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ネットワークとは?お役立ち情報をご紹介(第3回)

VPNの速度が遅いときの原因・対処方法を紹介!

 テレワークなどの普及により、比較的セキュリティ性の高いVPNをビジネスで利用する機会も多いと思います。

 VPNは利用しているVPNサービスの種類やインターネット環境によって通信速度が遅くなることがあります。通信速度が遅く、業務にやりづらさを感じている方も中にはいるのではないでしょうか。

 今回の記事ではVPNの通信速度が遅い理由と、対処方法を紹介していきます。

◆目次
VPNとはそもそも何か?
VPNの速度が遅い原因
VPNの速度が遅いときの対処法
まとめ

VPNとはそもそも何か?

 「VPNを利用しているものの、そもそも仕組みを知らない」という方に、VPNとは何か、簡単に説明いたします。

VPNはプライベートなネットワーク

 VPNとは、Virtual Private Networkの略で、仮想的に作ったプライベートネットワークを意味します。VPNはネットワーク上にトンネルのようなものを作成し、その中で情報をやりとりするため、通常のインターネットでの通信よりも高いセキュリティ性が期待できます。

 トンネリングと呼ばれるプライベート化の技術だけでなく、通信の暗号化や、情報をやりとりするユーザー同士に認証が必要である点が、VPNのセキュリティを支えています。

VPNと専用線の違い

専用線は高コストだがセキュリティ性が高い

 VPNと比較させることが多いのが、企業の拠点間で利用される専用線です。専用線はインターネットを利用しない完全にプライベートな通信であるためセキュリティ性が高いですが、複数の拠点を結んで利用できない点や、設置・運用のコストが大きい点がデメリットです。

VPNは手軽にセキュアな環境を構築できる

 一方、VPNは方式にもよりますが、基本的は公衆回線を利用してその中で仮想のプライベートネットワークを構築するため、専用線よりセキュリティがやや落ちます。メリットとしては、複数の遠隔地点同士でも通信が可能なためテレワークに適していること、導入・運用のコストが専用線に比べて大幅に低いことが挙げられます。

インターネットを利用するか、独自回線を利用するか

 VPNにはいくつか種類があります。通信速度に影響する要因として知っておきたい違いとしては、インターネット回線を利用するのか、通信事業者の独自回線を利用するのかという点が挙げられます。

通信事業者の独自回線のほうが安全性は高い

 通常の公衆回線のインターネットを利用したインターネットVPNと、通信事業者が用意した回線を利用するIP-VPNやエントリーVPNでは安全性に違いがあります。インターネット回線上にトンネルを作るインターネットVPNは、ログイン情報が流出すれば不特定多数の利用者がアクセスできる可能がありますが、通信事業者の独自回線を利用したVPNは、そもそも回線にアクセスできる人が利用企業かベンダーに限られるため、より安全です。

インターネットVPNやエントリーVPNは速度が低下する可能性がある

 また、通信速度においても違いがあります。インターネットVPNはそもそもの契約している回線の状況によってVPNの接続状況も変化します。一般的にインターネット利用者が多くなるような就業後の夕方〜夜の時間帯は通信速度が低下しますが、VPNも同様に影響を受けます。IP-VPNのような独自回線なら、より安定した通信が期待できます。エントリーVPNは独自回線ではありますが、コストが低い分、通信速度が遅くなる傾向にあります。

 セキュアで安定したインターネット環境を構築するのなら、IP-VPNがお勧めです。

VPNの接続方法の違いと通信速度

 VPNにはプロトコル(通信のルールのようなもの)と呼ばれる、いくつかの接続方法があります。プロトコルによって、通信の安全性やコスト、通信速度などがそれぞれ異なります(詳しくは以下の関連記事をご参照ください)。

 VPNのプロトコルには「IPsec-VPN」「L2TP」「PPTP」「SSL-VPN」の4種類があります。利用しているVPNによってこれらのどれに対応しているのかが異なり、同じVPNでも別のプロトコルを利用できるケースもあります。

VPNとは?仕組みや導入メリット・専用線との違いを紹介

VPNの速度が遅い原因

 VPNの通信速度が遅い代表的な原因について紹介します。

利用しているインターネット回線が遅い

 前述の通り、インターネットVPNは既存のインターネット回線を利用する形式のため、契約しているインターネット回線の速度が遅くなっているとVPNの速度も遅くなります。とくにインターネット利用者が多くなる時間帯は同様にVPNも影響を受けて遅くなります。

同時利用によるVPNサーバーの上限

 同じVPNを利用しているユーザーの同時接続数が多くなると、VPNサーバーの容量の上限に達し、回線速度が遅くなります。とくに、VPNは通信内容を暗号化しているため通常の通信内容よりもデータが大きいので、サーバーへの負担も大きくなる傾向があります。

MTUの設定

 MTU(Maximum Transmission Unit)とは、一度の通信で転送できるデータ容量の上限のことです。VPN通信においては、VPNのルーターと利用する機器それぞれに設定されています。MTU設定の上限が低い場合は、通信速度が遅くなります。

セキュリティソフト

 VPNの暗号化通信に加えて、ファイアウォールなどのセキュリティソフトが作動していると通信速度が遅くなる傾向にあります。ウイルスを検知するための通信のチェックやフィルタリングなどは、セキュリティが厳重になるほど接続速度が遅くなるのが一般的です。

閲覧しているWebサイトの問題

 VPNに限らないインターネット全般の利用において、表示するWebサイトの容量が大きければ表示速度が遅くなります。特定のサイトにおいて通信速度が遅い場合は、原因はVPNではなくサイトにある可能性が高いです。

Webサイトの同時アクセス数

 VPNに限らないインターネット全般の利用において、Webサイトは同時にアクセスする人が増えればサイトが重くなります。VPNの問題ではないため、時間帯をずらしてアクセスするとスムーズに表示される可能性があります。

VPNの速度が遅いときの対処法

VPNの通信速度が遅いときの具体的な対処方法について紹介します。

ルーター・パソコンなどの再起動

VPNやWi-Fiルーター・モデムを再起動すると速くなることがあります。利用しているパソコンなどの機器も同様です。長く電源を付けているといつのまにかメモリが不足していたり、CPUの処理能力が落ちたりすることがあるためです。

MTUの設定

利用している機器ごとのMTUの値と、VPNルーターのMTUの値を同じにする、VPNのほうの値を低くするなどを試してみましょう。ただし基本的にVPNルーター側の値しか変更できない点に注意してください。

ポート・プロトコルの変更

 VPN接続で利用するプロトコル(通信の規約・方法)やポート(通信する場所)を変更すると、速度が改善されることがあります。利用しているVPNが別のプロトコルに対応している場合は試してみましょう。

セキュリティソフトの停止

 VPNの安全な接続を確保するためにはセキュリティソフトの稼働は必要ですが、回線が遅い原因を特定するために一時的に停止するのも手です。基本的にはセキュリティの観点から停止すべきではないので、停止した場合には、怪しいサイトや見知らぬメールやファイルを開かないように注意しましょう。

 もし、常駐セキュリティソフトの影響で通信速度があまりにも遅い場合は、セキュリティソフトの設定変更や、製品そのものの乗り換えも検討してみてください。セキュリティソフトは厳重にセキュリティチェックを行う反面速度が遅くなる可能性があり、また利用しているサービスによって快適性に違いもあります。

有線LANへの変更

 VPNに限らずネットワーク通信全般において、無線での接続よりも有線での接続のほうが通信速度は速い傾向があります。近年は無線LANに対応したデバイスが増加していますが、デスクトップパソコンやLANケーブルを接続できるノートパソコンの場合は有線LANの運用に切り替えると通信速度の上昇が期待できます。

Wi-Fiルーターの調整

 VPNに限らずネットワーク回線の速度の向上のためには、利用しているWi-Fiルーターの設置場所の変更や、パソコンとの距離の調整をしましょう。階をまたいでいるなど、Wi-Fiルーターとパソコンの距離が遠く、遮蔽物がある場合は距離を近くすると速度が上昇する可能性があります。また、裏ワザとしてルーターをアルミホイルで囲むことでパラボナアンテナのように電波を集めて強化する方法もあります。

Wi-Fiはアルミホイルで強化できる?自宅や事務所で簡単にできる方法を紹介

利用している回線事業者へ連絡

 インターネット回線そのものが普段よりも遅い場合は、一時的な通信障害などのサービス上でのトラブルの可能性があるため事業者に問い合わせましょう。

回線が安定しているVPNへの変更

 VPNの速度はサービスによって大きく違います。前述の通り、エントリーVPNを利用している場合は、インターネットVPNやIP-VPNなどへの乗り換えを検討しましょう。インターネットVPNは通信速度が契約している回線に依存するため、場合によっては独自回線のIP-VPNも視野に入れましょう。導入・運用の金銭的コストはやや上がるため、同時にセキュリティ性の向上なども目的に入れて、信頼性の高い通信事業者を選択しましょう。

まとめ

 今回の記事ではVPNの通信速度が遅い原因や、対処方法について紹介しました。

 原因と対処方法を大きく分けると、1つ目は利用している環境における設定や回線トラブルなどの問題です。この問題は、電源の再起動や設定の変更、有線LANへの変更などで解決するケースがあります。

 2つ目はそもそもの利用しているVPNサービスやインターネット環境の問題であり、サービスの乗り換えが必要なケースです。最大限対処をしても通信速度が日常生活や業務において重大な問題となっている場合は、サービスの乗り換えを検討しましょう。

 NTT東日本では、信頼性の高い独自回線を利用したVPNのサービスを展開しています。安定した通信やセキュリティの高さ、また設定段階やトラブル発生時のサポートなども手厚く、手軽に安心・快適なVPNを構築できます。ご興味のある方はぜひ以下のページをご覧ください。

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