こんにちは。NTT東日本でWebマーケティングを担当している安達と申します。
今回は企業内で営業企画やイントラネットの運用をしている方へ、イントラネットを活用したナレッジ共有のポイントについて解説したいと思います。
営業ノウハウや販売事例などのナレッジ共有が進むと営業力強化につながります。自社の営業力を高めたいと考えていらっしゃる方もぜひ一読ください。
皆さんの会社でも営業社員向けの研修、サービス勉強会、提案ツールの提供、割引施策など、さまざまな手法で営業力強化を図っていらっしゃるかと思います。
ただ、せっかく良い施策を用意しても、営業社員に見て・知ってもらわないことには活用してもらえません。
これらの情報を一元的・効果的に、かつ継続して提供できる手法がイントラネットの活用です。
すでにイントラネットを運用されている会社も、利用率をあげるにはどうすれば良いか、どこを改善すればよいか、数千名の営業社員が日々利用しているナレッジサイトを運用する著者が、事例をまじえて解説します。
1.イントラネットの目的と種類
イントラネットには様々な種類があり、複数導入している企業もあるかと思います。
まずは、目的別にイントラネットの種類をおさらいします。
(1)業務における生産性向上のための情報共有
スケジュール・勤怠管理・メール・ドキュメント共有などのグループウェア、各情報への入口となる社内ポータルサイトなど
(2)社内コミュニケーション活性化
社内SNS(企業向けFacebook、Twitter)、社内掲示板、チャットツール
(3)スキル向上のためのナレッジ共有
営業社員への情報提供やサポートを行う支援サイト(営業マニュアルやノウハウ、販売事例などを掲載したナレッジサイト)
これらの特性を把握し、うまく使い分けることで社内の情報流通を活性化することができます。本記事では、営業力強化に資する(3)のナレッジ共有を目的としたサイトのポイントを解説します。
※以下で示す「ナレッジサイト」とは、(3)のナレッジ共有を目的としたサイトを指します。
2.ナレッジサイトにありがちな失敗 ~こんなサイトは活用されない~
ナレッジサイトは営業力の強化に役立つものですが、うまく運用しなければ社員が活用しにくく、宝の持ち腐れになってしまいます。ここでは、ナレッジサイトで起こりやすい失敗を解説します。
・社内に複数のナレッジサイトが混在している
とくに大きな会社にありがちなのが、組織ごとにナレッジサイトを立ち上げた結果、情報が散在している状態です。これでは、どのサイトを見ればよいかわからず、結局活用されません。
・情報を探しづらい、検索しづらい
サイト内で資料の適切な分類や情報の更新がされていない場合、活用されないまま終わってしまいます。また、検索機能がなく、必要な情報を探し出しにくい場合もやはり活用されません。
・掲載内容にバラつきがある
商品・サービスによっては、マニュアルや提案書がナレッジサイトに掲載されていないことがあります。提案書があったとしても、商品によって形態や書式が異なると、同じお客さまに対して使いづらいと判断され、活用されなくなります。
・資料の内容に問題がある
掲載されている提案ツールに作成年月や作成部署の記載がなかったり、情報セキュリティや著作権・人権等に配慮した内容でなかったりすると、そのまま使用するのがためらわれてしまいます。
・利用者数が少ない、見られていない
ナレッジサイトの存在がきちんと周知されていないと、利用する人は増えません。また、頻繁に更新されておらず、訪問者数も少ないと、サイト自体の信頼性が低くなり、結果的に活用されなくなります。
3.ナレッジサイトに求められるもの ~成功に必要な条件~
長年営業支援サイトの運用に携わり、多くの人の意見を聞いた結果、営業社員がナレッジサイトに求める条件は以下の5つであると感じています。
(1)網羅性
営業に必要な情報が組織の枠を超えて漏れなく掲載されていて、「このサイトさえ見ればすべてわかる!」と認識できること。
(2)検索性
商品や利用用途ごとに情報が分類されていて、検索しやすく、目的の資料をすぐに探し出せること。
(3)信頼性
資料の作成部署・責任者や作成年月が明記されていて、常に最新の状態であること。また、情報セキュリティや著作権等に配慮した内容となっていること。
(4)お得感
サイトを見にくることで得られるお得感があること。
例えば、最新の情報を反映した提案書が掲載されており、自分で作成せずに利用できること。お客さま向けの割引やキャンペーン情報を集約した資料があり、営業にすぐ活用できることなどが挙げられます。
(5)娯楽性、我が事性
見て楽しいコンテンツや自分に関わる・自分の投稿した情報が載っていること。
必要な時だけ見にくるのでは、新しいツールやキャンペーン情報、勉強会情報などを見逃すことがあるかもしれません。用がなくても見にきてもらうためには、見て楽しい、自分にとって身近なコンテンツが充実していることも大切です。
4.ナレッジサイト運用のポイント ~情報流通活性化による営業力強化に向けて~
それでは、ナレッジサイトは具体的にどのように運用したらよいでしょうか。
弊社での事例をもとにポイントを解説します。
(1)ナレッジサイトは「ひとつ」にして運用責任者を決める
サイトの構築前に、社内全体もしくはナレッジサイトに掲載する情報を持っている担当(=コンテンツ主管)に、統一ナレッジサイトとして運用することを宣言しましょう。
そして、他のナレッジサイトは廃止するよう促します。この際、他のナレッジサイトの情報も巻き取って掲載します。すでに構築済の場合もこの工程は必須です。
こうすることで、社内唯一のナレッジサイトになり、サイトに権威性を持たせることができます。また、この過程を経ることで全関係部署の情報を集約することができ、「網羅性」を実現できます。
(2)掲載情報を適切に分類し、検索しやすいようにする
見ている人が情報を探しやすいように、掲載情報を分類してメニューとして表示します。メニューの数は多すぎず少なすぎないよう、5~10項目にするとよいでしょう。
弊社では「商品情報」「営業支援情報」「販売事例」「勉強会・会議資料」「FAQ」「問合せ先情報」のメニュー項目を立て、情報を分類しています。
それぞれのメニューの中では、検索窓で検索できるようにしておきます。
同時に、古い情報は適宜削除して、検索結果を見やすいようにしておくことが重要です。
また、チャットボットを導入して、「困ったときはここに聞けばOK」という状況を作っておくことも効果的です。
(3)掲載資料や掲載方法に関するガイドラインを定める
掲載資料に関する社内の情報セキュリティルールや表示方法などを規定します。これによって掲載資料の質を担保します。
弊社では掲載前に留意事項を網羅した「チェックシート」で、作成主管の担当者と管理職が資料の内容をダブルチェックするようにしています。
「チェックシート」導入前は担当ごとに資料の質が区々でした。しかし導入後は一定の品質を保てるようになり、サイト運用管理者による資料チェック稼働がかなり削減できました。
また、掲載後一定期間が経ったら(例:四半期ごと等)、コンテンツの自主チェックをすることもガイドラインで規定し、情報の陳腐化を防ぎましょう。
弊社では上記に加えて各コンテンツの責任者名と最終更新日をページ上に表記するようにしています。
こうすることで、コンテンツ主管はよりいっそう資料に対する責任感を持つようになります。利用者側は作成者の素性や更新日がわかり、安心して利用できます。また、コンテンツ主管の社内での評価を高めることにもつながります。
(4)営業担当者にメリットのある情報を載せる
割引・キャンペーン情報など、営業の武器になる情報は必ず掲載しておきます。対象商品や期間などで検索できるとなお良いです。
また、社員向けの優待情報など、営業に関係なくとも社員に得がある情報を掲載しておくと日頃からサイトを閲覧してもらえます。
(5)娯楽性・我が事性のあるコンテンツの掲載も検討する
これは必須ではないですが、余裕があれば掲載したいコンテンツです。
冒頭に述べたように、せっかくいいツールを用意しても、どんなに素敵なサイトを作っても、日常的に見てもらわなければ営業力強化にはつながりません。
弊社では、以下のような娯楽コンテンツを掲載してみました。
・事務局スタッフによるブログやリレーブログ
・商品知識や時事ネタを取り入れたクイズ(解答後は自動的に採点)
・週間占い
・アンケート
結果は、どれもメインコンテンツに迫るほどのアクセス数で、普段から気軽に見てもらうきっかけになりました。
我が事性という点では、自分が手掛けたプロジェクトを投稿できたり、質問ができたりするコンテンツも考えられます。自分が撮影した写真を投稿できるコンテンツは娯楽性も兼ね備えており、人気がありました。
また、新サービスや新キャンペーン情報を掲載した際、メールや社内SNSで関係社員に通知すれば、イントラネットの利用促進にもつながります。
まとめ
どこの会社でも、忙しい営業担当者が毎日継続して情報をチェックするのはハードルが高いもの。ナレッジサイトの運用者としては「こんなに良い情報を掲載しているのにどうして使ってくれないのだろう?」なんて思ってしまうこともありますよね。
そんなときは上記ポイントのうちいくつかを、ためしに実行してみてください。
「忙しいときほどナレッジサイトを見れば役に立つ」という認識が社内で浸透すれば、イントラネットの運用としては大成功です。日常的に掲載コンテンツを見てもらい、活用されれば、あなたの会社の営業力は間違いなく向上するでしょう。
ぜひ、記事を参考にしてイントラネットの構築・改良を進めてみてください!
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