コロナ禍により遠方への出張の削減やリモートワークが進む昨今、これまでより更に"映像"を活用した業務効率化が加速しています。たとえば研修を映像化することでいつでもどこでも受講できるようにする仕組みから、社内イベントを映像配信することでリモートワークによって薄れがちな「社内のつながり」を共有する仕組みなど、時間と距離を圧縮する映像の活用用途はさまざまです。
しかしながら映像活用に際しては、映像の撮影や編集、制作した映像を展開するプラットフォームの整備など、なかなか内製で実施するまでに時間がかかることが課題です。
このような課題に対し、NTT東日本では映像活用推進チーム「V-TECHX」を立ち上げ、社内の映像活用を完全内製化で進めています。今回は「V-TECHX」のメンバーに現在の活動や今度のビジョンについて、お話を伺いました。
――V-TECHXというチームについて教えてください。
V-TECHXは映像を活用した新しい働き方を作り上げるチームです。社内の映像活用活性化に向けた仕組みづくりや人材育成・新技術の導入を進めております。
――いままでのV-TECHXの取り組みについて教えてください。
ネットワーク事業推進本部 設備企画部 清水駿平
社内に散らばっている課題を、映像の力を使って解決を試みてきました。具体的には「社長等の社員向けトップメッセージ」の配信や、NTT東日本の各支店を代表する技術者が工事・保守技術を競い合う年に1度のイベント「現場力向上フォーラム」における競技会の解説付きライブ配信、他にも、一般放送されている社会人野球を社内向けにローカライズしたライブ再配信や社内マニュアルのVOD化支援等にも取り組んでいます。
社内におけるさまざまな取り組みを通じて、わたしたち「V-TECHX」メンバー以外の映像を使いたい社員に伴走しながら、今度は社員自らが内製化できるようにサポートを行ってきました。V-TECHXの精神として、「まずはとにかくやってみる その後ナレッジを社内に共有する」というものがあります。主管組織とコミュニケーションを図り一体感を醸成しながらそのプロジェクトを推進しています。
――取り組みを通じて感じた映像活用内製化の成果はありますか?
ネットワーク事業推進本部 設備企画部 平岡好孝
定量的なキャッシュアウト抑制額は、チーム発足からもうすぐ1年となる現時点で2億円を超えています。また、映像へ取り組むことができる社員を200名以上育成できました。もちろん、この200人のスキルには個人差がありますが、こうしたスキルを平準化する資格体系の整備や支援体制の拡充にも取り組んでおり、2023年度までに1,000名以上の社員を「地域企業さまへご支援ができるレベル」まで到達させたいと思っています。
――映像活用内製化に着手していくなかで感じた課題感があれば教えてください。
映像を「自分ごと化」してもらうことです。私自身そうだったのですが、裏の仕組みを知らない状態ではどうしても遠い存在に感じ、他人に頼んできました。その苦手意識を克服してもらい、「あ、自分でもできるんだ」と気づいてもらうための取り組みはいくつもおこなってきました。
ひとつは身近な内製化事例を作り、それを映像で紹介するダイジェストを制作することです。「隣のチームが自身でウェビナーを開催した」といった事例は、次の内製実践者の呼び水になりました。
その他にも効果が大きいのは、直ぐにできる成功体験を一緒に作ることです。例えば、2つの映像を重ね合わせる「PinP」という技術は、演出としてとても効果がありますが、これはフリーのツールを15分も操作すれば出来るようになります。「映像内製化をしたいけど、私にできるかな...」という問合せがあった場合、そのWEB会議の中で少し時間をもらって、編集方法を紹介すると、「こんな簡単にできることもあるのか!じゃあこれは...」という向上心を生むことができています。
技術を紹介・説明する中で私自身も様々な気づきをいただいているので、一緒に成長させてもらえて一石二鳥ですね。
――今後の活動について教えてください。
私たちが社内で解決してきた課題は、どの企業でも同様に抱えている課題なのではないかと思っています。そのため、今後は映像活用を推進していきたい企業さまに「V-TECHX」が培ったノウハウをお伝えし、映像活用を伴走する活動ができたらと考えています。
たとえばどんな企業にも社長や幹部の皆様がいると思いますので、幹部メッセージをオンラインで配信したいという利用シーンや、セミナーをウェビナーに変えていく、イベントや競技会をオンラインにしていく、簡単なところであれば提案書を動画にする、こういったシーンはどの会社にも抱えている課題だと思っています。そこに私達が社内で培ってきた課題解決方法をコツやプロセスを含めてご提供・ご支援していくことで、企業さまの働き方改革に貢献できるのではと思っています。
――ありがとうございました。
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