2019.11.28 (Thu)

働き手減少問題をICTで解決(第9回)

新規人材のスキル習得と定着を図る、オンライン研修

posted by 株式会社Playce(プレイス)

 2019年5月、トヨタ自動車の豊田章男社長が「終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」(日本自動車工業会・会長会見)と発言し、波紋を呼びました。終身雇用が崩壊しつつある要因のひとつとして考えられるのが、少子高齢化による"売り手市場"で転職を希望する人材が増えてきたことです。多くの企業が限られた労働力を奪い合うような状況になっており、これによって被雇用者は、かつてに比べて容易に、よりよい条件で、望む仕事や環境がある会社に移ることができるようになってきました。また、ビジネスのグローバル化が進み、欧米諸国などに見られるスキルや経験をもった人材を雇用して個々の仕事に割り当てる、ジョブ雇用型が浸透してきたことも影響していると考えられます。

 ビズリーチが実施した「令和時代の転職活動に関する調査」(2019年5月)によると、「学生として就職活動をしている時に、入社後に転職することを意識していましたか?」という質問に対し「意識していた」と答えた人が77.7%だったことがわかりました。また、「転職活動をしていなくても、企業から声がかかれば人事や社員に会ってもよい」と答えた人は96.5%に上ると報告されています。すでに多くの人材が、新卒時から、終身雇用を前提とせず、転職を視野に入れて就職している状況なのです。

 少子高齢化やビジネスのグローバル化、そしてそれらに伴うこうした意識の変化は、社会の趨勢上、止めることはできません。今後ますます、終身雇用に対する意識は薄れ、人材の離職・転職が加速していくことでしょう。

手頃な価格で継続的な社員教育が行える、オンライン研修がアツい!

 こうした社会的背景のなか、早期に人材を自立させ、定着させる施策のひとつとして改めて注目されているのが、「社員教育」の存在です。入社後の早い段階から、継続的に、充実した研修を受けさせることで、会社の理念やノウハウをしっかり浸透させ、これによって、離職を防止する効果が見込めると期待されています。

 かつては、社内の会議室やセミナールームに従業員を集めて講義型の研修を実施する「集合研修」が一般的な研修スタイルでしたが、ここ数年で、オンライン研修を導入する企業が増加しました。オンライン研修とは、インターネット回線を通じて講義動画や資料を配信し、それらの教材を、個人が好きなときに、手持ちのパソコンやスマホで受け取る研修スタイルのこと。外部サービスを使う方法、Web会議システムなどを使って社内講義をライブ配信する方法、そして、クラウドを活用し社内専用の研修ポータルサイトを設置する方法などがあります。

 オンライン研修なら、会場を用意したり、教材を印刷したりする必要はありませんし、従業員が遠方からわざわざ本社に出社する時間や費用負担もなくなります。また、本社支社で同等の社員教育を運用でき、個々のペースや理解度に合わせて復習できるので、受講した知識が浸透しやすいなどのメリットも。受講履歴をデータで取得できるサービスを導入すれば、企業側の適切な人材マネジメントに生かせます。このようにオンライン研修は、運営コストや労力の低減、柔軟な学習環境の実現、学習の定着といった、幅広い面での効果が期待できるのです。

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中小企業の指導者不足もカバーできる

 もうひとつ、オンライン研修のメリットとして注目したいのが「指導する人材の不足」をカバーできるところです。厚生労働省の「平成30年度 能力開発基本調査」(2019年3月)によると、もっとも多くの企業が挙げている人材育成の問題点が「指導する人材が不足している」こと。回答した企業のうち、実に54.4%が指導者不足に頭を悩ませていることがわかりました。

 指導者の講義を録画してアーカイブしておく、外部のオンライン研修サービスを利用するなどの方法を活用すれば、従来型の集合研修に比べ、大幅に人的リソースを抑えて研修を運用することができます。大企業だけでなく、例えば、「ゼロから企画を考えたり、資料を作成したりする余裕がない」「似たような講義を何回も行う時間がない」などの悩みを抱える中小企業でも有効に活用できることでしょう。

 さらに、「録画型の講義のあとにライブ配信の時間を設け質疑応答を行う」「オンライン研修で基礎知識を学んでから、ディスカッションやワークショップなどの集合研修を行う」など、いくつかの方法を組み合わせることで、より高い研修効果を得ることも可能です。

 多くのメリットや魅力があるオンライン研修。採用するソリューションや、その組み合わせによって、その可能性は大きく広がっていくことでしょう。自社の競争力アップのため、そして人材定着のため、未導入ならばぜひ導入を検討したいところです。

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