷設することができるというのも、実は大きなメリットになります。(先ほどご紹介したA・Bの提供パターンに限ります。)

 光ケーブルは、通常、インターネットを利用するために使いますよね?マンションの入居者の方も、もちろんインターネットを使いますよね?

 インターネットを利用する場合、共用部の途中からLANケーブルや電話線に切り替わっているマンションよりも、各部屋まですべて光ケーブルで配線されているマンションの方が、通信速度が速いです。

 つまり、共用部から各部屋まで光ケーブルで配線しておけば、インターネットも電話もテレビも光一本で、高品質かつ便利に利用できるんです。

 新築マンションの場合、設計時にあらかじめ「各部屋まで光で配線する」と決めてしまえば、同軸ケーブルという別の種類の配線を重複して引いておく必要はなくなります。つまり、施工費用の節約にもつながるんです。

(3)光回線を使ったテレビサービスのデメリット

 もちろん、光回線を使ったテレビサービスにもデメリットはあります。

 まずはやはり、ランニングコストがかかるということです。

 先ほどご紹介したAのパターン(入居者ごとに個別に契約)の場合には、1戸あたり税抜750円/月(税込825円/月)をいただいています。

 B・Cのパターンの場合は、マンション全戸数分をまとめてご契約いただく代わりに、1戸あたりのご利用料金は少しお安く提供しています。

 なお、いずれの場合もインターネットを利用するための光回線(フレッツ光など)の利用料金は別途かかります。

 そして、全国どこでもご利用いただけるというわけではなく、NTT東日本のサービス提供エリアの中でも、利用できるエリアが限定されています

 東京都はほぼ全域、神奈川・千葉・埼玉も比較的広いエリアで利用いただけます。その他、茨城・栃木・群馬・新潟・長野・福島・北海道の各一部地域で提供しています。

 以下は、サービスの提供エリアをまとめたページです。この提供エリアのうち、宮城・山形・岩手ではマンションへの提供は行っていません。

<参考>https://flets.com/ftv/area.html

 また、既築物件の場合、マンション内の配管が一杯で光ケーブルの配線が引けない場合や、NTT側の設備の都合で、提供エリア内であってもサービスを利用できない場合もあります。

新築物件の場合の注意点・失敗例は?

 さて、ここまで、
1.共同アンテナ
2.ケーブルテレビ
3.光回線
と、3つのテレビ受信方法をご紹介してきましたが、今この記事を読んでくださっているのがマンションオーナーさんだった場合、新築物件のテレビ受信方法を選ぶときにぜひ気にしておいていただきたいポイントがあります。

 入居者の方は読み飛ばしていただき、「まとめ」をご覧ください。

 まずは、せっかく新築でどんな設備を採用するかイチから選定していただけるタイミングなので、ご自分のマンションにはどの受信方法を導入したいか、設計時から検討してほしい、ということです。

 マンション各部屋まで光ケーブルを引くことをあらかじめ決めておけば、縦系の同軸ケーブルの配線(共用部~各部屋までの配線)は引かずに済むのですが、光にしよう!と決めるのが後になると、タイミングによっては同軸の配線を済ませてしまっていて、無駄な配線・設備が出てしまうことがあるかもしれません。

 あるいは、光ケーブルを引き込むだけの配管の余裕がなくなっていたり、各戸の情報分電盤などに回線終端装置(ONU)を設置するスペースがなかったりと、導入を諦めることになってしまうかもしれません。

 ぜひ、今回ご紹介した3つのテレビ受信方法を頭の片隅に置いていただいて、新築のタイミングが来たときにはどの方法を選ぶか、イメージしてみてください。

既築物件の場合の注意点・失敗例は?

 では反対に、既築物件のテレビ受信方法を見直すときのポイントは何でしょうか。

 当然ですが、既築物件には入居者さんがいらっしゃいますので、受信設備の切り替えにあたっては入居者や管理組合などと合意しておくことになります。工事の際にテレビが見られない時間帯が発生する場合には、周知も必要になりますね。

 また、共用部分だけの作業で済まない場合には、各戸に立ち入って作業するための工事日調整が大変…という話も聞くことがあります。

 テレビの受信設備を切り替えることを検討する際には、共用部分だけの作業で済むのか、各戸での作業が発生するのか、あらかじめ確認しましょう。

2018年12月にスタートした新4K8K衛星放送への対応方法について

 なぜテレビの受信設備の切り替え前に作業範囲(共用部だけ作業/各戸でも作業)を確認しましょうと言ったかというと、実は、光回線を使ったテレビサービスを推すポイントをもう一つご紹介したかったからなんです。

 皆さんのご自宅のテレビは、4Kテレビですか?(リモコンに「4K」というボタンがあったら、恐らくそれは4Kテレビです。)

 少し前の話になりますが、2018年12月に「新4K8K衛星放送」という新しい放送がスタートしました。

 詳しくご紹介するには紙幅が足りないので割愛しますが、現在は、NHKの4K8Kチャンネル、民放キー局の4Kチャンネル、スポーツ・映画・ショッピングなどの4Kチャンネルが、合わせて18チャンネル放送されています。

 このうち、NHKと民放キー局の4Kチャンネル(合計6チャンネル)は、今までのBS放送用のアンテナや同軸ケーブルで受信することができますが、その他の12チャンネルは、アンテナや配線を丸ごと交換しなければ視聴できないんです。

 (5年以内など、ごく最近建てられたマンションの場合は、既に新しい規格のアンテナや配線が用いられていることもあるので、この限りではありません。)

 さて、突然ですが、あなたはマンションオーナーで、「ウチのマンションも4K8K全チャンネルに対応させるか…」と思い立ち、アンテナと配線を改修しようと考えたとしましょう。

 ここで思い出していただきたいのが、既築のマンションの設備を切り替えるときには、共用部分だけの作業で済むのか、各戸での作業が発生するのか、確認してほしいという先ほどのお話です。

 4K8K全チャンネル見られるようにするためには、基本的に配線は「総とっかえ」なので、各部屋のテレビ端子や壁の中の同軸ケーブルも全て交換しなければいけません。

 当然、部屋ごとに入居者と工事日程を調整し、当日は在宅のうえ立会いをお願いして、テレビが見られない時間帯も発生します。

 ……大変ですよね。

 でも、「大変だな…」と思って諦めてしまうのは、もったいないんです!

 なぜなら、光回線を使ったテレビサービスなら、各戸での作業を発生させずに、4K8K全チャンネルを視聴できるように設備を改修することができるからです。

 (老朽化などでケーブルが劣化し、サービス提供に必要な規格を満たさなくなっている場合は、各戸のケーブルの張り替えなどが発生することがあります。)

 スカパーJSATの受信拠点では、従来のBSの周波数帯をはみ出している(=従来のアンテナ・配線で視聴できない)チャンネルの周波数を一旦今までの周波数帯に収まるように変換して信号を送り出します。

 それを、4Kテレビのすぐ手前に周波数変換のための専用アダプターを設置して、本来の周波数に戻す方法を採用しています。

 こうすることで、受信拠点から4Kテレビのすぐ手前まで、すなわち、マンション共用部から各部屋までの配線部分(縦系の配線部分)も、各部屋の中のテレビ端子や同軸ケーブルも、従来の周波数帯に収まった状態の信号が送られることになるので、張り替えなくて大丈夫。

 専用アダプターは、4K8K放送を見たい人だけ用意すればよく、入居者の方が自分で取りつけられるような簡単な装置(分波器のようなもの)なので、部屋に立ち入って工事する必要もありません

<参考>https://mansion4k8k.com/
※他社サイトですがこちらがわかりやすいです

まとめ

 ここまでの内容をまとめると、以下のようになります。

1.悪天候などでテレビが映らなくなったら、まずは配線とチャンネルスキャンをやり直してみる。
2.テレビの受信方法は、①アンテナ、②ケーブルテレビ、③光回線の3種類。
3.アンテナのメリットは、ランニングコストがかからないこと。
4.ケーブルテレビのメリットは、悪天候などに影響されにくいことと、多彩な専門チャンネル。
5.光回線のメリットは、同じく悪天候などに影響されにくいことと、配線が光だけで済むこと。
6.新築物件の場合には、設計段階からテレビの受信方法を検討するとよい。
7.既築物件の場合には、設備の切替え時に各戸に立ち入って作業が発生するか確認する。
8.新4K8K衛星放送を全チャンネル見られるマンションにするなら、光回線がオススメ!

 いかがでしたか?かなり長文になりましたが、何か一つでも参考になることがあれば、嬉しいです。

◇あとがき
 長文ついでに、最後に少し私自身の話をすると、もともと「家に帰れば、何はなくともひとまずテレビをつける」というテレビっ子で、今も動画サービスにはほぼ目もくれず(TVerの見逃し配信だけ少し利用します)、ひたすらテレビのリアルタイム放送と録画を見ている、現代人らしくない30代です。

 10年ちょっと前にNTT東日本という通信サービスの会社に就職して、まさかテレビのサービスを担当するとは夢にも思いませんでしたが(というより、NTT東日本がテレビサービスを提供しているとは思っていませんでしたが)、せっかくテレビっ子が担当することになったのだから、ヘビーユーザーの立場からサービスの魅力が伝わるような取組みができればと思っています。

 今回、記事を執筆する機会をいただき、張り切りすぎて大変な長文になりましたが、こちらのサービス情報ページにもお伝えしたい内容がたくさんありますので、お時間があるときにぜひご覧ください。

「フレッツ・テレビ」について
「フレッツ・テレビ」で楽しむ4K8K放送について

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!

NTT東日本ビジネス開発本部 石原

NTT東日本ビジネス開発本部 石原

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